夜の散歩

男と女が、同じものを見ながらまったく違うことを考え、違う判断を下している
からこそ、なしえる共同生活があり、お互いを支えあっていけるのだと思うが、
その歯車がうまく絡まって、きれいな円を描きながら進んで行く事が出来ても
相手を正しく理解しあうと言うことは本当に難しい。
何年もを無為に過ごしてしまえば永遠に分かり合えないし、わかったつもりで
確かめ合えないでいれば誤解が生じ、揉め事を回避すれば解決策は見出せない。

熟年で離婚してしまう人の多くが、そういう道をたどってしまったのだと思う。
もちろん、お互いが難しい道で向かい合い続けることも双方の合意。
どちらかひとりだけでもそれを拒否すれば出来ない理解だ。

言わなくてもわかり、その人の様子をみれば何をすればいかがわかれば
そんなにいいことは無いけれど、理想めいた無理な話。
どんなことも一つ一つ確かめて経験を積み上げていかなければ予測すら
立てられないし、確証は得られない。喧嘩やいさかいを通してわかることも多い。
何でも話し合うことだといっても、口下手では遅々としてそれは進まない。
言葉の揉め事につながっていくこともある。
思いだけではどうにもならないのが男女と言うものなのかもしれない。

ひとつだけわかった答えは、「長い時間をかけていく」と言うことだった
だから私たちは、多分結婚以来今が一番仲がいい。

昨日の夜、ただのドライブに出かけた。
窓からの夜風が心地いい。
話しても、話さなくても、何かしても、しなくても幸せだ。