Stay With Me 10
半年ぶりに僕は大学の頃からの友人の斎藤と会った
僕と理奈ちゃんが付き合うようになるまで
僕は随分と斎藤には世話になった
ーーー
理奈ちゃんと出逢った頃を思い出した
毎朝マンションのエレベーターで顔を合わせる名も知らない若い女性
きっと一回りは年下だろう
彼女は知人でもない僕にも笑顔で挨拶をしてくれる
気付けば僕は毎朝彼女に会えることが楽しみになり
次第に僕の中で彼女に対する想いは好意から淡い恋心にも似た感情が芽生えていた
そんな感情を自覚しても実際の現実の何かが変わる訳ではなかった
彼女の笑顔はとてもチャーミングで
冴えない中年の僕とは住む世界が違うように感じて
ーー そんなある日
その彼女が偶然 街で僕を見かけて声をかけてきてくれた
それはあまりにも突然で
それから僕らはたまに会うようになった
僕は彼女に好かれたい一心で
自分を変えようと一念発起した
誰かのために自分自身を変えようと思ったことは初めてだった
その時から僕は斎藤に色々と相談に乗ってもらった
ファッション雑誌のカメラマンをしている斎藤は
もちろんセンスも良いし 顔も良い
ユーモアもあるイイ奴だから当然女性からモテているように僕は見えた
数年前 ーー
僕は当時付き合っていた彼女と別れ
長く塞ぎこんでいた僕のことを
当時の僕は恋愛をする気持ちにはなれなかった
そんな僕が
“今、気になる女性がいるんだ” と斎藤に打ち明けた時
まるで自分のことのように喜んでくれた
それまでの僕は自分はどんな髪型が似合うのかとか
似合う服はどんなものだとか興味を持ったことさえなく
誰がどう見ても野暮ったい僕は斎藤が教えてくれた店で服を揃えた
“そのダッサい髪型もどうにかしろよ (笑)” と
「ほんと斎藤には感謝してる(笑)」
「お前をそこまで激変させた彼女に早く会わせろ(笑)」
僕達は昼飯を終えて店を出た
「で?今から何を買いに行くんだ?」
「チョコレート。」と僕が答えると
「お前、ほんと昔から甘いもの好きだな(笑)」
「彼女に買って帰るんだよ(笑)」
「それってお前自身のためじゃないの?(笑)
他にもあるだろ?彼女が喜ぶものが(笑)」
「他?」
そういえば僕が買って帰るものってスイーツばかりだったな…
「そうだなぁ、例えばヒマラヤロックソルトとか?」
「なんだそれは!塩?そんなの甘くない。」
斎藤はまた笑いだした
「ちなみに、入浴剤の方な!(笑)」
わからん…
岩塩?入浴剤?
原さんが僕らと話をしたいと嬉しそうに言ったから三人で近くのカフェに入った
原さんは僕の勤め先とかどんな仕事をしているのか色々と聞いてきた
そういえば 前はそんな話はしなかったなと気付いた
原さんはブティックに勤めていると話した
あぁ、どうりで… 個性的なセンス …(笑)
おとなしめの理奈ちゃんとは違って積極的で快活な性格だからか
彼女は僕と斎藤にLINEのID交換を求めてきたので僕達は彼女とLINEができるようにした
それから斎藤は原さんに興味が出たのか
彼女とずっと話をしている
斎藤は女性と親しくなるのが早い
仕事柄もあるのだろう
話題も豊富で僕にはさっぱりわからない会話が続いた
さすがだな
なんて関心してると僕のスマホに理奈ちゃんからLINEが入った
理奈ちゃん 、もう家に帰ったのか
じゃあ 僕もそろそろ ーー
「 ごめん 、僕は先に帰るよ 。斎藤 、また連絡する 。 」
「 おう 。ヒマラヤロックソルトな (笑) 」
「 あぁ 、忘れてた (笑) 今度探してみるよ (笑)
じゃ原さん 、またね (笑) 」
僕が席を立つと 原さんも立ち上がった
「あの!寺崎さん、また会いたいです!理奈も… 」
「なら、その時は俺にも声かけてる?(笑)」
斎藤が軽く手をあげた
「そうだね、了解(笑) じゃ、帰るよ。」
僕は二人と別れ
目的のチョコレートを購入しそのまま帰宅した
その夜
斎藤から電話がかかってきた
『今、傍に彼女いる?』
彼女は風呂に入っている
「風呂入ってるけど、なんだ?どうした?」
『お前は大丈夫だろうと思うから言うけど。原さんな。
半年ぶりに僕は大学の頃からの友人の斎藤と会った
僕と理奈ちゃんが付き合うようになるまで
僕は随分と斎藤には世話になった
ーーー
理奈ちゃんと出逢った頃を思い出した
毎朝マンションのエレベーターで顔を合わせる名も知らない若い女性
きっと一回りは年下だろう
彼女は知人でもない僕にも笑顔で挨拶をしてくれる
気付けば僕は毎朝彼女に会えることが楽しみになり
次第に僕の中で彼女に対する想いは好意から淡い恋心にも似た感情が芽生えていた
そんな感情を自覚しても実際の現実の何かが変わる訳ではなかった
彼女の笑顔はとてもチャーミングで
冴えない中年の僕とは住む世界が違うように感じて
彼女に話しかける勇気は当然なく
ただ僕は彼女に少し会釈するぐらいが精一杯だった
野暮ったい風貌の中年の僕が若い女の子に話しかけて気味悪がられるのは...
