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<空襲被害者救済法案>見送り 「国の謝罪一言ほしい」

2017-08-21 | 事実に基づいた歴史認識を!

                                                                       8/21(月) 13:34配信

                                                                    毎日新聞

戦後補償から漏れた民間の空襲被害者らを救済する新法ができないまま、戦後72年の夏が過ぎようとしている。先の通常国会では成立が期待されたが、結局は法案の提出にも至らなかった。「このまま見捨てられるのか」。被害者に残された時間は多くない。


 「なぜ、もっと早く実現できないのか。補償すべき被害者が死んで減るのを待っているのか、と勘ぐってしまう」

 今春、議員立法による空襲被害者救済法案の骨子素案が公表されたとき、浜田栄次郎さん(87)=大阪狭山市=は、歓迎よりも国への不信感を拭えなかった。

 1945年3月13日深夜からの大阪大空襲に遭い、やけどで右手の皮膚が垂れ下がるほどの重傷を負った。植皮手術を受けても治らず、反り返った指は今も自由に動かせない。「字を書くときなど、人に右手を見られるのは今でも嫌だ」と言う。

 骨子素案には「障害者の長期間にわたる労苦を慰藉(いしゃ)する」と趣旨が記された。国の責任を認める「補償」ではない。浜田さんは80年に障害者手帳を取ったが、国に放置されてきたという思いが強い。大阪大空襲などの被害者らが損害賠償を求めた集団訴訟(2014年に敗訴が確定)に原告として参加した。法廷や記者会見で繰り返し訴えた。「国が始めた戦争で傷を負ったのに、今までほったらかしにしてすまなかったと、謝罪の一言がほしい」

 法案が成立しても全ての被害者が救済されるわけではない。戦後に不発弾の爆発で両目の視力と両手を失った元盲学校教員の藤野高明さん(78)=大阪市東淀川区=は骨子素案では対象外だが、「突破口を開いてもらいたい」と期待する。

 国民学校2年だった1946年7月18日朝、福岡市内の自宅で2歳下の弟と一緒に、前日に拾った単4電池ぐらいの円筒形の金属を触っていた。くぎを差し込んだ瞬間、爆発した。弟は即死した。

 両手を失い点字が読めないので盲学校に入学できなかった。12回の手術でも視力は戻らなかった。18歳の時、看護実習生が読んでくれた本で全盲のハンセン病患者が唇や舌で点字を読んでいることを知り、道が開けた。20歳で大阪市立盲学校中学部に編入。大学の通信教育部に進み、72年に同盲学校の世界史教員となった。

 大学生の頃、補償を求めて福岡市内にある国の出先機関を2回訪ねた。事故当時の新聞記事を示して障害の説明をしたが、担当者から「補償する手続きがない」などと断られた。

 骨子素案は支給金額などで課題があるが、藤野さんは救済への第一歩となる重みを考える。ただ、譲れないことがある。「国は戦争で多数の被害者が出た責任として、謝罪しないといけない」。二度と同じ被害者を出さないための訴えだ。【宮本翔平】

 ◇14回提出、全て廃案

 法案の骨子素案は4月27日、超党派の議員連盟(会長・河村建夫元官房長官)が総会で決定した。6月に閉会した通常国会で提出を目指していたが、与野党対立のあおりなどで実現しなかった。

 内容は太平洋戦争開戦の1941年12月8日から沖縄戦が終結した45年9月7日の間、現在の日本領土で空襲や艦砲射撃などの戦災で負傷した身体障害者らが一時金(一律50万円)の支給対象。国籍による除外はないが、旧満州(現中国東北部)や樺太(サハリン)での被害者、戦後に不発弾や機雷の爆発で負傷した人は含まない。

 戦争被害に対する国の補償は旧軍人・軍属らが中心で、民間人は原爆被爆者や海外からの引き揚げ者の一部などに限られた。空襲被害者に軍人・軍属らと同様の補償を求めた「戦時災害援護法案」が70~80年代に計14回、野党により国会提出されたが全て廃案になった。名古屋、東京、大阪で提起された賠償を求める訴訟は、いずれも原告側が敗訴した。【宮本翔平】

<空襲被害者救済法案の骨子素案>

・空襲などによる障害者の長期間にわたる労苦を慰藉(いしゃ)するため、一時金(50万円)の支給などを行う

・対象者は生存する身体障害者とケロイドなど「外貌に著しい醜状」が残る人

・国が戦災孤児や精神的被害を負った人などの被害実態を調査する

・死亡者を追悼する施設の設置などを行う

・請求は施行日から3年以内。公布日に施行

 


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