
6月25日の日本経済新聞に、慶応大学教授の赤林英夫氏による「少人数学級の費用対効果」に関する調査報告が掲載されていました。少人数学級と子供の学力向上との間に明確な因果関係を見出すことはできないという、少しショッキングな内容です。
現在の日本の小学校の1学級当たりの平均生徒数は28人。OECD加盟国の平均21.2人との比較においてはやや多いという水準です。
このため、日本では小学校1年生の学級定員を2年前に40人から35人に引き下げました。1学級の最大児童数が35人ということですから、児童が36人になった段階で18人のクラスを2つ作るという計算になります。
赤林氏の調査では、こうした定員改正によりクラスの人数が大幅に変化した前後における児童の学力の変化を追っています。
調査に基づく結論から言えば、少人数化の前後で小6の国語ではやや改善が見られたものの、その他では効果が確認できずむしろ低下している場合すらある。つまり、少人数学級の効果が期待できないことは明らかだというものです。
当然、これが少人数学級の成果の全てということではないでしょう。赤林氏も、学校ごと、クラスごとの全国学力テストの結果が公表されれば、さらに大規模で客観的な検証が可能になるとしています。また、そのためにも学力テストの結果を十分に開示して、第三者による科学的な分析を加えることが必要なのではないかという指摘も行われています。
自分が小学生のころ(もう40年も前になるので参考にはなりませんが)は、1学級40人以上が普通だったように記憶しています。それでもクラスの人数が多いために勉強が十分できない、思うように理解が進まないと感じたことは一度もなかったような気がします。
現在は平均で28人。副担任の先生がついていることも決して珍しくありません。そうした環境で、授業は実際のところどのように進められているのでしょうか。
教室が隔離された世界になっている限り、何が問題なのかは、一般の人にはなかなか分からないのではないでしょうか。クラスの人数が少なければ、それだけ細かく児童の面倒を見ることができる…簡単に考えると「そうかな」って思います。でも「それだけではないだろう」と思えるような体験も、多くの大人たちがしているのではないでしょうか。
赤林氏の調査によると、中学校ではさらに少人数学級の効果は期待できないということです。確かに中学生の学力に影響するのは、まずは本人の意欲であって、先生の数ではないということでしょうか。
。
授業においてリーダーシップがとれない教員は、中学生にはもはや相手にされないことは明らかです。結局のところ、「量」より「質」ということになるのでしょうか。
学級定員の縮小と教員定数の大幅増は、これまで教育委員会や教職員組合が強く望んできたものです。一方、子供の数が大きく減少する中、これ以上の少人数学級の実現には大変なコストもかかります。
教育問題は、ある種、教員の「聖域」として語られることも多いようですが、時には純粋に行政効率の問題として検証してみることも必要なのかもしれません。
(クラスの人数を減らす前に)何かするべきことがあるのではないか…現役の先生方の御意見も、この際是非伺いたいと思いました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます