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橋本紡「もうすぐ」

2011年11月22日 | は行の作家

 

新潮文庫
2011年11月 発行
解説・河合蘭
509頁

 

ネット新聞社に勤務する篠原由佳子
全国紙から依頼されある事件を追い始める
それは手術中に妊婦を死亡させたとして産婦人科医が過失致死で逮捕された医療事故だった
次々と明らかになる出産現場の驚くべき事実
やがて行き着いたのは、現代において子どもを求めるとはどういうことなのか、という大きな問いだった


橋本さんなので医療ミステリーでも刑事ものでもありません
物語を通して、産婦人科医療へ、子どもをもうける適齢期にある男性、女性の生き方へ、大きな問題を投げかけています

出産についてさまざまな立場にある女性が登場します
勿論、その夫たちも
辛い不妊治療を乗り越え無事妊娠出来た女性
定期健診を受けていたので安心していたらお産をするには事前の予約が必要だと言われ危うくお産難民になるところだった女性
子どもをもうけようと必死になるあまり夫との間に大きな溝が出来てしまう女性
不倫相手の子を出産した大学時代の友人

由佳子自身も出産適齢期ギリギリ、事実婚の相手と暮らしているものの子どもをもうけようとは考えていません
そんな由佳子がネット新聞を通して知り合った女性、「バース・コンシェルジェ」というビジネスを展開する女性経営者、産婦人科医への取材を通して、また友人の出産に立ち会った経験から、少しずつ「子どもをもうけること」への考えが変化していきます


本書の中で産婦人科医が警告を発している、美しく着飾り街を闊歩するアラサー、アラフォーの方々には不愉快な内容かもしれません

子どもを産み、育てるのが難しい国になってしまった日本
どうなってしまうのでしょうね


橋本さんの作品は大抵涙がボロボロ流れて困るくらいなのですが本書ではそういうところはありませんでした
そこが少々残念でした

 

 


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