山梨の花を探して、楽しんで

山梨の豊かな自然に育まれている植物、特にその季節に咲く花について書いてます。

畑熊のミスミソウの現状 山梨県自然記念物

2023-03-01 20:18:58 | 貴重な花
少し前ですが3年ぶりに畑熊のミスミソウを見に行ってきました。
ここは山梨県の自然記念物に認定されている場所です。



途中で何人かの方と出会い、この場所についてお話をお伺いすることができました。

昔はほんとにたくさん咲いていたよ。
かなり盗掘されてもうほとんど残ってないよ。
今年はぜんぜんないよ。

それから上のほうや植林地の中も歩いて、花や葉を探しました。
前に来た時よりもやはりずいぶん減っていました。





わりとピンクっぽい色の花があるのがここですね。
結構荒れているので盗掘とかよくわかりませんでした。
むしろ気になったのは斜面の踏み荒らしでした。


上の岩の横に咲いていたんですがそれを撮ろうととして斜面を登った跡が、、、。
よく見るとその登るために踏み込んだとこには葉っぱが、、。

近くですがこんな場所もありました。

まわりが落ち葉だらけなのにミスミソウのまわりだけありません。丸い範囲で
葉がのぞかれてましたい。う〜んて感じです。

両方そうですがそれほどまでして写真を自分のためのいい写真を撮りたいのでしょうか?
山野草が好きとか保護が大事といってるかたでも以外に多いです。
また林の中には動物なのか人なのかわかりませんがいっぱい道ができていました。
盗掘だけでなくこんなことの積み重ねが減少につながっているのではと思います。

ルールやマナーを守ってといわれるけど、ルールやマナーってどんなことなんでしょうね。
別に考えてみたいです。きっと人によって違うと思いますし。

中には道で踏まれないようにこんなふうに岩で囲ってありました。
こんな方が多いといいなぁと感じました。

県が自然記念物として指定しているのにどうしてここまで守られてないのでしょうか?
看板に書かれてる県の条例はこんな感じです。
曰く
8 この条例において「自然記念物」とは、動物(生息地を含む。)、植物(生育地を含む。)、地質鉱物(所在地を含む。)等で住民に親しまれているもの、ゆい緒のあるもの又は学術的価値のあるもののうち、将来にわたつて保存する必要があるものであつて知事が指定したものをいう。

将来にわたって保存する必要があると。
県のHPにはここの詳細な情報もありました。
私有地でした。勝手に立ち入りましたが、公開していただいてる方  ありがとうございます。
でも指定されたのが昭和49年  西暦1974年だから もう約50年守られてきたのですね。
昔の本を読むと芦川渓谷にはあちこちにミスミソウがあり、そのうち一番多く集まっていたここを自然記念物としたと書かれていました。他のところは元気にまだ生息しているのでしょうか、気になります。
山梨のレッドデータブックによれば生息してるのは4メッシュ、少ないです。
県内ではとても有名な場所なので、県や町のこういった関係の方や自然監視員の方など監視役の方もきてらっしゃるのでは。
でも以前としてなにも保護に手が出せないのはどうしてなのでしょうか?
私有地だからなのでしょうか?
他にいい写真が撮れる場所がまだあるからでしょうか?
お金がないからでしょうか?
いろいろ考えてしまいました。

近くのセツブンソウ生息地も今年は激減したと感じました。
なんとか次の世代につなぎたいです。







絶滅危惧種とそれを守る動き

2023-01-15 18:20:00 | 貴重な花
山梨県の絶滅危惧種はレッドデータブックにまとめられています。
最初が2005年版、次が2018年版になります。
2018年版はその後のアップデートも含めて県のHPで公開されています。
三年間の調査の結果だとあり、関係者の大変なご苦労のたまものだと感じます。
ありがとうございます。

本も販売されていますが、現場で確認することも多いため私は名前やランクをair tableでデータベース化しています。
そこに一緒に人から聞いた話やネットで見かけた情報などを加えています。
見つけるためというよりも現場で希少性を判断するためです。
山梨県のレッドデータブックでは二次メッシュで生息場所を示されています。また2005年には生息していたが2018版調査の際に確認できていない場所も記されています。
なので生息するとされる二次メッシュ以外の場所や今回の調査で生息確認できていない場所で見つかった場合は貴重な情報だと私は考えています。

