みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0660「しずく47~姉妹」

2019-09-17 18:22:36 | ブログ連載~しずく

 玄関(げんかん)から中を見回すと広いフロアになっていて、目の前には四つの同じ扉(とびら)があった。車椅子(くるまいす)の女性はつくねを右端(みぎはし)の扉へ導(みちび)いた。車椅子が扉の前まで来ると、音もなく扉が開(ひら)く。つくねは女性の後について部屋(へや)の中へ入った。
 部屋の中はしゃれた洋間(ようま)になっていて、窓(まど)からは柔(やわ)らかな朝の光が差(さ)し込んでいた。テーブルの上にはお茶(ちゃ)のセットが並(なら)んでいて、二人の娘(むすめ)が楽しそうにお茶を飲んでいた。つくねを見ると、そのうちの一人が駆(か)け寄ってきてつくねの腕(うで)をつかんで傷(きず)を眺(なが)め回した。突然(とつぜん)のことで、つくねは思わず悲鳴(ひめい)をあげてしまった。するとその娘は、
「ごめんなさい。これが私たちのお仕事(しごと)なの。すぐに治(なお)してあげるね」
 治す? つくねは戸惑(とまど)った。この二人、全く同じ顔をしているので双子(ふたご)なのだろうが、どう見ても自分より年下の小学生か、中学生ぐらいにしか見えない。車椅子の女性が娘たちを促(うなが)すように言った。「さあ、あなたたちの出番(でばん)よ。助(たす)けてあげて」
 その時、扉が開いてしずくを抱(かか)えた柊(ひいらぎ)あずみが入って来た。さっきの娘が駆け寄ってきて、しずくの頬(ほお)に手を当てる。数秒そのままでいたが、同じ顔をしたもう一人に言った。
「アキ、さぼってないでお仕事よ。向こうでこの人を見てあげて」
「えっ、いっつも大変(たいへん)なのはあたしにやらせるのね。ハル、ずるいわ」
「私もすぐに行くわ。時間がないのよ、すぐに始めないと大変(たいへん)なことになっちゃう」
<つぶやき>しずくは目覚(めざ)めるのでしょうか? この姉妹(しまい)も新たな能力者(のうりょくしゃ)のようですね。
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