28日午前の日本共産党国会議員団総会で、志位和夫委員長が行ったあいさつ(全文)は次の通りです。
安倍政権を退場させる歴史的チャンスの選挙
いよいよ解散・総選挙です。安倍首相は正午からの本会議で解散を強行しようとしています。
冒頭解散――こんなに道理のない、こんなに無法な解散は、戦後初めてのことと言わなければなりません。野党が6月22日に憲法53条にもとづいて要求した臨時国会の召集を、3カ月以上放置したあげく、召集したと思ったらその日に解散する。その理由はただ一つ、「森友・加計疑惑隠し」――この一点です。憲法違反の暴挙に強く抗議しようではありませんか。(拍手)
同時に、この暴挙は、国民のみなさんの世論と運動に追い詰められた結果です。東京都議選での歴史的惨敗によって追い詰められた結果です。
ですから、この総選挙は、安倍政権を退場させる歴史的なチャンスの選挙になります。市民と野党の共闘の成功、日本共産党の躍進で、安倍政権を退場させ、新しい政治をつくる選挙にしていこうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
最大の争点は安倍暴走政治――退場の審判下し、政治を国民の手に取り戻そう
総選挙の争点は何か。いろいろな争点を提起していきたいと思いますが、最大の争点は、安倍暴走政治です。安倍暴走政治をこのまま続けていいのかが最大の争点です。この5年間、安倍自公政権がやってきたことは何か。
憲法をこれだけないがしろにした政権はかつてありません。
2013年12月、国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法を強行しました。2015年9月、「憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は許されない」という、戦後半世紀にわたる政府の憲法解釈を百八十度ひっくり返して、安保法制=戦争法を強行しました。そして今年6月、国民の心を罰する共謀罪法を強行しました。この三つの法律はすべてが憲法違反の法律です。今度の総選挙では、三つの違憲立法をまとめて廃止する、その審判を下していこうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
国民の民意をこれだけ踏みつけにしてきた政権はかつてありません。
沖縄県民の圧倒的多数が「新基地建設をやめてくれ」と何度も選挙で審判を下したにもかかわらず、強権につぐ強権で、辺野古の新基地建設を進めようとしていることは、断じて許すわけにはいきません(拍手)。どの世論調査を見ても、国民の5割から6割は原発の再稼働に反対です。それにもかかわらず再稼働をごり押しし、福島原発事故を起こした東京電力の柏崎刈羽原発まで再稼働を進めようとしている。再稼働を許さず、原発ゼロの日本を――このことを訴えてたたかい抜こうではありませんか。(拍手)
暴走の行きつくはては、国政私物化です。
首相夫妻のお友達なら、さまざまな特別の便宜がはかられる。国有地の異常な値引きがされる。獣医学部の新設で特別の便宜がはかられる。こういうことがまかり通ったら、日本は法治国家とはいえなくなる。この重大疑惑は絶対にあいまいにするわけにはいきません(「そうだ」の声)。今後も徹底的に真相究明をはかるために頑張りぬこうではありませんか。(拍手)
憲法を壊し、民意を踏みつけにし、国政を私物化する――数におごった安倍政権に、退場の審判を下し、政治を国民の手に取り戻そうではありませんか。日本共産党はこのたたかいの先頭に立って頑張りぬく決意であります。(拍手)
「希望の党」――顔ぶれも、政治的主張も、自民党の補完勢力
つぎに市民と野党の共闘について、現状と今後の方針についてのべたいと思います。
民進党の前原(誠司)代表が、「希望の党」への合流を常任幹事会に提案したとのことです。合流というよりも、一方的な吸収・合併ということが、いま起こっていることであります。驚くべき事態です。
そもそも「希望の党」とはどういう政党か。顔ぶれを見ればわかります。自民党政治の中枢にいた人、民進党にいて野党共闘に反対して党を出た人、ウルトラ右翼の流れの人。こういう人たちが一緒になってつくろうとしているのがこの党です。まず、顔ぶれから見ても自民党の補完勢力であることは明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声)
そして、この党の政治的主張の要はどこにあるか。昨日、(「希望の党」)結党の会見で、安保法制について細野(豪志衆院)議員が、「白紙撤回では、北朝鮮の問題、厳しい安全保障環境に対応できない」「既存の法制を認め、現実的な対応をしていくのが保守政党としての矜持(きょうじ)」だといいました。つまり憲法違反の安保法制=戦争法を容認するということです。そして、9条を含めて憲法改定を進めることも公言しています。安保法制=戦争法の容認と9条も含めた改憲の推進――この二つが「希望の党」の要なのです。そういう政治的中身から見ても、この党が自民党の補完勢力であることはあまりにも明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声)
