2022年2月27日(日) 雨/雪/強風 赤阪山
ブナの木平の東屋への入口
ブナの木平に着いたが、それまでは 危機感も然程なく
スノーハイクを楽しむ程度と言っても過言ではなかった
しかし、天気の移り変わりの激しさは
風の存在を強く意識してしまう
稜線では覚悟しなければならないだろう・・・
その思いに気づいてか・・・?
頭上で風は、 轟々と音を立て
こちらを窺う様につき纏っているように感じた
先ほど見せた青空は無かった
風は雪まじりとなって向かってくる
フードを被り、赤阪山へと向かっていった
向かう途中に 二人の先行者に出会った
堰堤手前で、引き返したようだ・・・
やはり、あそこか・・・
私の嫌いな難所だ・・・!
今日はどんな感じになっているのか
嫌~な気持ちになった・・・
この先の難所は苦手な所
砂防堰堤
見えてきた・・・
見えてきた・・・
雪深く埋もれた堰堤の一部が
黒い壁の様になって見えてきた
私の苦手な所までやって来た!
その周りには、いくつものトレースが残って
先行者の苦戦した跡がみられる
山側斜面に残る レースの乱舞
右手に見える山斜面には
尾根に直に登った跡があるが
チチは、現状をみて夏ルートを選択したようだ
雪面に残るいくつもの乱れたトレースとは別に
急斜面をトラバースするように、
新たにルートを作りながら進むつもりのようだ
新たにルートを考えて進む
わたしは・・・と言えば
谷に落ちる斜面の状況を確認し
滑落した時のことを想像し・・・
どれだけの痛手を負う事になるか考えていた・・・
スノーシューでもラッセル?
写真ではうまく撮れないが
決して滑落しても無傷という訳にはいかなさなそうだ
無事でいられるという保証はない所・・・
やっぱり、滑落はしたくない!
余計、体に力が入ってしまう
やっぱり、ここは嫌いだ!
負の気持ちが生まれてしまう
引き返して来た人も、何人かいる
ここは引き返してもいいんじゃない?
内心・・・そう思った
そう思ったけど・・・ なぜか
チチの後を追っていた
折り返して 九十九折に登る急斜面!
スノーシューでの登りは苦戦する所も!
目の前を転がる雪塊が
勢いよく谷へと落ちていく
崩れやすい雪は踏ん張りがきかない!
すぐに崩れて 足を取られそうになる・・・が
そこは負けはしない!
必死に食らいつくように登っていく
やっと堰堤を越えを終えたが…
急斜面は続く・・・
雪煙を上げながら、笑って通り過ぎる風
また、引き返してきた先行者に会う
鉄塔の所で引き返してきたという・・・
やはり風は半端なく強そうだ
稜線上は 風の傍若無人なる世界か・・・?
乱れたトレースが先行者の苦悩を表す
風の緩んだ箇所
鉄塔下の斜面
鉄塔が見えてきた
鉄塔からの稜線上は風が待ち構えている
ならば・・・
このあたりで風を避けて休憩を取ることにしよう!
鉄塔下の斜面の風の弱くなるあたりで休憩をとった
鉄塔を目指して…行動開始!
鉄塔直下の急登!ガンバ!
ヤレヤレ鉄塔広場に着いたけど…
も一つ向こうに鉄塔がある 遠い…
二つ目の鉄塔が近づいた
広い鉄塔広場に遮るものはない
ここからは、稜線歩きの醍醐味を味わえるところだが
今日は試練の稜線歩きとなるようだ!
風は容赦なく吹き 前に進めない!
何度 耐風姿勢を取らなければならなかったか・・・
天気の移り変わりの激しさは
まさに風の意思を表しているようだった!
鉄塔の姿をみてから その急登に泣き
漸く稜線に出てみれば 風の強さに翻弄される
それでも ここまで来れば
頂上を踏まなければ帰れない
頂上が見える!
手を伸ばせば届きそうな感じだが・・・遠い
風は・・・
行く手を妨げ!
体のバランスを崩させ!
斜面を転げ落ちる雪塊の様にしたいのだろうか…?
容赦なく、全身で体当たりしてくる
どこいしょ~!
