全分野改悪ずくめ案
政府・与党は参院選(7月21日)前、社会保障制度改革国民会議の最終報告書に沿って社会保障の見直しを検討するというばかりで、具体的なプランをひた隠しにしました。選挙が終わるやいなや、国民会議が打ち出したのは、全分野にわたる改悪ずくめの報告書案です(表)。「後出しじゃんけんのような庶民イジメ」(4日号『サンデー毎日』)と評される姑息(こそく)なやり方です。
裏を返せば、政府・与党は「改革」の是非を正面から問う自信がなかったということです。国民の審判を受けずにこれほどの大改悪を進めることには一片の道理もありません。
安倍政権は年末に向けて制度改悪の流れを加速させる計画です。
介護保険法の改定案については、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会で年末までにとりまとめを行い、来年の通常国会に提出する方針を表明しています。
70~74歳の患者負担2倍増は来年度にも実施を検討すると表明。医療の提供体制をめぐっても、医療機関に支払われる診療報酬の改定(来年4月実施)で、入院日数の短縮などを図る構えです。
保育への公的責任を投げ捨てる「新システム」については2015年度実施をめざし、子ども・子育て会議で制度設計の議論を進めている最中です。
年金額は10月から3段階で2・5%削減し、その後は「マクロ経済スライド」で毎年約0・9%ずつ削っていこうとしています。
こうした制度改悪を具体化すればするほど、国民各層の批判が強まることは必至です。
旧自公政権は、後期高齢者医療制度に対する国民の猛反発に慌てて、70~74歳の患者負担2倍増を凍結せざるをえませんでした。世論と運動によって今後の改悪を阻止することは可能です。