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ヒトラーに盗られたうさぎ

2022-07-07 20:14:29 | 日記
プライムビデオに取り込まれ久しい。コロナが流行りだしてからだ。TVが余りにつまらないのも一因。

久々にヒット、佳作だ。
「アマンダと僕」以来だ。

ベルリンで生活する裕福なユダヤ人一家、演劇批評家の父親、ピアニストの母親、アンナと兄のマックスの2人の子ども、そして家政婦。アンナこと絵本作家ジュディスカーの少女時代を作品にしたドイツ映画。

アンナは母親から「スイスに逃げる」と告げられる。大好きなうさぎのぬいぐるみは置いていかざるえない。長引く風邪を口実に、父親は密かにスイスに棲家を探しに行っていた。ヒトラーの台頭で危機が迫るのを察知していたからだ。
 
家政婦を留守に残しスイスに向かう列車でナチスの検札。「どこかで聞いた名前だ」思わずヒヤッとする。密告者がいたり悲惨な方向にいくのが常だから。

1933年ヒトラーは選挙に大勝利。
スイスに叔父が訪問。うさぎのぬいぐるみまで掠奪されたと言う。一層危機は迫っているうえ、スイスの家は貧弱すぎる。父はユダヤ人の新聞紙をあてにパリに移ることにする。

パリ。いよいよ他言語、慣習、文化が違う生活だ。されど、父親の仕事は激減し家賃も払えなくなる。ドアを叩く家主、電気を消し息をひそめる一家。金はないがプライドの高い夫。何とか子どもに惨めな思いをさせたくない妻。夫婦関係も少しギクシャクしてくる。
やがてアンナは公立の学校に行くことになるが、最初フランス語が理解できず友だちもできない、が、暫くしてフランス語の作文コンクールで優勝。聡明なアンナだからこそ。父親にはナポレオンを素材にした脚本がイギリスで売れる知らせ。

エッフェル塔での「故郷は幾つあっても構わない」との母親の言葉に、一家はパリを去る決心。ロンドンへ行くことになる。

特段変哲のない作品だが、惹かれるのは、家族の絆の強さ、貧困、差別に負けず明るく生きる様、希望を捨てない逞しさか。何よりもアンナの可愛いさだ。

1000人から選ばれたという9歳のアンナ(リーヴァクリマロスキ)が愛らしい。兄マックス(マリヌスホーマン)はピアニストとしても活躍してるらしい。両親役(オリバーマスッチ、カーラジュリ)も良く特に母親もなかなか知性を感じさせる女優だ。

R指定のない全世代にお薦め作品だった。
オレ的には誠に恥ずかしいが、公平にみるセンスを持ち合わせてるんだと自嘲する。

アカデミー外国映画賞ノミネート、また各国で賞を獲得しているカロリーヌリンク監督、2019年製作。