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ブレードランナー2049

2018-03-20 11:04:25 | 映画


4か月も前のことになる。
好き嫌いはともかく観ておかないと!と思っており11月封切早々に観た。
なにせ30数年ぶりの話題、期待作だから。

主人公Kはじめ登場人物は全員がレプリカントか?人間は出ていないのか?観終えてから思う。いや殺害された上司の女子ジョシ警部補は人間なんだろうな?

物語はレプリカントに子どもがいるという発見から始まる。本格的に捜査だ。生殖機能を持つことになった事実を抹消しなければならない。ロス警察のミッションを受けたKの苦悩と苦闘が始まる。

ブレードランナーのKは、ララランドのライアン・ゴズリング。前作のハリソンフォードと同様の役だ。小生にはライアンはどうもララのイメージが強過ぎる。

廃墟のようなロサンゼルス。 暗く退廃的な街は前作と似ているが、今回は酸性雨ではなく放射能による壊滅的な光景だ。人類の大半は既に地球を去っているというのは前作同様だろうから、人間が住める環境にあろうはずがない。

Kはレプリカントのネクサス9型。解散したタイレル社の資産を受け継いだウォレス社の製造だ。Kは旧型のレプリカントを抹殺する職務に就く。その職務遂行のなかでドラマは展開するわけだが、Kは発見した遺骨や刻印から、自身の母親がもしかしたら2019年に逃亡したレイチェルかも?と思ってしまうのだ。我々もだ。

Kはラスベガスに隠遁している、レイチェルの恋人のデッカード(ハリソンフォード)を発見する。デッカードとてレプリカントなんだろう。
ラスベガスは見事に廃墟であり、世界の終わりのような黄昏色。プレスリー、M.モンロー、Fシナトラのコピー版が出てくるシーンには、正直ハッとさせられた。


好き嫌いが両極に分かれる作品かもしれない。ケチも沢山つけられるし、眠くもなるだろうし、一方絶賛する人もいる。オタクや研究家がいるくらいだから。

①ブレードランナーが、自分探しの旅になって、内省的なところがある。それはどうなんだろうか?レプリカントは製造されてる筈なのに何故?もはやレプリカントはほぼ人間と同様の感情を持つのだろうか。Kには幼少の頃の記憶を埋め込まれているからなのだろうが。

②レプリカントの恋愛はいいだろうが、生殖機能までもつというのは?どうなんだろうか、倫理的にも、そういう飛躍した思考についていけない人もいるだろう。
レプリカントが生殖機能をもつとなると、もはや人間と人造人間の違いは失せることになる。製造されるわけでなくなり、出産となるとレプリカントは人間の支配から自由になるのだ。

③タイレル社が製造したレプリカントの型であるが、体制に従順か敵対するかの違いがあるようだ。「猿の惑星」もそうだが人間と敵対視する図式は余り好みじゃない。が、もっとも権力闘争は永遠に繰り広げられるんだな。ローマ時代も現在もそして2048年にも。

④バーチャル恋愛が救いのK。
AIであるジョイのホログラムを恋人とするK。Kは彼女からジョーと命名される。
この話は「her/世界でひとつの彼女」と同じ設定だ。物哀しいが。
今日でもそういう類の人も存することは否定できない。

⑤旧いものと近未来のものと混在した街。
これも好き嫌いが明確に分かれるかなと思う。またレプリカントの闘争劇が古典的で、陳腐に感じる人もいるとも思われる。それは視座を現在においたまま思考するからかもしれない。想像力や論理をブレードランナーのワールドに入っていければ退屈しないのかもしれない。
いつも思うのだが、日本を描いたと思われる映像がいつも隠微で古めかしく、納得がいかない。


ストーリーは単純のように映るが、もっともっと計算されて、細かい仕掛けなどが仕組まれている作品のような気がする。一度観ただけでは分からない。
まだ続編がありそうな形で終わっていることは確かだ。完結はしていないから。

ブレードの好きな輩と酒でも飲みながら語り合えば、新たな発見がありもう一度観に行きたくなるかもしれない。
いっぱい詰まっている作品であることに相違ない。