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奥田英朗「コメンテーター」

2024年11月12日 | あ行の作家


文藝春秋
2023年5月 第1刷発行
271頁

前作「町長選挙」から17年
トンデモ精神科医、伊良部一郎復活!

予約したのが何時だったか忘れるほど待ちました


「コメンテーター」
視聴率命のテレビ業界
コロナ禍の下、ワイドショーにコメンテーターとしてオンライン出演することになった伊良部先生と看護師のマユミちゃん
局の心配をよそに視聴率はうなぎ上りに…

「ラジオ体操第2」
怒りを溜め込むことが原因で過呼吸になってしまう営業マン
伊良部先生の荒療治が始まります
「空中ブランコ」に登場した尖端恐怖症で箸も持てなかったやくざが登場
今では表向きカタギに戻っているようです

「うっかり億万長者」
サラリーマン生活が合わず、若くしてデイトレーダーとして生きる若者
ワンルームマンションにこもって過ごすうち他人との接触が苦痛になりパニック障害を発症します
資産10憶円と聞き、億ションや高級外車などの購入を薦める伊良部先生
果たして治療に繋がるのでしょうか

「ピアノ・レッスン」
世界的にも有名なクラシックピアノの演奏家
突然、密室に耐えられなくなり新幹線にもタクシーにも乗れなくなり、広場恐怖症と診断されます
たまたま時間が空いていたことからマユミちゃんのバンドに参加したことが功を奏し…

「パレード」
地方から東京の有名大学に進学した青年
ところがコロナ禍のあおりを受け、入学式もなく授業はオンライン
他の学生たちとの関りを持てないまま過ごすうち大学に馴染めなくなってしまい、社交不安障害と診断されます

ハチャメチャ伊良部先生健在で楽しかったです
楽しかったけれど、内容は結構シビア
過去の3作では、犯罪すれすれだった伊良部先生の治療方法が本作では現実的で的確なものと思いました
心を病んでいる人が増えたと思われるこの頃
これくらいの荒療治は必要なのかもしれませんね

シリーズ次巻があるのであれば、あまり時間を置かず刊行してもらえたら嬉しいです

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