ギターの哀愁路線としては、東映「冬の華」(1978年)を忘れてはいけない。主演は、もちろん高倉健。クロード・チアリのギターが、なんとも切ないんだ(涙)。
脚本は、あの倉本聰。豪華なキャストだが、高倉健のためにだけ書いたような作品じゃないかな。とてもいい映画なので、未見の方はぜひどうぞ。でも、女性向きじゃないかも。
印象的なシーンがいくつか。
たとえば、クラブでの車談義。欧州車とアメ車の話だが、さすが倉本聰。メチャクチャというか、笑っちゃうというか、とにかくヤクザの会話なんだね。
それから、カラオケのマイクの取り合い。なんと、これが原因で戦争が始まる。でも、なんかありそうな話(笑)。
それから、路地でからまれるシーン。高倉健がゆっくりタバコを口にくわえると、「えらい貫禄やのう。にいさん、筋もんかい」と関西系のヤクザがすごむ。高倉健は無言で殴り倒し、相手の顔を踏みつける。そして小料理屋に入り、奥のカウンターに座る。そこの亭主役が小林稔侍(台詞は一言だけ)。この小料理屋のシーンも、迫力があってすごいぞ。
この「冬の華」には、チャイコフスキーの「ピアノコンチェルト」もたびたび使われている。この曲、なんかこうあらがえない運命みたいなものを感じるんだよね(涙)。
名曲喫茶の店内。なんとなく落ち着かない高倉健。
女店員「なにかリクエストは、ありますか?」
高倉健「‥チャイコフスキーのピアノコンチェルト」
女店員「あのう‥、この曲がそうですが」
「冬の華」のラストは、健さんの顔のアップのストップモーション。男のやるせない哀しさ、だよねえ(涙)。
好きな映画です。
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