文藝春秋
2018年5月 第1刷発行
509頁
声優への夢破れ派遣社員として働く杉山未來、32歳独身
福岡に暮らす両親、弟妹と離れ、祖母の朋子と東京で2人暮らしをしています
ある日、祖母が台湾生まれであることを知った未來は祖母の骨折、入院を機に、彼女を元気づけるためゆかりの地を訪ねようと7日間の予定で台湾へと旅立ちます
父親の伝手で案内してくれることになった親切な台湾人たちと一緒に調べ始めますが、最近の祖母は物忘れが激しいうえ、戦前の記憶も曖昧でなかなか手がかりが見つかりません
そんな中、未來は戦後に台湾を襲った悲劇と、台湾に別れを告げた日本人の涙を知ります
一方、祖母は認知症を発病し、自らの衰えに言いようのない恐怖を覚えていました
それに追い打ちをかける祖母の遺産目当ての叔母・真澄の動き…
未來は7日間という限られた時間の中で祖母のふるさとに辿り着くことができるのでしょうか
ふるさと探しの中で出会った台湾人女性の語る辛い過去が長いと思いましたが、未來が自分の将来を考えるためにも必要な物語で、これこそが乃南アサさんの著したかったことなのかもしれません
ただ、帯にあるような“未来が下した人生の決断”が、台湾への語学留学なのはインパクトが弱いような…
サスペンス系を期待したのがいけなかったようであまり面白く読めませんでした
台湾旅行記、台湾の歴史本ともいえるかも
著者には台湾もの「美麗島紀行」「ビジュアル年表 台湾統治五十年」もあるそうで台湾のことを知りたい時には大いに参考になりそうです
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/761911e2c47e19413776c4b6af3d48c0
昔、祖母が住んだらしい家がみつかるあたりは印象的でした。台湾製糖という企業があったこともはじめて知りました。昔の親族が台湾総督府に勤めていたことがあったそうな。意外です。
自分が台湾について何も知らないということがよ~く分かりました。
日本についてさえも、かもしれませんが。