野暮ったい風貌の中年の僕が若い女の子に話しかけて気味悪がられるのは...
やっぱり辛い、、
ーー そんなある日
その彼女が偶然 街で僕を見かけて声をかけてきてくれた
それはあまりにも突然で
僕の頭の中は一瞬 真っ白になり
そして現実に彼女が僕に話しかけてきた事を自覚すると
急に心臓の音が突然大きくバクバクと音を立て始めた
『 あっ 、こんにちは 』
その時の僕はどんな表情をしていただろう
親切な彼女は僕が店に入ることをためらっているのを見て一緒に入ってくれることになった
それがきっかけで彼女と会話をし
僕は勇気を出し連絡先を教えてもらった
それから僕らはたまに会うようになった
僕は彼女に好かれたい一心で
自分を変えようと一念発起した
誰かのために自分自身を変えようと思ったことは初めてだった
その時から僕は斎藤に色々と相談に乗ってもらった
ファッション雑誌のカメラマンをしている斎藤は
もちろんセンスも良いし 顔も良い
ユーモアもあるイイ奴だから当然女性からモテているように僕は見えた
数年前 ーー
僕は当時付き合っていた彼女と別れ
長く塞ぎこんでいた僕のことを
斎藤はずっと気にかけていた
“彼女を作れよ”
そんな斎藤の言葉も
ただ言葉が流れていくだけで
“彼女を作れよ”
そんな斎藤の言葉も
ただ言葉が流れていくだけで
当時の僕は恋愛をする気持ちにはなれなかった
そんな僕が
“今、気になる女性がいるんだ” と斎藤に打ち明けた時
まるで自分のことのように喜んでくれた
それまでの僕は自分はどんな髪型が似合うのかとか
似合う服はどんなものだとか興味を持ったことさえなく
誰がどう見ても野暮ったい僕は斎藤が教えてくれた店で服を揃えた
“そのダッサい髪型もどうにかしろよ (笑)” と
勧められたヘアサロンに行くことにした
そのヘアサロンのドアは
そのヘアサロンのドアは
まるで未知の世界へと繋がる扉のように見え
僕の手は緊張で汗ばんでいた
“いい歳の男の僕が今更こんなことしても…”
なんてことも一瞬は思ったけれど
“いい歳の男の僕が今更こんなことしても…”
なんてことも一瞬は思ったけれど
やっぱり僕は彼女に好意を抱いてもらいたい!という気持ちが大きかった
女性が喜ぶような店や話題に疎い僕は斎藤から聞いたり
僕なりにもいろんな雑誌で情報収集もした
自分にはどんなスタイルが似合うのかも少しはわかってきた
「お前、ほんと変わったな(笑)センスゼロのダサ男だったのにな(笑)」
女性が喜ぶような店や話題に疎い僕は斎藤から聞いたり
僕なりにもいろんな雑誌で情報収集もした
自分にはどんなスタイルが似合うのかも少しはわかってきた
「お前、ほんと変わったな(笑)センスゼロのダサ男だったのにな(笑)」
「ほんと斎藤には感謝してる(笑)」
「お前をそこまで激変させた彼女に早く会わせろ(笑)」
僕達は昼飯を終えて店を出た
「で?今から何を買いに行くんだ?」
「チョコレート。」と僕が答えると
斎藤は呆れた顔をした
「お前、ほんと昔から甘いもの好きだな(笑)」
「彼女に買って帰るんだよ(笑)」
「それってお前自身のためじゃないの?(笑)
他にもあるだろ?彼女が喜ぶものが(笑)」
「他?」
そういえば僕が買って帰るものってスイーツばかりだったな…
「そうだなぁ、例えばヒマラヤロックソルトとか?」
「なんだそれは!塩?そんなの甘くない。」
斎藤はまた笑いだした
「ちなみに、入浴剤の方な!(笑)」
わからん…
岩塩?入浴剤?
それは女性が喜ぶものなのか?
