山梨の花を探して、楽しんで

山梨の豊かな自然に育まれている植物、特にその季節に咲く花について書いてます。

山梨における3つのビランジの位置づけ

2020-08-31 21:23:00 | 貴重な花
先日、花に詳しい方からオオビランジとビランジの違いについて確認されました。
写真をみて私なりの見解をお答えし、見分け方もお話したのですが、正解は教えていただけないままです。


山梨にはオオビランジ  、ビランジ、タカネビランジの三種類があります。
その違いについていろいろ考察されているブログもあるし、差異についての私見も
紹介されていますが位置づけについてはありませんでした。

そこで私が確認できた三種類の位置づけについてまとめてみました。

名前で誤解される方もいますが、
オオビランジ  が基本種で残り二つが変種になります。
Ylistで確認すると三種類とも「標準」とあり、種として認識されていました。

オオビランジと変種の一番大きな違いは萼筒に毛があるかないかです。
またタカネは高山帯に生息という環境要素があります。
茎の上部の毛のことを書かれているサイトもありますが、上部という表現が定量的でなく
株の大きさなどによってあいまいになり、判別しにくい観点だと私は思います。

次に山梨県と国の位置づけについて説明します。
2018年の山梨県レッドデータブックに記載があるのはオオビランジとタカネビランジのみです。
そのオオビランジの備考にこう記載されています。

「類似種のビランジは山梨県独特のものであり、萼筒に線毛があり、背丈が伸びないなどの特徴が
あるが、形態に変異があり特定しにくいものがある。」

なにを言いたいんだかよくわからない文章ですね。
独特というのもすごい表現です。他の県で絶滅危惧種に指定してるとこもあるのですが、、

2005年の山梨県のレッドデータブック見るとその謎が解けました。

当時、ビランジはなんとCR(絶滅危惧IA類)!
その備考には、
「環境省2000年RDBの報告書では、本種はオオビランジに含まれてるが
本県では分離して扱った。」
県の断固たる決意がうかがえます。

この記載はタカネビランジも同様でした。
また2018年の山梨県のRDBのタカネビランジの備考にも同様なことが書かれてました。

2018年の山梨県のRDBにはビランジがなくなっているのは、環境省に従い、オオビランジに
含めてしまったということのようです。
オオビランジは環境省では準絶滅危惧種の扱いです。

日本のレッドデータ検索システムというページを見ると、
ビランジは山梨県はやめましたが、埼玉、群馬、長野、岐阜では絶滅危惧種にされています。
タカネは山梨と長野だけです。

ということで三種は環境省というか国としては2つの変種を含めてみており、山梨県も
ビランジを変種として区別していないという感じですね。
絶滅危惧種として観察したり、保護する場合はこの観点は必要ですし、知ってないといけないですね。

RDBをすべて読んでいないのですが、結構 特異的な植物なんじゃないかと感じました。








植物の名前 温故知新

2020-08-29 10:52:00 | 花探し
最近、再び西側のいくつかの山の植物調査結果を読み直してみた。
そこで気づいたことがいくつかありました。
一番大きかったのはそこにあると知っていた植物に似た名前が書かれていたことです。

山野草を楽しみはじめて5年になるが系統だてて勉強していないので
それらは聞いたことがない植物ばかりだった。

具体的に書き出してみるとこんな感じです。

知っていたもの、過去文献にあったもの  の順です。

ハクサンフウロ、エゾフウロ
レイジンソウ、アズマレイジンソウ
ソバナ、フクシマシャジン
クロユリ、ミヤマクロユリ
チダケサシ、ハナチダケサシ
ツルニンジン(ジイソブ)、バアソブ
カワラナデシコ、エゾカワラナデシコ
などなど、、

差異はある程度ネットで調べられるが、これまで信じていただけに
差異がわかるような写真をとっていないし、実物を確かめてみたわけでもない。
花が咲いているうちにいって早く確かめねばと思う。

上に書いたのはなんとなく名前が似ているのでもしかしたらと気づいたものです。
それ以外にもまだあるかもしれません。
もっと読み込まないといけないなぁ〜と感じました。

花と蝶の関係

2020-08-27 13:10:00 | 保護活動
よく訪れる櫛形山に関する気になる記事を見つけた。
山梨県みどり自然課がまとめた「かけがいのない 山梨の生き物たち」という資料に
こう書かれてあった。

ミヤマシロチョウ(シロチョウ科)
八ヶ岳山系から南アルプスとその前衛山系の亜高山帯から記録があったが、現在、生息地櫛形山系からの記録はなく、
八ヶ岳山塊でも絶滅が心配される。

いったいどういうことなのだろうかと
はじめて山梨県レッドデータブックの昆虫編を見てみた。

山梨県絶滅危惧IB類、環境省絶滅危惧II類。
そこにもメギを植樹とする櫛形山系からの記録がなくなったと書かれていた。
甘利山も同様のようだ。
標高1500〜2000mに生息しており、櫛形山は植林地が生息地で人為的に除去されたのが原因ではないかとも
書かれていた。また採取によるものとも書かれている資料もあった。
その資料によると見かけなくなったのは1980年代中頃からで、もう戻ってくるのは難しいかもしれない。

