その昔 とても若かったころ 私が所属していた劇団が解散するという。
大きな劇団の養成所を出て研究生になったとき私に子どもができた。
子どもを産んでも芝居が出来るところ・・・必死で探した。
正直どこでも良かった。
とにかく芝居がやりたかった。
池袋の雑居ビルにあったその劇団は若さに満ち溢れていた。
一カ月おきに公演を打っていた。
レパートリーシステムなんて意味全然わからなかったけど
ブレヒトを中心にモリエール、チェーホフ、木下順二、創作劇、語り芝居、音楽劇
何でもやった。
今思うとあそこはわたしの学校だった。
戯曲を一つ演じるために読んだ色んな分野の本。
ダンスのレッスン、稽古のあとの衣裳や小道具作り。
夕方保育園に娘を迎えに行き稽古場にトンボ帰り。
深夜の満員電車の乗客は子連れに冷たかったっけ。
ああホントになんでもやった。
どこにでも行った。
なんであんなに必死で夢中だったんだろう。
朝から夜中まで、次から次と。
私はヘッポコ役者だったなあ。
リアルな役がとても下手くそだったよなあ。
主役はたったひとつだけ・・・それも人間の役じゃなかった
解散の知らせは読んだ後「フウン」と思っただけだったのに、
夜、布団に入ってから昔々のあれやこれやが浮かんできた。
他の劇団に移ったもののヘッポコ役者のままだったな
寂しいと思うのはきっともっと後のことだろう