映画など街など

きままに映画や趣味を

ショウタイムセブン

2025-02-14 15:00:00 | 映画
ピカデリー新宿からメンバーズカードの更新メールが届いていた。最後に観た「箱男」から5か月になるという。
ピカデリーは縦に長いビルのくせエレベーターが貧困、また男性トイレの個室が少ない。
だから横に長い東宝の方を贔屓にしてる。
 
阿部寛主演だから信頼して前情報なしで臨んだ。

報道番組「ショウタイム7」の人気キャスターとして活躍していた折本眞之介(阿部)は左遷されラジオ局に、ラジオだからかスーツ姿じゃないし髭も剃ってない。

ある日、番組の生放送中に爆破予告の脅迫電話を受けるが、折本は軽くあしらう。その直後に爆破テロ事件が発生。爆破の様子がスタジオからも見える。折本は相手から交渉役に指名され、キャリア復帰のチャンスと考え、プロデューサー・東海林(吉田鋼太郎)を説得して生放送中のショウタイム7に乗り込む。
自らがキャスターとして犯人との通話の生中継をはじめる。
この辺までは、テンポよくワクワク感があったのだが。 





中盤、後半に進むほどコチラは次第に弛緩してくる。

テロの目的や動機は?
総理を呼び出し、政府と企業、テレビ局の癒着を明らかにする。折本と話したかった?が通俗、イージーではないか。陳腐だ、かと言って文芸的でもない。
心に響いてくるものがない。

終わった、デジャヴ。見せもの小屋から出ていくときの心持ちに似てる。封切り3日目、結構座席は埋まっていたが、高揚感は伝わってこない。
もしかしてコメディだったのかと失笑。

今どき、ワイドショーみたいな報道番組を誰が真面目にみてると思っているのか?青ボタン赤ボタン押してアンケートとか、20年前なら通用するかもしれないが。

テレビには不信感しかないのだから。
つくった方は業界にいてセンスないのかな?と思ってしまう。

助演役者に、吉田鋼太郎、平田満、安藤玉恵さんなど充実しているのだが。
俳優陣に同情してしまう。
もしかしたら舞台ならいい作品に仕上がったかもしれない。




役者に喋らせ過ぎだ。
挙句、2時間TVドラマの、刑事と犯人役が事件を説明するのと同じパターンをとる。

かつラストの方で重要だろうやり取りで、犯人役は台詞を噛んだ。

監督はNHK朝ドラ「まれ」をつくったひとだと、後から知る。じゃしょうがないや。だ。
韓国映画のリメイクとはいえ、
お騒がせいたしましたという感じ。

TVはオールドメディアだしね。 


先月末、夕飯の調理をしながらフジTVの記者会見をつけっぱなしにしていた。
日枝氏の家来たちの茶番がいまだ頭から離れないまま。遠藤周作の息子さんがいた。


「異動辞令は音楽隊!」の方が遥かにいい作品だった。




竜星涼、生見愛瑠、井川遥はよかったと思う。
救いはパフュームの演奏ダンスの映像。


勝手にふるえてろ

2025-01-31 00:51:31 | 日記
見逃していたので楽しみにしていた。予想違わず良かった。   
松岡茉優は若いのに上手だ。
「あまちゃん」の時から思っていたが、なかなかだ。同世代を演じてるからか。

中学生の時からときめきを秘め、イチに片思い。脳内恋愛に留まっていたのだが。
24歳会社員ヨシカ(松岡)はとうとうアクションを起こす。同窓会を企画、東京だけの仲間で逢う機会もつくる。案外リアリティある。

ITで成功した同級生のタワーマンション。
何とかイチと二人になるチャンスができた。趣味も一致する。
しかしながら名前すら覚えてもらえてなかった!ショック。

会社にはヨシカにアプローチ続けている二がいた。イチとは対極のキャラ。いわゆるリザーブ的存在だからニ、つまりは…。



綿矢りさ原作。

読んでいないが、
芥川賞作だけは読んでいる。

林芙美子邸を久しぶりに

2025-01-24 18:29:00 | 日記
ある水曜日、雨も上がり散歩には最適な小春日和。朝早めに起きたもののゴルフには寝坊だった。ゴルフ場には正直に話してペナルティ料金を免れた。

午後、記念館になっている林芙美子邸を久しぶりに訪問した。
「ボランティアの案内人がいますがどうされますか?」と受付で尋ねられる。
「何度か来てるので大丈夫です」と対応。

リビングで芙美子さんのビデオを観る。
亡くなるちょっと前にNHKが収録したものだ。若い女性との質疑がいい。芙美子さんは女性の自立を語り何でもチャレンジすることを勧める。今の時代でも違和感がない。

47歳で逝去とは若すぎた。 
その日も銀座で食の取材をしていたという。心臓を病んでいたらしいが、本人もまさかこの日に亡くなるとは思っていなかったろう。死は突然やってくる。

