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本書とDVD
本書は、2017年8月15日放送のもの等を書籍化したもの。この放送は大きな反響を呼んだというが、残念ながら見てなかった。
この作戦は、ビルマ(現ミャンマー)から出発して英領インド東部のインパールを占領しようとするもの。この間には川幅600mの大河(チンドウィン河)と2000m級の山脈を越えなければならない。戦況が急速に悪化する1944年3月に始動したもの。実はこの作戦は2年前に「実行困難」ということでお蔵入りになったものだった。
では何故実行に移され、失敗に終わったかというと、この作戦を主導した牟田口中将(2年前には反対していた)が功を上げようという野心と、日本陸軍を中心とする政治(官僚)の無責任にあった。作戦に参加した9万人のうち、中止決定の4ヶ月後までに3万人の死者と4万人の傷病者を出した。
政治と官僚の無責任は、今に始まったことではなく日本の組織の伝統かも知れない。これでは庶民はたまらない。
読み進むのに気が重くなるほどのシーンの連続。指導陣のいい加減さと、一線の兵士の勇敢さと惨めな落命(白骨街道といわれる程の惨状)に涙がでてくる程だ。
この取材班の仕事には拍手を送りたい。高齢になった元兵士や将へのインタビューと当時の日記の掘り起こし、現地を歩いて当時を知る住民への聞き取りをしている。
一緒に購入したDVDも後ほど見てみたい。