踏ん張って取る耐風姿勢も 様になってきた!
ここまできて、引き返すものか~!
だけど・・・
私とは裏腹に チチはどんどん先に進んでいく!
必死でチチの後を追った!
そして・・・
見えてきた!
近づいてきた!
灰色の空と同化する山頂が近づいてきた
灰色のスカイラインが・・・・
赤阪山 823.8m
山頂には誰もいない!
暴れ風だけが 自由奔放に吹きまくっている
そんな風にさえも、吹き飛ばされない雪が
山頂を覆い、埋もれた標識が山頂を示していた
埋もれた標識
三国山
大谷山
琵琶湖方面
再び黒い雲が覆い被さって来た
突風も吹き荒れ 雪煙を上げて襲ってくる
立っていられない程の強さだ
力強い風だ!などと、気軽に言ってはいられない!
本当に、吹き飛ばされてしまいそうだ
長居は無用! さぁ~下ろう
目の前に 大谷山方面への稜線が伸びている
今日は、誰も行った様子が無い・・・
やはり・・・今日は無理だな
えっ・・・行かないの?
ここまでくると 欲が出る
だが・・・要らぬ欲だ!
それをチチが見抜いたように言う
この風と2時間付き合う事になる
それでも歩けるか?
いえ・・・歩けません
風はせせら笑い 押し倒す勢いで吹いてきて
周回する意欲を削げ落としていく・・・
ホワイトアウトだ~!
風が叫ぶ!
早う~帰れ~!
一瞬にして白い嵐に包まれ、足が止まる事も!
風が追い立てるように吹きつけて止まない
無言のまま、鉄塔まで戻ってきた!
下ると決めたら、風が緩んできた!
さぁ~一気に下っていこう!
急斜面をジグザグに下っていく
ツボ足で登って来られる人のステップを
壊さないように、用心して下っていく
すると・・・
ヒップソリで下る人
ヒップソリで下ってくる人がいた!
登る時も ステップやトレースを壊し
登るチチの前を滑ってくる若者がいた
ヒップソリを楽しむのは良いが
ステップを壊し、人が歩いている前を
平気で滑ってくるのはどうなものか・・・
他にも、ヒップソリを愉しむグループがいたが
ルートから外れて、安全な斜面を利用して
滑って楽しんでいた!
人それぞれであるが・・・
最近は雪山で考えさせられる場面に
遭遇する事が多くなった
アイゼンに履き替えて下る
堰堤越えの難所に行く前に
雪の状態を見て アイゼンに履き替えることにした!
圧雪されてきている所は、アイゼンで歩く方が楽だ
ただし・・・踏み抜きには、ご注意!
堰堤越えの斜面に着いた!
下りは、雪面の状態を見て冬道を選択し
尾根沿いに下っていく!
復路は冬道の尾根を下る
ヤレヤレ・・・登山道に出た
砂防堰堤
ここからはのんびりと♪
相変わらず風の音はするが
突風に煽られる事は無くなった
再び、時折 顔を覗かせる青空に ホッとしながら
ブナの木平を目指した
ブナの木平 540m
相変わらず 空は忙しそうだ
笑ったり 曇ったり 表情豊かに
頭上で百面相しているようだ
そんな空を眺めながら
ブナの木平で休憩を取った
あとは、一気にスキー場まで下る!
マキノ町が見えてきた!
メタセコイヤの並木道
メタセコイヤの並木道がきれいに見えた
空も、まだ、すっきりしないけど
登るときに降っていた雨の姿はなかった
もう少しだ 頑張ろう!
スキー場は 近い!
スキー場が見えてきた!
スキー場は 朝と違い、家族ずれで賑わいを見せていた
日曜日にしては 利用者は少ない方だが、
それでも 子供たちの声が響く
やれやれだが ホッとする時でもある
そして、駐車場までそのまま下り アイゼンを外した
あぁ~ 疲れた!
びしょびしょの駐車場
メンタセコイヤの並木道
帰路で見た空は
すっかり、ご機嫌が直り
晴れ晴れしい顔を見せ始めていた
終
最後までお付き合いありがとうございます