安倍晋三政権が来年10月からの強行をねらっている、消費税率の8%から10%への引き上げに向けた経済財政動向の点検会合が、連休明け4日から始まります。安倍政権が今年4月から強行した消費税率の8%への引き上げは、収入の伸び悩みや物価の上昇と重なって消費を落ち込ませ、経済を悪化させています。まさに増税不況です。安倍政権は点検会合も踏まえ、7~9月期の国内総生産(GDP)などを見て再増税を決める方針ですが、消費税増税がもたらしている害悪を直視すれば、再増税は中止しかありません。安倍政権はなにより国民の声を聞くべきです。
再増税反対の声は明らか
安倍政権が開く点検会合は、増税を決めた法律が、実施は経済状況等を総合的に勘案し判断するとしているため、開かれるものです。検討会合は5回の予定で、経済学者や企業の経営者、自治体関係者など42人から意見を聞きます。再増税を容認する出席者が目立ち、一般の国民が意見をのべる機会はありません。国民が再増税に反対していることは、新聞やテレビなどの世論調査でもますます明らかになっているのに、安倍政権にそうした声を受け止める姿勢がまったくないのは重大です。
「朝日」の調査では、再増税に「賛成」が22%で「反対」が71%です。これまで5回の調査でも「反対」が6割台を占めていましたが、今回初めて7割を超えました(10月27日付)。「日経」の調査では「賛成」23%「反対」70%で、9月末の調査より「賛成」は5ポイント低下し、反対は4ポイント上昇しています(同)。「読売」の調査でも、再増税「賛成」は26%で、「反対」は71%です(26日付)。
どの調査でも再増税反対が7割前後にのぼっているのに、安倍政権が増税の強行をあきらめず、中止の判断を遅らせているのは大問題です。「朝日」や「日経」の調査で、調査を重ねるごとに「反対」が多くなる傾向が明らかになっているのは、4月の増税による増税不況が広がり、来年の再増税が近づいてくるとともに、消費税増税が暮らしと経済を破壊することへの実感が強まっていることを示しています。検討会合を開くまでもなく、国民が切望している再増税中止にこたえるべきです。
消費税の増税は国民の消費を冷やし、商品の販売や生産を含め経済を悪化させ、税収さえ落ち込ませます。安倍政権は当初、4月の消費税増税のあと消費は落ち込んでも、それは駆け込み需要の反動で、短い期間で回復すると主張しました。しかし、そのもくろみは崩れ、今では政府も消費の低迷や経済の悪化を認めざるをえません。消費税を再増税すれば、増税不況が日本経済に取り返しのつかない被害をもたらすのは明白です。
再増税中止のたたかいを
景気の低迷が明白になるなかで日本銀行は追加的な金融緩和を決めましたが、円安や物価上昇の不安をつのらせるだけのものです。
安倍政権が、点検会合の開催を消費税再増税強行の口実にするのは許されません。いま求められるのは消費税の増税ではなく、国民の所得を増やして経済を立て直し、大企業・大資産家の適切な負担で財政を確立し、社会保障を充実することです。安倍政権を再増税の中止に追い込む、国民のたたかいと共同の実現が急務です。