そして、この党はいかなる意味でも、わが党との共闘や連携の対象とならないことも明らかではないでしょうか(「そうだ」の声)。民進党の候補者が、「希望の党」の公認候補となった場合には、わが党は原則として候補者を擁立してたたかうことは当然のことではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
前原代表の提案は、公党間の合意、市民連合との合意を裏切る背信行為
前原代表の提案は、2年間の共闘の積み重ねを否定するものであります。(「そうだ」の声)
それは、4野党での繰り返しの党首合意――安倍政権を倒すために、国政選挙でできる限りの協力を行う、安保法制を廃止し立憲主義を回復する――こうした公党間の合意を一方的に反故(ほご)にするものにほかなりません。
それは、何よりも、市民連合のみなさんとの合意を裏切るものです。市民連合のみなさんとは、つい最近、4野党として共通政策を合意したばかりです。その直後にこういう事態を引き起こすというのは、一生懸命頑張ってこられた市民連合のみなさんの努力を裏切るものだと言わなければなりません(「そうだ」の声)。まさに、これは重大な背信行為であります。
民進党としての意思決定はこれからだということです。午後、民進党として両院議員総会を行うそうです。そこで方針を決めると聞きました。私は、民進党が、これまでの4野党の公党間の合意を誠実に守り、また市民連合のみなさんとの合意を誠実に守る対応をとること、そういう決定を行うことを強く求めたいと思います。(拍手)
市民連合のみなさん、共闘の道を進む政党、議員、候補者のみなさんとは共闘を追求
市民と野党の共闘に重大な逆流が持ち込まれたことは明らかですが、わが党は、市民と野党の共闘によって、日本の政治を変えていくという立場を、断固として堅持して、今後も頑張りぬきたい。(「よし」の声、拍手)
まず何よりも、これまで協力してきた全国の市民連合のみなさんとの協力関係を大切にして、さらに発展させていきたいと思います。市民連合のみなさんは、「安保法制に反対し、立憲主義を回復する市民連合」、「安保関連法に反対するママの会」など、それぞれの名前の中にも「安保法制反対」ということが入っています。この市民連合の流れは、あの安保法制=戦争法に反対するたたかいが原点で、そこから運動が生まれ、みんなが結集してきた。ですから、この旗の下に、市民連合のみなさん、市民のみなさんとも協力関係を強めていきたいと考えています。
そして、もう一つ、私が強調したいのは、こういう状況のもとでも誠実に、また勇気をもって共闘の道をしっかり進もうという政党、議員、候補者のみなさんとは、私たちはしっかり共闘を追求していきたい。(「よし」の声、拍手)
一つ報告があります。先ほど小池(晃)書記局長と社民党の又市(征治)幹事長が会談をしまして、日本共産党と社会民主党は総選挙においてできる限り多くの選挙区で一本化を図るということで合意しました(拍手)。社民党のみなさんとはこの選挙を一緒にたたかうことになります。市民と野党の共闘によって、政治を変えるという私たちの立場は、いささかも変わることはありません。
“大義の旗”“共闘の旗”を掲げる日本共産党の躍進を必ず勝ち取ろう
私は、この2年間、市民と野党の共闘に取り組むなかで、全国にさまざまな“共闘の絆”がつくられてきたと思います。2年間のこの歩みは、今後に必ず生きると確信するものです。一時的には、逆流によって共闘が後退したとしても、長い目で見れば、市民と野党の共闘の流れにこそ未来があるという展望をもって奮闘しようではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
そしていま、これまで市民と野党の共闘が掲げてきた“大義の旗”――安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復をしっかり掲げている政党が日本共産党です(「そうだ」の声)。そして“共闘の旗”をしっかり掲げている政党が日本共産党です。ですから、今度の総選挙で日本共産党が躍進することこそ、市民と野党の共闘をさらに発展させ、そして日本の政治を良くする道だということを、みんなで胸に刻んで頑張りぬこうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
大激戦を勝ち抜き、躍進を必ず果たし、次に会うときはたくさんの新しい仲間とともに、この部屋に入れないぐらいの躍進をとげて再会することを誓い合って、あいさつといたします。頑張りましょう。(「頑張ろう」の声、大きな拍手)