仕事で無理をして身体を虐め死を早めたのだろう。

告別式には近所の大勢の方が集まり悼んだ、その写真がある。愛された方なのだ。
驚愕したのは、葬儀委員長の川端康成の弔辞だ。生前の悪業を言う。どうしてあんなことを言ったのか不可解でありとても不快だ。確かに女流作家を蹴落とす悪辣なことをやっていたとのことだが、死人に鞭打つ行為だ。
作品が超一流でも人間として最低だ。作品と人格は全く違うことを学習した。ノーベル賞作家とはいえ川端さんを大嫌いになってしまった。

林邸のリビングにいると桐野夏生の「ナニカアル」を思い出さずにいられない。未発表の原稿が見つかったという設定で桐野氏が林芙美子に扮して創作した大傑作だ。一気に読んだ記憶がある。戦時下の林芙美子が生き生きとスリリングに逞しく生きた様を描いた。




四の坂のある中井地区は西武新宿線中井駅から北側に広がる一帯、小説家や画家ら文化人が多く住んだ街だ。佐伯祐三のアトリエもある。暫く行ってない。
最盛期には落合地区(目白文化村、西落合、中落合、中井、上落合、下落合)に住んだ文化人は七十人を超えるという。   






洒落ているのかもしれない。
世田谷とも違う、嘘っぽいと思われるが空気に品格を感じる。
緑も多く目白や新宿にも近い。

四の坂は両サイドを石垣にはさまれ、階段になった急な坂が上まで続いている。
一度落合南長崎経由で自転車で中井駅に行こうとしたら、道路工事の係員に、そこは行けないですよと注意された。目の前が石段だった。自転車を担げば降りられたが迂回した、もちろん急な坂道だった。

大抵は哲学堂辺りから、妙正寺川沿いを中井に向かって歩く。

芙美子さんが実際に住んだ家と土地を区が買い取り、遺族から遺品の提供を受け、1992年に開館した。
昭和16年に建てられたという林邸は何度来てもいいなと思う。平屋建てで大邸宅でないが、生活、作家生活には充分か。
作家として売れはじめ10年余でこんな立派な家を建てられるのだ。中井通りから落合の四の坂に入ったところに。今も静かでいい。




庭もまた宜し。
庭のベンチで少し佇み我が家のような気分に浸った。丁度いい広さの庭に面して書斎や居間が並ぶ。
美味しい空気を吸い喧騒から逃れられた。






唐突だが、3年前に西村賢太さんが亡くなったことを思いだした。とても悲しい、その後の西村さんの作品を読みたかった。貫多がどう歳を経ていくのかを。
西村さんの露悪家の演出にいつ綻びがでるか、ある種の楽しみであった。
DVの多い作品は顰蹙ものらしいが、彼はそれで嫌いになる方を相手にしていない。
東京を離れ横浜で再スタートしようと植木屋に勤めた貫多の「やまいだれの歌 」は涙なしには読めない。野毛界隈、古本屋、飲み過ぎながら会社に戻ったときに味わう酷すぎる疎外、20歳そこそこの青年には余りに厳しい。



西村さんが通っていた鶯谷の飲み屋に行っみようと常々思いながら未だ果たしてない。
西村さんは本当は寂しがり屋なんだけどな、作品も辞書なしでは読めないこともある、学校は出てないがすこぶる教養人なんだけど。
たぶん余り理解されていない。

仕事は毎日やっていた、腰を悪くしながらも、腹ばいで書いていた。「日乗」でライフスタイルを言っていた。
ホントは結構リッチな生まれなんだ。
プライドがあり少し意地になっていたのか?役者みたいだった。
立派なスタイリストだ。
全作を読んだ。


11月20日ゴルフ終え、火野正平さんの訃報を知る。実はそのときから力が抜けた状態と混乱が続いている。
 SNSとYouTubeで多くの方々の哀悼の弁や正平さんのライブを毎日観ていた。




腰痛、圧迫骨折を克服してチャリオ君との復活を疑うこともなかった。物凄く寂しい。
力が出ない。
役者としてもいい味出していた。最近では、福島原発の地元採用の最前線職員。ラストマイルでの宅配便のオヤジ。




こんな時
中山美穂さんの訃報が入ってきた。
風呂場で寝入ってたのかな?

自分もいつ潰えるか分からない。



杉咲花さん(湯を沸かすほどの熱い愛、アンメット)

2024-11-22 08:00:00 | 日記






「市子」で魅せられた杉咲花さんを観たくなった。

「湯を沸かすほどの熱い愛」を観返した。宮沢りえさんと共演の8年前の作品だ。



双葉(宮沢りえ)は、探偵を使い出奔した夫一浩(オダギリジョー)を捜し出し連れ戻す。
銭湯.「幸の湯」の営業を1年振りに再開し、命ある間に大切なことをやり尽くすのだが、終始宮沢りえさんの熱演ぶりが伝わってくる。
いい作品だなあと改めて思うのだ。



娘の安澄(杉咲花)は学校でイジメにあっていて不登校寸前。セーラ服を隠され室内靴はゴミ箱に捨てられる。それでも双葉の教育が行き届いていて、体操服で登校しセーラー服をとり返してくる。

