〈第三項〉論で読む近代小説  ◆田中実の文学講座◆

近代小説の読みに革命を起こす〈第三項〉論とは?
あなたの世界像が壊れます!

小山さん、感想ありがとう。

2018-08-20 14:43:27 | 日記
以下は、小山さんからフェイスブックで頂いたメッセージ、
ご当人の許可を得てこちらに貼り付けました。


田中先生、
小山です❗
学校からですとなかなか時間をとることができずメールできませんので。
8月号について、感じたことをここからお伝え致します。
先生が仰っていらしたようにこれまでの集大成的なものだと感じました。
冒頭、人類創世、宇宙、相対性理論、量子力学と理論のスケールの大きさが示されて魅力的です。
そして、ここで既にこの論文の基底をなす、客観的現実の否定が説明されており、後の論旨が広い視野からイメージしやすくなります。

今回特に印象的だったのは、
客体そのもの、
還元不可能な複数性、
了解不能の他者、
第三項、
語りえぬもの、
言語以前、
地下二階
これらが全てイコールであることが、その思考の経緯と共によくわかるように説明されていることでした。

それから、文学史の書き換えにも繋がる、大江よりも村上という評価も客観的現実というキーワードを軸に分かりやすく示されていると思いました。
ノーベル賞候補に上がりながら、なかなかそれが現実とならない。村上春樹の評価を世界に向けて発信するような視点であると思います。
文学、小説というものの、新たな評価軸が示されているとも、
不条理という言葉で片付けられていたことの内実が、新たな視点で語られ始めているとも思いました。
理解が難しいところも含め、まだいくつか感想はありますが、ご論からたくさんの示唆をいただいた気がしております。



小山さんの感想はようやく、まともな感想、反応が出てきたというのが、最初の感想です。
拙稿は文学、小説と言うものの新たな世界観を提出しました。
八月号に書ていることは「天動説」を「地動説」に転換させるごとき世界観認識の転換の試みなのです。
人類始まって以来、有史以来、人類の持つであろう世界、その客観的現実という観念は幻想に他なりません。

私はこれまで確かな現実と考えられた世界観、文学史上なら、
自然主義文学のリアリズムの観念、その底を村上春樹の図式を借りて、壊しています。

小山さん、質問ください。ありがとう。




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2 コメント

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「日本文学」2018年8月号 (周非)
2018-08-20 16:01:30
皆さん、田中先生、難波先生のご論をはじめ、「日本文学」2018年8月号をぜひお読みください。特に、「第三項」を拒絶する方々に読んでいただきたいと思います。
返信する
Unknown (成瑞)
2018-08-22 23:53:15
田中先生、一つ質問があります。
ロランバルトは「還元不可能な不可能」の境地を開いたのに、「読む」ことは「爆発」だの「散布」だの、「横断」だのと言って、相変わらず文学の「生命の《尊重》」の価値を無視したのはなぜでしょうか。それはロランバルトという人が愛という言葉自体を信じていないからだと感じております。それに対して、「第三項」論は「愛」を前提としていると感じております。いかがでしょうか。
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