2022年2月20日(日)☁/雪 強風
薊岳※P1334尾根~薊岳~トウフ岩経由
あとは、下るだけ…と思った石ヶ平谷東尾根の分岐
まだ余力を残していると思った
しかし・・・
下り始めて、
楽に下ることは出来ないかも…
そんな感じがした・・・
リベンジの薊岳に一瞬の軌跡が♪ 2 薊岳山頂編からの続きです
分岐についたときは
この下りが悲愴感漂う事になろうとは・・・
知る由もなく、
ただ、達成感に満ち溢れ、
余力の残る自分にホッとしていた時でもあった
分岐から石ヶ平谷東尾根へと下る
チチのトレースのみが残る
ルートを模索しながら急斜面を下る
スノーシューで下れるところまで下ろう
尾根幅は狭くなり
左右切れ落ちる急斜面を下っていくと
スノーシューが時々邪魔になるほど
足場の不安定さでヒヤヒヤする事も・・・
それでも、踏み抜きのない安心は捨てがたい・・・
スノーシューでの激下りの瘦せ尾根は、疲れる・・・
細尾根の岩場?の先は…
激下りをスノーシューで下るの~!
チチが引き返してくれた跡
写真では表現しきれない急斜面
細尾根の切れた斜面に転がっていく雪塊をみて
私の足は止まってしまった・・・
チチ~ アイゼンの方がいい~!
切れた斜面の激下りの細尾根で 足がすくむ感じがした
樹林帯の狭間で
スノーシューで下る自信がなくなった
チチが アイゼンに履き替えようと言ってくれた
ホッとしたよ
安全第一にアイゼンに履き替えた
急斜面の尾根は続く!
植林帯の中でも 風は容赦しない
雪煙を上げて襲ってくる
細尾根から広がる尾根になると
樹林帯の中は迷い道!
ルートを確認しながら下らねば コースを外してしまいそう
それを邪魔するように吹く風の攻撃に
抗うようにして下っていく
尾根筋と標布を確認しつつ下る
吹き溜まりと化した道の落とし穴!
雪を巻き上げながら吹き付けてくる風の猛威と
ラッセル地獄を味わいながら 先頭を行くチチ
ごめんなさい・・・
心の中で謝りながらも、ただただ・・・
私は必死でついて行くだけだった
雪が浅くなってきた
この標布を見て確信・・・
トウフ岩の辺りまで下って来た
トウフ岩
豆腐のように四角いからトウフ岩?
決して食べることはできない
食べてみたらわかる!
絶対、歯がなくなる!
硬~い!豆腐岩
豆腐岩のすぐ横を下っていく
トウフ岩の側面はベルグラが張り付いていて
ホールドが無いに等しい状態だった
どうしてこんなルートを選択したのだろう・・・?
豆腐岩が、氷豆腐になっていた!
右側の方が歩き易そうだが…?
敢えて左側の岩沿いに…!
下って来たトウフ岩の側面 ↑
以前歩いた、歩き易そうに思えた反対側のルートは?↑
トウフ岩を振り返って見て チチの真意が分かった!
チチは・・・
風の向きと地形や条件を考えて
吹き溜まりの急斜面を避けるため
敢えて真ん中のルートを選択したのだった
再び樹林の尾根を下っていく
風の猛威は納まらない
最期の登り!
方向転換箇所
ルートの方向が90℃ほど変わる尾根に着いた
ちょうどよい切り株があった
腰を下ろして一休み!
チチの膝の具合が心配だ・・・
コロナ禍でジムを休会してから
筋力が落ちた事もあるのだろう
膝の具合はかなり悪そうだ!
だが・・・
チチがそれを口にすることはない
それどころか、
あまり休みを取ろうとしない私に
チチは必ずいう・・・
足を休めておけよ!
その意図がわかっているから 一緒に休むが
やはり寒さの方が勝ると、
休憩することを避けようとする傾向がある
これが、ダウンする一つの原因となる・・・
雪山は・・・汗が出た感じがしない
呼吸が乱れ、どんなにしんどくても、
汗が噴き出る感じはあまりない
疲れた感じも 麻痺してわからない時がある・・・
必死に登っているためだろうか・・・
自分の意識とは異なり、体がどれだけ疲れているか
それを自覚しなければ、危険な事になるのだが
わかっていても、気づかない時がある・・・
休んでみて かなり疲れている事に気が付いた・・・
もう一息だ
雪の樹林帯の中はルーファン必須!
植林帯の縁を下る
この辺りから 間伐材と打枝材が多くみられ
本来は杣道を歩くが、雪も被さって分かり難くなっていた
なるべく左側の樹林の縁寄りに
標布を探しつつ下っていく
山頂とは違い 雪質ががらりと変わる
ふわふわしたような 腐った雪と腐葉土が
アイゼンに蔓延り付く
ピッケルで叩き落しながら下っていく
少ない貴重な標布
激下りの不安定な足場!
杣道に出てヤレヤレと歩く…が
み・・・道が~!
足元は崩れ落ちている!
崩壊部分
杣道が崩れて細くなり、
倒木がその上から覆い被さっていて危険な状態だった
チチが声をかけた
上のコースの方が安全だ
だが危険だから気をつけろよ!
確かに上も
倒木や折枝の重なった不安定な足場だが
崩壊箇所を捲くには良いかもしれないと
プチ危険帯を超えて 杣道に戻って下る
急斜面を九十九折りに下っていくと
道路が見えてきた だが今回は
見えているはずの道路が近づかず
まだかまだかと追う形で下る!
なぜか出口が遠くに感じた
道路が見えてきたが・・・
そこにある道路が遠い・・・
石ヶ平谷東尾根取付き
橋の傍に降り立った
もう クタクタだった・・・
精魂尽き果てた感じだった・・・
駐車場まで林道を引き返す
長く感じた・・・
駐車場までの距離は、約500mほどだ
今日ほど、この500mを恨めしく感じた事は無かった
もっと手前で、なぜ停めなかったのか・・・
ちょっと悔やんだ・・・
やっぱり 疲れているんだよね・・・私
重ねられたタイヤの跡が黒くなっていたが
林道終点に近づくと やはり白いままだった
林道終点がみえてきた
我が家の車がぽつんと一台 寂し気に停まっている
ただいま、待たせたね・・・
漸く車の所に戻ったころには
辺りは薄暗くなり、
再び雪雲に包まれ、雪をちらつかせ始めていた
大又林道終点駐車場 車止めゲート
駐車場について間もなく 雪が本格的に降り出した・・・
この時期を惜しむのか、別れなのか・・・
一層強く振り出す雪に分かれを告げて
早々に帰路についた頃は吹雪になった
今日はもう 雪はいいよ・・・
さようなら
本当に疲れた・・・
久々に、約8時間の山行は体に応えた・・・
コロナ禍に巻き込まれたまま 体力を失ったのだろう・・・
歳の所為もあるだろうが
身体を動かさなくなった途端に失う体力の急降下に驚く・・・
動き出すと 少しは戻るのだろうか?
若い頃の何十倍もの努力が必要になるのだろうか?
どちらにしても、もとに戻すための努力をして行く他ない・・・
それは・・・
止められない山の為にも・・・
自分自身のためにも・・・
そう思いながら車窓から覗く景色をぼ~っと見ていた
雪雲は、不気味な動きをしながら、はびこる様に広がっていた
そんな黒っぽい雲と金剛・葛城山の間から、
燃えるように見える夕焼けを見ながら
いつしか眠りの闇に落ちていった・・・
チチも疲れているのに
独り運転をして連れて帰ってくれた・・・
終
最後までお付き合い下さって ありがとうございます