気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

beautiful world 8

2021-10-18 23:39:00 | ストーリー
beautiful world  8




“田中さん”

“田中さん、もう直ぐ降りるよ”


ーーえ?

ハッとした

私は先生に寄りかかりウトウトと寝てしまっていた

先生と身体が密着していた

まるで私を守るような体勢で
寝ている私を支えるために腰に手を回していた

こんな贅肉いっぱいついてる身体に先生の手がぁ!!

気が動転して焦った

「す、すっ、すみませ…」

先生も私も混雑しているこの電車内では動くに動けない

先生と一緒にいるのに立って寝るなんて私本物のバカじゃないの!?!!

昨夜 今日のことを考えていたら全然眠れなくて
今日はずっと歩いていたから自覚していた以上に疲れていたのかも

「ほんとすみません、、」

「いや(笑) もう着くからね。」

電車が駅に着き扉が開くと先生は私の手を握りエスカレーターに向かった

混雑した駅ではぐれないようにだろう

まるで私 子供みたいだ(苦笑)


ーーー

待ち合わせた駅の外のモニュメントの前に着いた

楽しかった一日がこれで終わり…

寂しい…
もっと一緒にいたかった

「今日は疲れただろう(笑) 家でしっかり寝てね?ははっ(笑)」

顔がカーッと熱くなった
電車内で先生に寄りかかって寝るとかあり得ない!!

「ごめんなさいっ!重かったですよね!」

「え?全然大丈夫だよ(笑)」

「そう、ですか…」

あぁ、、恥ずかしい
顔が見られない…

「じゃあ次の土曜日に(笑)」


ーーー


帰宅すると母は私の帰宅を待っていたかのように
嬉しそうな表情で「おかえりー!(笑)」とキッチンから顔を出した

「誰と行ってたの?(笑)」

「友達。」

「そう(苦笑)」


お母さんは25にもなる私が
未だに一人もカレシができないことをずっと気にしている

私だってカレシ欲しいよ?

でも誰でも良いって訳じゃないもん…


自室に入り
カメラが入っているバッグを降ろした

スマホを開き
電話帳を開いた

“早見 陽太”という名前を眺めながら
幸せを噛み締めた

早く土曜日が来ないかな♡


ーーー




“好きな人なんて…いません…”

でもカメラを通すと僕は何となくわかるんだ

あれは誰かを想う女の表情だった


好きなタイプは

“誠実で…穏やかで…爽やかで…大人で…ガッチリした人で…”

確かそう言っていた

“大人で”ってことは

彼女があの瞬間思い浮かべた男は
そこそこ年齢のいってる男か…?


まさか既婚者?不倫?

いや
彼女はそういうタイプじゃないと思う


なんだろう
このもやっとした気持ちは…


鏡に映る自分を見つめた


僕だってそんなに悪くはないだろ?


…って
何考えてるんだ、僕は(苦笑)




今日撮った田中さんの画像データをパソコンに落とした


このぎこちない歩き方に硬い表情

「ははっ(笑)」

なんか可愛い…



少し拗ねたようなこの表情も…

「ふふっ(笑)」



それから柔らかい表情に変わって…

「……」



好きな男を思い浮かべるこの表情がやっぱり一番印象的で


ーーとても魅力的で綺麗だと思った





そしてスマホを手に取った



“君は綺麗だと思ったよ。”



僕は素直に思った気持ちを彼女に送った



そう
この感情は

久しぶりの“ときめき”だった







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