「寺崎さん!」
誰かに名前を呼ばれ声がして周囲を見渡した
「寺崎さん!」
誰かに名前を呼ばれ声がして周囲を見渡した
振り向くと原さんがいた
「誰?彼女?」
「違う。彼女の友達。」
「ふぅん。」
原さんが僕達の方に駆け寄ってきた
「まさか、こんなところで寺崎さんと会えるなんて、、」
「こんにちは(笑)あれ?原さん一人?」
理奈ちゃんがいない…?
「理奈とはさっき別れたところです!」
原さんに斎藤を紹介し斎藤は爽やかに挨拶をした
「誰?彼女?」
「違う。彼女の友達。」
「ふぅん。」
原さんが僕達の方に駆け寄ってきた
「まさか、こんなところで寺崎さんと会えるなんて、、」
「こんにちは(笑)あれ?原さん一人?」
理奈ちゃんがいない…?
「理奈とはさっき別れたところです!」
原さんに斎藤を紹介し斎藤は爽やかに挨拶をした
「理奈ちゃんと別れたばかりなら … 」
電話で呼び戻そうと
僕はポケットに入れていたスマホを取り出そうとしたら
駅で別れたからもう電車に乗ったと思うからと言ったから電話をすることをやめた
原さんが僕らと話をしたいと嬉しそうに言ったから三人で近くのカフェに入った
原さんは僕の勤め先とかどんな仕事をしているのか色々と聞いてきた
そういえば 前はそんな話はしなかったなと気付いた
原さんはブティックに勤めていると話した
あぁ、どうりで… 個性的なセンス …(笑)
おとなしめの理奈ちゃんとは違って積極的で快活な性格だからか
彼女は僕と斎藤にLINEのID交換を求めてきたので僕達は彼女とLINEができるようにした
それから斎藤は原さんに興味が出たのか
彼女とずっと話をしている
斎藤は女性と親しくなるのが早い
仕事柄もあるのだろう
話題も豊富で僕にはさっぱりわからない会話が続いた
さすがだな
なんて関心してると僕のスマホに理奈ちゃんからLINEが入った
理奈ちゃん 、もう家に帰ったのか
じゃあ 僕もそろそろ ーー
「 ごめん 、僕は先に帰るよ 。斎藤 、また連絡する 。 」
「 おう 。ヒマラヤロックソルトな (笑) 」
「 あぁ 、忘れてた (笑) 今度探してみるよ (笑)
じゃ原さん 、またね (笑) 」
僕が席を立つと 原さんも立ち上がった
「あの!寺崎さん、また会いたいです!理奈も… 」
「なら、その時は俺にも声かけてる?(笑)」
斎藤が軽く手をあげた
「そうだね、了解(笑) じゃ、帰るよ。」
僕は二人と別れ
目的のチョコレートを購入しそのまま帰宅した
その夜
斎藤から電話がかかってきた
『今、傍に彼女いる?』
彼女は風呂に入っている
「風呂入ってるけど、なんだ?どうした?」
『お前は大丈夫だろうと思うから言うけど。原さんな。
彼女お前に気がある。お前、全く気付いてなかったろ。』
え?
「そんな、まさか(笑)」
『やっぱりな。そうだろうと思って電話した(笑) 一応そこんとこ気に留めて注意な。
え?
「そんな、まさか(笑)」
『やっぱりな。そうだろうと思って電話した(笑) 一応そこんとこ気に留めて注意な。
二人きりで会わない方が彼女のためだな。』
どうも斎藤は彼女の一言目で直ぐに察したらしい
女性の気持ちに疎い僕には全くわからなかった
まさか原さんが?
どうも斎藤は彼女の一言目で直ぐに察したらしい
女性の気持ちに疎い僕には全くわからなかった
まさか原さんが?
まだ信じられない ーー
今日の彼女を思い出した
表情が豊かで
素直な感じだったな
よく喋り
よく笑っていて
ジェスチャーも多くて
よく頷いていた
話上手で聞き上手
コミュニケーション能力が高いって
あんな子なんだろう
そういや、ダメな男とばかり付き合ってきたとか前に言ってたな…
その割に明るい性格でそんな過去があるようには見えない
理奈ちゃんの親友だし 良い子なのはわかる
女性から好意を寄せられることは悪い気はしないけど
たとえ本当に彼女が僕に気があるとしても
僕は理奈ちゃんを愛してるし心が揺らぐことはない
そう思っていた
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今日の彼女を思い出した
表情が豊かで
素直な感じだったな
よく喋り
よく笑っていて
ジェスチャーも多くて
よく頷いていた
話上手で聞き上手
コミュニケーション能力が高いって
あんな子なんだろう
そういや、ダメな男とばかり付き合ってきたとか前に言ってたな…
その割に明るい性格でそんな過去があるようには見えない
理奈ちゃんの親友だし 良い子なのはわかる
女性から好意を寄せられることは悪い気はしないけど
たとえ本当に彼女が僕に気があるとしても
僕は理奈ちゃんを愛してるし心が揺らぐことはない
そう思っていた
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