角川文庫
2018年 8月 初版発行
解説・末國善己
上巻 286頁
下巻 271頁
若くして扇野藩士の後家となった紗英は、江戸城内で吉良上野介に切りつけた赤穂藩主浅野内匠頭が切腹の直前に“最後の言葉”を聞いたという行いが将軍綱吉の機嫌を損ねた故江戸から配流されてきた旗本・永井勘解由の接待役兼監視役を命じられます
紗英と勘解由の穏やかな日々が過ぎていくある日のこと
浅野家国家老大石内蔵助が密かに訪ねてきます
勘解由に惹かれ始めていた紗英は自らの立場との間で大きく揺れ動くのでした
主人公の紗英はいつも葉室さんの作品に登場する女性らしく、強く聡明で高潔です
しかし、女性らしい弱さも併せ持っており目が離せませんでした
勘解由の人物造形もしかり
忠臣蔵のサイドストーリー的な作品でエンタメ性もあって厭きることなく読み進み
終盤には大きな感動が待っていました
葉室さんが亡くなられて早や2年と4か月
ようやく葉室さんの死を受け入れられるようになったと思っていましたが
作品を拝読すると「惜しい」
その思いが再燃します
毎回書いていますが未読作品を大切に大切に読んでいきたいです
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