これまで植物の保護について調べ、考えてきたが蝶の視点は全く持っていなかった。
レッドデータブック載っている蝶で関係しそうなのはその他3種類もあった。
これらの蝶の生息地に関しては甘利山の表記もあったので一緒に考えてみたい。

まず最初の話に出てくるメギだが、昔の資料によると中尾根1000〜1500mにあったようだ。
今はどうなっているか全く把握していない。
これから紅葉して目立つと思うのでぜひ現状を確認したい。
状況によっては保護したほうがよいのかもしれない。
また蜜源植物も重要なようだ。お花畑が復活しているから大丈夫なように感じるが
種類まで細かく見ていく必要があるように思う。

植物保護の観点はその希少性だけではなく、昆虫を保護する観点でも考えていかないと
いけないと今回強く感じた。






いわない努力と希少植物の保護

2020-08-25 20:01:00 | 貴重な花
山をあちこち歩いていると、希少な植物に出くわすことがある。
それが本当に希少だったり、可愛い花だったりすると誰かにその思いを伝えたくなる。

可愛い花は写真を見せるとその可愛いさが伝わる。
中には私も見たいという人がいて、場所を教えてあげるとさらに喜ばれる。
そして可愛い花を見た友人は感動し、また誰かに聞いてほしいと思いたつ。
感動は伝わっていくものだ。

逆に希少性の感動は伝わりにくい。
身近にそういう人がいるのは稀で、全国で同じような趣味の人が見られるようにSNSなどに
アップすれば感動が伝わる。そこで仲間ができたりもする。
そういった仲間に話せば、希少性の感動はすっごく伝わるし、それを見つけたことを
すっごく讃えられることになり、また頑張ろうという気持ちにもなる。
もちろん可愛い花の友人よりももっと場所の情報を求められる。
事前に自分が他の希少な植物の情報をもらっていれば、教えてあげざるを得ない。
でも今後もまたもっと希少な植物の情報も教えてくれるかもしれない。

でも意外に気づかないいくつかの思い違いがある。

可愛い花が好きな人は植物を大切にする人だと思い込むけど、
可愛い花の写真を綺麗にとってみんなにみせたいという人だったりする。
咲いている花の一番いい花を可愛く見えるいい角度で撮るために、まわりの咲いてない花や
幼い苗も踏みつけてしまったりする。遊歩道のロープを乗り越え、他の花を踏みつけてその花に
迫っていくし、見映えがよくなるようにまわりの植物を排除したりもする。
スプレーで水滴をつける人を見たこともある。
どんなに多いことか!

また可愛いから自分の庭に置きたくなる人もいる。育てられないとわかっていても自分は違うと
思っている人もいるし、何度か試せばと思う人もいる。
驚くことに昔植物保護に携わっていた方の庭に山野草の絶滅危惧種があったりする。

人の欲望は表面ではわからない。

希少な植物が好きだから、その保護に協力してしてくれると思い込むけど。
希少な植物ではなく、そういった希少なものを見つけることが好きな人だったりする。
見つけたことを自分の成果のようにあちこちで触れ回ったり、次の希少な植物を見るための
取引材料に使ったりする。そうやって希少な植物の情報は広がり、多くの人がその場所に
訪れ、生息地が荒らされ、さらに情報が広がっていくことになる。

希少な植物を守るのは難しい。
でも最近 その一歩はぐっと我慢して誰にも話さないことだと思うようになった。
また早急に保護すべき植物はしかるべき筋に話し対応をとること。
国や県あるいはその山を守っている人と一緒に。その時だけ口を開きたい。















YAMAPの希少な花への取り組み

2020-08-08 18:40:00 | 保護活動
山の山行記録はこれから登ろうとする時にとても参考になります。
駐車場の状況からはじまり、登山道の様子や花の開花まで。
破線ルートや未確認のルートを登られたこともとても参考になります。
そこでささやかですが自分も登ったときは次の方に役立つように山行記録を投稿するようにしています。

そういったサイトはヤマケイ、ヤマレコ、そして最近若者中心に普及しているYAMAPがあります。
そのYAMAPを見ていたら、植物の保護に関しての考え方が書かれていたのでご紹介します。
こういったスタンスがこの会社のいいところだと思ってます。

環境省レッドリスト掲載の植物の投稿禁止
またYAMAPがその投稿を見つけた場合、確認の通知を入れる

他のページには珍しい花を見つけて投稿した場合、希少かどうかを判別するソフトを開発中とも
書かれていました。

もちろんQ&Aにはこういうサイトが盗掘の原因ではないかとの問題提起がされていました。

希少な植物を守るためにはネットへの情報公開のやり方をどうすればいいのかを考えさせられました。