MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2653 人は何を求めて結婚するのか?

2024年10月17日 | 社会・経済

 なぜ日本の若者たちの未婚化は進んでいるのか?…こうした疑問に対して、8月29日の総合経済サイト「DIAMOND ONLINE」が、家族社会学者の山田昌弘氏へのインタビューを踏まえ『「あえて結婚しない女性」が増えた真の理由、実は「仕事や趣味」のせいではなく…』と題する記事を掲載しているので、引き続き当欄に概要(その2)を残しておきたいと思います。(『#2652 「きちんとした相手と結婚すること」へのプレッシャー』から続く)

 男性間の所得格差が広がるこの日本においては、世間で言うところの「結婚に適した男性」の数自体が減っている。「結婚に適した相手」に出会いにくくなっている時代の到来を踏まえ、「そもそも人は何を求めて結婚するのか」を考えるため、いま一度、結婚のメリットを整理しておきたいというのが記事の考えです。

 記事によれば、山田氏はインタビューに答え、「先々の将来を見据えた長期的な視点で言えば、結婚することにメリットはある。老後に独身だと寂しい思いをするし、最悪の場合、孤独死に至るリスクもある」と話しているということです。

 一方で、若くて元気な時には、自由に行動できてお金を使える独身であることにメリットがある。このため、結婚には短期的なメリットはあまり感じられないというのが山田氏の指摘するところ。そうした中、若いときは長期的なメリットを得るためだけに行動するわけではないので、短期的なメリットも感じられる相手でなければ結婚する気には(なかなか)なれないということです。

 (ここで言う)「短期的なメリット」というのは、例えば一緒にいて楽しい相手であるということや、今よりも豊かな生活ができるということ。しかし、豊かな生活というメリットを結婚に求めるのは、女性が自分よりも収入が高い独身男性に出会いにくい今の時代、なかなか難しいだろう…というのが山田氏の認識です。

 一方で、女性には出産のタイムリミットというものもあって、30代後半に差し掛かると、多少の妥協をしてでも結婚を決める人も出くる。しかし、その場合も、子どもの父親として一緒に子育てをしていく相手を選ぶわけなので、妥協にも限界があると氏はしています。

 一人で子どもを産んで育てる女性の生き方も注目されているが、それはやはり少数派。無職だったり、暴力男だったりといった極端なケースを除けば、一般的には父親がいた方がいいケースが多いはずだということです。

 さて、若い時代は独身で気楽に過ごす生活も魅力的に見えるもの。しかし、老後に一人で生活せざるを得なくなる未来を考えると、いずれは誰もが身の振りを考えなければいけないタイミングを迎えることになると記事はここで指摘しています。

 どんな社会になれば、結婚に適した相手に出会いやすくなるのか。そして、もし結婚せずに生きるという選択をするとしたら、どんなことに気をつけなければいけないのか。記事によれば、「妊娠出産を視野に入れないのであれば、そもそも結婚適齢期という考え方に囚われる必要はない」と山田氏は話しているということです。

 50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」が大幅に上昇する中、老後に訪れる不安を解消するために自然と行き着くのは、結婚適齢期ではなく、50歳など老後を見据えた年齢での結婚だというのが氏の指摘するところです。

 実際、日本における「高齢婚」は着実に増えている由。子どもを持つことはできなくとも、幸い今はいろいろなつながりを持つことができる時代となった。高齢になってから結婚しても、その後の人生を十分に楽しんでいくことができる環境が整っているということです。

 女性が働くことが一般的になり、誰でも結婚・出産を経験するわけではない現代には、確かに様々な選択肢があってしかるべきだと記事は最後にまとめています。

 結婚しない女性もいるし、結婚や出産を何歳で経験するかによっても女性の生き方は大きく変わる。典型的なモデルケースが通用しない時代に突入している今、それぞれが自分の求める幸せを手に入れることができる社会になることを願ってやまないとする記事の指摘を、私も興味深く読んだところです。



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