日本共産党の志位和夫委員長は23日、国会内で記者会見し、大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が新設する私立小学校用地として大阪府豊中市内の国有地が格安で払い下げられた問題について、「なぜこういう事態が起こったのか。関係者の(国会への)招致も含めて、徹底的な事実関係の究明が必要です」と表明しました。
志位氏は、「森友学園」の取得した国有地が8770平方メートルと広大で、評価額は9億5600万円に達すると述べ、国がゴミ処理費用を差し引き、除染費用を支払った結果、国は国有地を200万円で手放したことになると指摘。「国有地というのは国民の財産です。9億5600万円もの国民の財産が200万円という二束三文の額で売り渡されたという経緯について、事実関係の徹底的な究明が必要です」と強調しました。
その上で、志位氏は「これは異常で奇怪な取引です。政治家の関与なしには、こういうことは起こりえないと思います」と指摘し、「どういう力が働いたのか、きちんと究明する必要があります」と述べました。
「教育勅語」教育は不適切
― 森友学園の幼稚園教育内容
不透明な国有地売却が問題になっている大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が、幼稚園児に教育勅語を暗唱させるなどしている教育内容の問題点が23日、衆院予算委員会分科会で追及されました。日本共産党の宮本岳志議員は、文部科学省に指導を求めました。
森友学園は、同市淀川区で運営している塚本幼稚園で毎朝、教育勅語を暗唱させていることで知られます。
籠池理事長は赤旗紙の取材に、同学園が今年4月から開校しようとしている私立小学校でも「教育勅語を朗誦(ろうしょう)する」と明言しています。同校の名誉校長は、安倍晋三首相夫人の昭恵氏です。
同校の認可を審議している大阪府私立学校審議会では、学園の教育方針やカリキュラムについて「思想教育のような部分がある」「違和感を覚える」と懸念の声があがっています。
宮本氏は、文部科学省が以前から「教育勅語そのものを教材として使うということは考えられない」という立場をとってきたことをあげて「いまもその立場に変わりはないか」とただしました。
文科省の藤原誠初等中等教育局長は「変わっていない」と答えました。
宮本氏は、教育勅語の暗唱は文科省が一貫して否定してきたものであり「これを小学校で教えるのは不適切だ」とただしました。
松野博一文科相は「この教育方針が認可も受けていない小学校でどう扱われるかは仮定の問題だ」としながら「教育勅語を教育の源泉として扱うことは適切でない」と答えました。
宮本氏は、塚本幼稚園では「しつけ」と称して「子どもがおもらししたら、そのままカバンに入れて持ち帰らせる」など児童虐待につながりかねない問題もあることをあげ、「不適切なものがあればただちにただすべきだ」と求めました。
教育勅語 戦前の教育の基本原理を示すものとして1890年に明治天皇の言葉として出されました。親孝行や兄弟仲良くなど当たり前に思える徳目を並べていますが、それらをすべて天皇への命がけの忠義に結び付け、「重大事態があれば天皇のために命を投げ出せ」と徹底して教え込んだのが特徴で、軍国主義教育の主柱となりました。敗戦後、憲法、教育基本法の理念に反するとして1948年、国会の決議で公式に否定されました。