憲法学者、有識者、元政府高官などでつくる国民安保法制懇が29日、国会内で記者会見し、安倍政権が7月1日に強行した集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」の撤回を求める報告書を発表しました。
同報告書は「閣議決定」は、立憲主義破壊の前例を開き、「広範な論点にわたる多くの憲法解釈を根底的に不安定化する」と批判。徴兵制は許されないという政府解釈が変更される危険を警告しています。集団的自衛権の行使が「限定」されたというが、「かつての『満蒙は日本の生命線』といった空虚なスローガンと同じ調子」で、政府が総合的に判断すれば地球のどこでも武力行使しうるものだとし、「明確で客観的な歯止めを提供するものではない」と批判しています。
(写真)記者会見する国民安保法制懇のメンバー
=29日、衆院第2議員会館
記者会見で、大森政輔元内閣法制局長官は、「(閣議決定には)まさにまやかしが書かれている。これほどひどい論理のすり替えはない」と批判。樋口陽一東大名誉教授は「集団的自衛権は他衛権だが、他国を助けるのでもなく他国の秩序をめちゃくちゃにしたのが現代史の事実」と発言しました。
柳澤協二元内閣官房副長官補は「自衛隊がわけのわからない国策のために無駄に使われてほしくない」と強調し、長谷部恭男早稲田大教授は「日米同盟強化と抑止力の強化は、相手方の軍拡を招きかえって平和を壊す危険がある」と指摘しました。孫崎享元外務省国際情報局長は「集団的自衛権は米国の戦略の中で自衛隊を使うものであり、自国を守るというのはまったくの詭弁」と述べました。小林節慶応大名誉教授、愛敬浩二名古屋大教授、青井未帆学習院大教授らも参加しました。