ただ残念なことにこうやって希少性のランクづけを行なっているレッドデータブックは減少の要因分析はされていますが、これに基づいてどのように保護するのかまでは決まっていません。貴重な絶滅危惧IA類があると知られている場所でも鹿害や人的被害から守られていないところがほとんどです。ましてやレッドデータブックを元に絶滅危惧種を探しだしてSNSなどに場所などについて公開される方もいたりして、このレッドデータブックが希少種を守ることになっているのか怪しいと個人的には感じています。実際によく目にするように植物や写真の愛好家によると見られる生息地の踏み荒らしが年々増えてきていますが、人の踏み荒らしはこのブックの要因にはあがってますが個別種の要因にはあまり盛り込まれていません。

最近見かけたお隣の静岡県のレッドデータには対応方針が明記されています。
p27と28に書かれています。読むと一見鷹揚な策に思えますが、実際に希少種の減少に遭遇した場合、なにをすべきなのか考えるもととなると思いますし、実際に行政に働きかけるもとになると考えられます。山梨にもぜひ欲しいものです。

一方、あちこち歩いていると偶然これ以外の種を見つけたり、二次メッシュ以外の生息場所を見つけることも少なくありません。またよくご存知の方からそういうことを教えていただくこともあります。そういった県内にある情報を集めればいいのにと思っていたのですが、先日それはすでに着手されているのだということがわかりました。
山梨県の植物研究の中心である山梨県植物研究会の「山梨植物研究」のNo.34(2021)を県立図書館で拝見した時にそこに絶滅危惧種危惧種に関する調査を継続されていることが記されていました。
2021年の確認報告は290種910件、うちレッドデータブックに記載のないものが33種59件あったそうです。
また毎年重点種(2021年は50種)を決め、過去や新しい情報の生息場所の確認をされていました。
また生息場所は二次メッシュではなく、GPSデータ基づいた三次メッシュで管理されていました。
こういった積み重ねが現状を常に最新の情報で確認できていると感じました。
私の目撃例もうまく伝えられるといいなと思います。

希少な花を山などでよく見かけますが、このレッドデータブックが希少な花を守り、将来に渡ってつなげていくことに役立っていくことに少しでも協力したいなと感じています。






SNSによる情報拡散と希少植物について 〜2022年感じたことのまとめ〜

2022-12-30 20:59:00 | 貴重な花
個人のブログに加えてインスタやFacebookなどのSNSにたくさん希少な花が掲載された年だったと思います。
希少な花をアップされているのは花好きの方に加えて、写真好きの方が加わってきました。
個人的には写真は構図などセンスやタイミングが必要なのに比べて花は咲いていればそこそこ話題になります。そこに目をつけられたのかなぁと。なので気軽に生息場所も書かれている感じもします。

またSNSではほかの方が見られないごく稀なものや一番に掲載する先取り性がイイネをたくさんもらう要素になっていると感じます。なので私見ですが私は知ってるよとか、私はもう見たよなんて感じの投稿が続々とアップされています。
アップされる方の鼻高々感が透けて見えます。
でも現場的には大丈夫なの、希少な花は守られているのという視点からは残念と思えることが今年多かったです。
場所を推定できそうな記事や写真を載せたブログがあったり、
咲き始めをSNSでアップされた場所で踏み荒らしがあったり、
なかにはそこで推定される場所で盗掘が起こったり、踏み荒らしで株が激減したりしてました。
私がみた箇所だけでも数十箇所なので山梨全体ではもっと多いと思ってます。
咲き始めにその生息地を花を探して歩きまわれば幼猫を踏みつけることが多いのをどれくらいの方が理解されているのでしょうか?  近づかない撮影できないようなスマホで撮影されている方が多くなったのも気がかりです。

こんなことを書いてもこの希少な花をSNSにアップする流れは今後ますます大きくなると思っています。
保護団体なども自団体やご自分の実績づくりであちこちに首を突っ込まれて迷惑かけられている例も今年見ました。
来年はもっと直接的に声をあげないといけないのかもしれません。悩ましいもです。
希少な花を守るためにSNSにアップしないという方が増えるといいなぁと思います。










ハスカップはどこに?

