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凪待ち

2019-07-03 21:41:25 | 映画
「新聞記者」が満席で「凪待ち」にした。
香取慎吾主演。予告を観ていた。完全なるギャンブル中毒の郁夫役。恋人亜弓(西田尚美)が父の末期癌のため故郷石巻に帰る。郁夫も石巻で印刷工場に勤め再出発しようとしたのだが。石巻には競輪場もなく平穏な生活を送れるはずなのだが、同僚に誘われ街のノミ屋で競輪に再び手を出す。
ある夜、遊びに出かけた亜弓の娘美波(恒松祐里)をめぐり口論。亜弓をクルマから降ろしてしまうが、その夜亜弓が何者かに殺されてしまう。

郁夫は瞬く間に破滅的生活に堕ちていく。やめられない競輪。亜弓の父の船を売った金も使い果たしてしまう、どうにもならないダメ男だ。葛藤もあるが這い上がれない。末期癌でも漁師を続け郁夫を見守る父勝美役、吉澤健はなかなかの好演だ。また味のある演技はリリーフランキーならではだが。リリーが出てきたら悪人に決まってる、と思うのだが善人を演じている。香取を囲むキャスティングは成功してると思う。
香取慎吾も熱演、頑張っている、香取じゃないもっと本格的役者はいるだろうが、たぶん香取慎吾にやらせたかったのだろう。
津波に流されてしまった悲劇を背負う石巻。美波は川崎では原発被害者としてイジメにあっていた。大震災の傷跡が未だいえない光景が背景にあるとしても、ギャンブル依存、中毒でどうにもならないダメ男とは全く別次元のこと。まさか崩壊と再生を重ねあわせたのか。

一人ひとり、台詞以上に存在感があり、人生が語られている。楽しい映画ではないが感じるものがある。
白石監督作品は麻雀放浪記2020に続いて観たことになる。