角川文庫
2020年6月 初版発行
637頁
「開けずの間」
行き違い神に取り憑かれ滅んだ一家の話
背筋がゾクリとなる怖さでした
取り憑かれる人間には取り憑かれる理由があるのです
「だんまり姫」
あやかしを呼び寄せる声が不思議を起こす話
不思議な声の持ち主である女性の人生が良きものであったのは幸いでした
「面の家」
世に災いをもたらす面を守る番人とその家の話
心に邪なものを持つから邪な声が聞こえる、とは正しいのかもしれません
「あやかし草紙」
読んではいけない冊子を写した侍の話
冊子を写したがゆえ自分の死期を知ってしまった浪人の思いが辛過ぎました
(同じ顔をした六人の男と結婚した老女の話)
良縁に恵まれながら、死別を繰り返し六度も結婚した女性
六人の夫と出会って別れはしたものの顔がよく似ていたので胸の内ではずっと一人の夫と添い遂げたような気がしないでもない、と言います
本人の目には似ているように見えただけなのかもしれませんがありそうな話です
「金目の猫」
十四年前に三島屋を去った金目の白猫の話
三島屋の息子二人の幼少時の不思議な体験
生霊の話ですが優しい心持の話でした
今作で三島屋の黒白の間で聞き手を務めてきたおちかが卒業
三島屋の次男でおちかの従兄である富次郎がバトンを受けて聞き手となり六之続へとつながるそうです
宮部さんによる文庫版あとがきを読むと、このシリーズはまだまだ続くようで楽しみです♪
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