2022-11-15 23:48:00 | 貴重な花
ぽつんと一軒家という番組を見ていたら、ハスカップを栽培されている家を取材されていました。
ハスカップって名前を聞いたことはあるけどよく知りませんでした。
未知な私は番組内でハスカップは「クロミノウグイスカグラ」と紹介されてびっくり!!しました。

クロミノウグイスカグラ   ときどき書いていたヒョウタンボクのお仲間で
山梨県では高山帯2メッシュにしかない、CRです。
近くの山にも昔あったとの記録を見つけて一度探しに行こうかと思ってたんです。

ウグイスカグラ   最初はよくウグイスカズラなんて覚えてました。先日  学校の校庭にそう表示されて
いるのを見かけてなんとかできないかと考えてました。家のまわりはミヤマしか見かけません。
その実は小さな赤い実ですが、それが黒いものかなぁだと単純に思っていたのですが、番組ででてきたハスカップの実は
大きかったです。プルーンの実に似てました。自然のものから改良された品種なのでしょう。

ネットで調べたら  ヒョウタンボクに似た淡黄色のラッパ状の花をつけるようです。花期は5-7月。
来年、花が咲く頃にいってみるかなぁ。
この冬はヒョウタンボク一族のアラゲや北岳で見かけた似た花や他県で見たオオヒョウタンボクなどの写真を
図鑑と見比べてみてきちんと差別ポイント確認しておきます。アラゲ実も見たし、他のものも実を含めてまとめなおしたいです。


野生絶滅の種 サルメンエビネとトキソウ

2022-02-07 14:41:00 | 貴重な花
山梨県の野生絶滅4種の過去の資料や図鑑をみてみました。

サルメンエビネは山梨県植物誌などの1981年頃の資料に記載がないので、その後見つかりそして確認できなくなったものと推測していました。実際レッドデータブック(以降RDB)には御正体山で1988年に確認されたがその後生育は確認されていないと書かれていました。図鑑で見るとサルメンといわれる独特な花が印象的です。エビネに比べて越冬葉がかなり大きいようなので、今の時期に葉っぱを見つけるのがよさそうです。場所は針葉樹林帯の下部からブナ帯にかけ、落葉樹林の林下。水がしたたる沢沿いの斜面や苔むした岩が点在するようなかなり涼しい場所に生息と書かれていました。花期は5〜6月。関東では東北よりも標高の高い1200mあたり(日本の野生ランなどの記述)。エビネと同じようであれば、あくまでも個人的な見解ですが、暗いというよりは今の時期に日当たりがいいような山の南向きの斜面や小さなピーク周辺かなとも思います。ただ過去の情報からいっても発見の確率はとても低い気がします。

トキソウはすでにRDB2005年でも野生絶滅とされており長い間生息確認されていない種のようです。尾瀬などで見られるように山地の日当たりのいい湿地に生息するといわれています。RDB2018によれば「山梨の植物誌@1982」に八代町大口山にあると書かれていたが今回の調査でも見られなかったと書かれていました。先日2019年に小林岳さんが市町村誌などの情報をまとめられた「山梨県植物分布誌」を見たら、たかんた、破魔射場、富士山、大口山と四ヶ所が書かれていました。
ここからは個人的な見解です。トキソウは小さくあまり目立たなく、また湿地帯は自由に歩きまわれるわけでもないのでやはり花が咲いていないと探すのはかなり難しいのではと感じます。花期は長野県での撮影記録を見る限り7月中下旬かなと考えてます。いわゆる湿地だけでなく、草原の中の小さな水が溜まるような場所でも生息しているようなので、昔あったとされる場所で今でも日当たりがよく草が茂っているような場所を幅広く探していくとどこかに少し生き残ってるかもしれないと考えています。 今年は二ヶ所歩いてみようと思います。

次回からはIAのメッシュ1で私が判別がつきそうなものをご紹介します。