訳・齋藤可津子早川書房解説・高崎順子239頁三大陸の三人の女性かけ離れた境遇に生きる彼女たちに共通するのは、女性に押し付けられる困難と差別に立ち向かっていることインドに暮らす最下層身分、不可触民(ダリット)のスミタは娘の教育のためイタリア・シチリアに暮らす毛髪加工会社経営者の娘ジュリアは倒産寸前の会社と従業員たちを守るためカナダ・モントリオールに暮らすシングルマザーの弁護士サラは自らの病と夢のため . . . 本文を読む
訳・三角和代ハヤカワ文庫2013年3月 発行2017年2月 2刷解説・千街晶之595頁エーランド島四部作の第一作ですシリーズものとは知らず三作目の「赤く微笑む春」を最初に読んでしまいました特に不都合はなく面白く読んだのですがやはり一作目から読むべきでしょう、ということで霧に包まれたエーランド島で5歳の少年イェンスが行方不明になりますそれから二十数年後の秋、イェンスが当時履いていたサンダルが高齢者ホ . . . 本文を読む
訳・北山克彦晶文社1997年8月 初版2018年4月 17刷398頁イリノイ州グリーン・タウンに暮らす12歳の少年ダグラス・スポールディングの1928年の特別なひと夏を描きます夏の終わりの日眠ろうと目を閉じたダグラスは考えます6月の夜明け、7月の正午、8月の宵は過ぎ、終わり、おしまいになって、永久に去ってしまい、ただそのすべての感覚だけを、ここの頭のなかに残してくれたいまや、過ぎ去った夏の総決算を . . . 本文を読む
訳・入江真佐子ハヤカワ文庫2006年 3月 発行2017年10月 12刷530頁解説・古川日出男上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクス10歳の時に貿易会社に勤務する父と反アヘン運動に熱心だった母が相次いで謎の失踪を遂げたため孤児となりロンドンに帰国して叔母の元で暮らすことになります両親の行方を突き止めるために探偵を志したクリストファーは、やがて幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た後、 . . . 本文を読む
訳・望月哲男光文社古典新訳文庫2006年10月 初版第1刷発行 333頁2作品とも後期トルストイの代表的な中編小説です「イワン・イリイチの死」19世紀ロシア、イワン・イリイチというひとりの裁判官が人生の盛りで控訴院判事という要職に就くのですが、些細な事故をきっかけに病を得て三か月ほどの闘病生活の後に死んでいくというできごとを描きます死の迫真性と死生観には普遍性があります死と向かい合う人間 . . . 本文を読む
訳・山本やよいハーバーコリンズ・ジャパン2019年3月 第1刷発行188頁映画「マイ・ブック・ショップ」の原作です1959年、イギリスの海辺の町・ハードバラで夫のわずかな遺産で細々と暮らしているフローレンス・グリーン彼女は何となく影が薄く人々の話題にのぼることも滅多にない地味な女性でしたしかし、最近になって、自立した存在であることを自分自身に、そしてできれば他の人々に対してもはっきり示す必要がある . . . 本文を読む
訳・三角和代ハヤカワ・ミステリ2013年4月 発行453頁スウェーデン、エーランド島の石切場近くのコテージに暮らし始めたペール・メルネルある日、彼のもとに疎遠だった父・ジェリーから迎えに来てほしいと電話が入ります渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父であり、直後に別荘は全焼しますなぜこのような事件が起きたのか?ペールは娘の病気などの悩みを抱えながらも父の暗い過去を探り始める . . . 本文を読む
訳・中村白葉岩波文庫1932年9月 第1刷発行1965年7月 第30刷改版発行2019年5月 第101刷発行178頁トルストイ晩年の執筆になる5つの短篇を収録「人はなんで生きるか」「火を粗末にすると―消せなくなる」「愛野あるところに神あり」「ろうそく」「二老人」宗教家、道徳家としての面が強く打ち出されていますが、一般民衆によく理解されるもの、世界的宇宙的に普遍なものでなければならぬ、と考え、形式、 . . . 本文を読む
原題 THE SONGAMINUTE MAN訳・浅倉卓弥ハーパーコリンズ2018年12月 第1刷381頁
2016年秋、イギリスでアルツハイマーの80歳の老人がCDデビューを果たしますテッド・マクダーモットが病気を発症したのは数年前陽気だった性格が一転して怒りっぽくなり、昼夜問わず妻に当たり散らし、ガラクタを庭に集め、実の息子・サイモンのことさえ忘れ症状は悪化の一途を辿るばかりそ . . . 本文を読む
訳・飛田茂雄ハヤカワepi文庫2019年1月 発行解説・小野正嗣316頁
戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名を成した画家の小野多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にありましたが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなり、引退後は屋敷に籠りがちになります老画家は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観の狭間に揺れるのでした
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訳・生島遼一新潮社世界文学全集111969年10月 発行1970年 8月 3刷解説・新庄嘉章351頁
ミア・ワシコウスカ主演「ボヴァリー夫人2014」を観て、原作はどんなだろうと読みました読んだのは実家から持ってきた中学生の時に親が買ってくれた世界文学全集に収録されているものです40年以上も前から所有しながら読んでいなかったとは…でも当時読んだとしても理解出来なかっ . . . 本文を読む
訳・小山太一新潮社2003年4月 発行2003年11月 3刷439頁
映画「つぐない」を観て読みたかった原作キーラ・ナイトレイとシアーシャ・ローナンで脳内再生しながら読みました
第2次大戦開戦前の1935年の夏、地方の旧家に暮らす13歳の少女、ブライオニー・タリス父親は仕事で不在、母親は持病の頭痛で伏せがちな中、休暇で帰省してくる兄とその友人、両親の離婚で一時的 . . . 本文を読む
訳・中村融河出文庫2014年 1月 初版発行331頁
映画「マイ・ブックショップ」を観て興味が湧いた作品1946年から52年にかけて書かれた旧作と2003年から04年にかけて書かれた新作が半々、計21の作品が収録されています序文冒頭の訳注によれば「猫のパジャマは、すばらしい人/ものを意味する俗語」とのこと
表題作「猫のパジャマ」捨てられた仔猫をめぐる . . . 本文を読む
訳・田久保麻里白水社2013年 5月 発行144頁巻末エッセイ・いしいしんじ
舞台はヨーロッパの雪の多い山間の小さな町病気で臥せっている父と夜こっそり家を留守にする母と暮す〈ぼく〉養老院で老人の散歩の介助をして小遣いを貯めている彼はある日、古道具屋の鳥籠のトビに心を奪われますトビを買い取るためには今ある貯金では足りず辛い仕事も引き受けることにします毎晩、父の枕もとでト . . . 本文を読む
新潮クレスト・ブックス訳・長山さき2017年8月 発行211頁
ロシア革命の翌年、サンクトペテルブルクからオランダに逃れ、悲惨で理不尽で滑稽なロシアをめぐる話を〈ぼく〉に語り続けた祖父事実か嘘か判然としない語りには、意に反して祖国を出なければならなかった祖父の郷愁、絶望、慟哭が詰まっていますロシアとはそういう国だったのか…改めて体験者 . . . 本文を読む