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米国有利な貿易協定へ ― 当選後初 トランプ次期大統領会見

2017-01-14 | 国際ニュース・世界情勢

 トランプ次期米大統領は11日、昨年11月の大統領選後初めて記者会見をニューヨークで行いました。日本や中国などに対する貿易赤字に不満を示し、国内の雇用創出や貿易協定の見直しに取り組むことを表明。南シナ海問題での中国の行動を非難しました。一方、差別的と批判の強いメキシコ国境沿いの「壁」を早期に建設すると明言しました。

 トランプ氏は「神が創造した最大の雇用創出者になる」と宣言。自動車大手フォードがメキシコ工場建設計画を撤回し、米ミシガン州に工場を建設すると強調。国外に工場移転する企業は「国境で巨額の税を支払うだろう」と警告しました。

 通商面では、これまで表明してきた北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や環太平洋連携協定(TPP)の離脱については直接言及しませんでしたが、「われわれの貿易協定は大惨事になっている」と述べ、貿易協定をいっそう米国に有利になるよう変える姿勢を示しました。

 中国が南シナ海で造成した人工島の軍事拠点化については、「経済的にも、南シナ海での巨大な要塞(ようさい)建設によっても、われわれに完全に付け込んでいる」と非難しました。

 不法移民対策として公約した壁建設の費用をメキシコ政府に支払わせる交渉を、20日の大統領就任後直ちに始めると述べました。(関連記事)

 

米次期閣僚への上院公聴会
      ―「米が世界最強の軍隊維持」 ロシアに強い警戒心

次期国防長官 南シナ海の中国「脅威」

 トランプ次期米大統領が国防長官に指名したジェームズ・マティス元中央軍司令官の承認に関する上院軍事委員会の公聴会が12日に開かれました。マティス氏は、米国が世界最強の軍隊を維持し、世界的規模で利益の確保を図るとの立場を示しました。ロシアとの関係改善を目指すトランプ氏とは対照的に、同国への強い警戒心を示す一方、中国の南シナ海での活動を脅威と位置付けました。


 マティス氏は公聴会での証言で、アフガニスタン戦争や過激組織ISとのたたかい、ロシアや中国の動きなどを挙げ、「こうした世界で米軍は最も統率され、装備され、決定力のある軍隊であり続けねばならない」と強調。一方で「強い同盟国のある国は繁栄し、ない国は衰える」として、「国際的同盟と安全保障上の連携」も排除しないと述べました。

 また質問に答えてマティス氏は、現在の世界秩序がロシアやテロ組織、中国の南シナ海進出によって「第2次世界大戦後、最大の攻撃にさらされている」と指摘しました。

 米国の国益に対する主要な脅威について「挙げるとすれば第1にロシアだ」と表明。ロシアのプーチン大統領が「北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしていると認識している」と述べました。

 また書面による証言でマティス氏は「戦略上の目標」として、(1)安全で確実な核抑止力の維持(2)決定的な通常戦力の展開(3)不正規戦争の能力保持―を挙げました。

 核戦力について公聴会では、戦略核戦力の3本柱(大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、戦略爆撃機)を維持・強化する考えを表明。核兵器を搭載するオハイオ級原子力潜水艦の更新計画や次世代ステルス爆撃機B21の開発を支持するとともに、新型核兵器である空中発射巡航ミサイルの開発にも前向きの姿勢を示しました。

 海兵隊出身のマティス氏は中央軍司令官を最後に2013年に退役。文民統制(シビリアンコントロール)の原則から、退役後7年間は国防長官に就任できない連邦法の規定があり、同氏は議会に特別に規定を免除することを求めました。


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