安倍晋三首相は解散表明をした18日の会見で、来年10月からの消費税率10%実施を先送りする立場を示しました。この方針に公明党は同調。民主党も14日の幹部会合で「増税凍結」に急きょ方針転換しました。2012年6月の3党合意で消費税大増税に突き進んだ自公民「増税3兄弟」が、怒りの世論に追い込まれています。
再増税の先送り実施は、国内総生産(GDP)2期連続マイナスに示される、安倍政権の経済失政を自ら認めるものにほかなりません。景気悪化は、「アベノミクス」による物価上昇に加え、消費税8%増税が庶民の家計を直撃し、景気の底を崩壊させた結果だからです。経済失政の責任を不問にして「国民に信を問いたい」(首相)とは、とんでもないすり替えです。しかも“先送り”とは、「選挙が終われば増税を実施する」という国民だましの策略です。
強行しながら
民主党は、「景気回復が遅れていることを政府も認めているときに増税しろとは言えない」(野田佳彦前首相)と安倍政権に同調しながら、有権者向けには「アベノミクスの失敗だ」(枝野幸男幹事長)と、こちらも都合のいいすり替えを行っています。政権にあって野党の自公を巻き込み、消費税増税を強行した責任を逃れようとする醜い姿勢です。
手柄のように
安倍首相は、「民主党の大失敗は、マニフェスト(政権公約)で消費税を上げると書かずに、国民生活に大きな影響を与える課題を、民主主義の基本である選挙で国民に問うことなく決めた」などと、人ごとのように増税の責任を民主党に転嫁。「先送り」を自分の手柄のように掲げ、解散を「正当化」しようという姿勢です。
民主の公約違反に加担して消費税8%法を強行して景気後退を招いたことに頬かむりの安倍首相。かたや民主党は、自らの方針転換をわきにおいて、増税「先送り実施」という安倍首相の“解散戦術”を「究極のポピュリズム(人気取り)」(野田前首相)と攻撃。ともに怒りの世論から逃れるのに躍起となっています。
民主党内では「リーマン・ショックか東日本大震災でもない限り増税すべきだと言ってきたが、それでは選挙にならず、民主党がなくなってしまう」という嘆きがもれていました