安澄は実の子ではなかった。

末期癌で余命告知されている双葉のパワーは凄い。

熱海に家族旅行を企画。
ペーパードライバーながら自らハンドルを握る。
ドライブインのレストランに寄る。
そこで働く女性が安澄の実の母親だ。毎年蟹を贈ってくる女性だ。一浩と一緒に幸の湯をやっていた過去がある。 
双葉は安澄にきちんと話し安澄の背中を押す。
感動ものだ。
杉崎花さんもとてもいい演技している。

前向きで勇気づけられる作品だ。




日本アカデミー賞他多数受賞している。




「アンメット」を毎週観ていた。しかもハラハラしながら。見逃した回はTVerに頼った。

記憶障害の後遺症持ちの脳外科医川内ミヤビ(杉咲花)が全力で患者を救い、自らも再生していく医療系ドラマだ。 
記憶障害を克服するため緻密に日記を綴り、翌朝読み返して始まるミヤビの一日。

TVもいいドラマつくるんだと感心した。
原作、脚本と役者が良かったからだろうか。

原作を読んでから観た方がいいのか?
そういう場合もある。
結果的には事前情報ゼロで臨んで良かったと思っている。新鮮な感動があったから。


後から知ったことだが、
原作者の小鹿さんは、自ら脳外科医でもあり、「作品を通じて多くの人に脳障害の理解を深めていただき、脳障害者が過ごしやすい社会の実現にわずかでも協力できれば嬉しい」との思いで、自身の経験も踏まえて執筆したという。





ミヤビの記憶障害の原因は、脳の中の「ノーマンズランド」(医学的に人がメスを入れてはならない領域)にあり、    
手術を成功させるには「ノーマンズランドにある0.5ミリ以下の血管を2分で縫う」ことが必要だと判明。
 
ミヤビの婚約者の三瓶は腕のいい真面目なドクター。
ノーマンズランドのオペに向けて、必死に血管を縫う時間を計測し、何度もトライアルする姿は、不可能を可能にする強い意思が伝わってくる。


詳細内容は記さない。観た方がいいと思うから。 
杉咲、若葉さん、両俳優の演技。
また、原作者が言う「心だけは脳の担当部位が何処なのかが曖昧なままである」
を感じるためにも。

アンメットの意味が最後で分かった。
なるほど三瓶ドクターの話す「満たされない」影の話は心に響いた。
  




ドラマとはいえ、ミヤビさんの職場に悪い輩がいないのが羨ましかった。

 




丘の上の本屋さん

2024-11-15 17:00:00 | 映画
こういう映画がいい。ほっとする。 
 
せわしない毎日だ
世の流れについていく意識はないがいつの間にか疲弊してる。  
映画を観れば、殺人、犯罪、セックス、差別、裏切り、イジメ等々、
神経が疲れているのだろうか。 

どうも「シビル ウォー」を観てから、心身が穏やかでないような気がする。

頭から身体から不純物、狭雑物を排出して、すっきりしたい。ヨガがいいのか断食がいいのか。


そんな思いでいたときに出会った作品だ。

イタリアの風光明媚な丘の上で小さな古書店を営む主人と、アフリカ移民の少年との交流を描いた小さなお話。

店内を見ている移民の少年エシオンに、リベロ爺さんが店に招き入れる。 

店頭の安売りマンガすら買えないエシエンにリベロは売り物を貸す。もちろん無料だ。まずはコミックから始める。

エシエンは読むのが速く、毎日のようにリベロの許に通う。コミックから「ピノキオの冒険」「白鯨」「白い牙」…。エシオンは賢いとリベロは感じている。感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考え方など、リベロは叡智を授けていく。   




隣りのカフェ店員ニコラはリベロがちょうどいい話相手、しょっちゅう話をしにくる。家政婦のキアラに恋しているらしい。ニコラの心優しさがいい。

古書店には色んなひとが立寄る。
ネオナチかぶれ、SMマニアの女、初版本のコレクター、散逸してしまった自身の著作を探し求める作家等。リベロは相当な知識人で
その名の通りの自由な人を反映して、収集本はジャンルを超えて多岐に及ぶ。




リベロ爺さんの名前、イタリア語で「自由(Libero)」を意味する。リベロは、自身の名の通り、エシエンに自由であること、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていく。




繰り返される日々の暮らし、何も特別なことは起きない。エシオンがだんだん難しく厚手の本にチャレンジして成長していく姿、ニコラの想いが通じ始めるなど、日常的な小さな幸せを描いている。
それが僕らの心に染みわたってくる。
(2023.3.3公開)

監督  
          クラウディア ロッシ マツシミ  

キャスト  
リベロ  レモ・ジローネ。
ニコラ      コッラード フォルトゥーナ
エシエン ディディー・ローレンツ・チュンブ  

ロケ地 
イタリアの最も美しい村のひとつと言われている、チヴィテッラ・デル・トロント。