アルコール多様化時代生き抜く“ジョッキ革命”
7/27(土) 5:00配信
最近よく見る大きめのビールジョッキ。
そこには、ある戦略があった。
仕事終わりの1杯目のビールがおいしい、暑い季節。
そこで使われている一見、普通のビールジョッキ。
実は、ここに「アルコール多様化時代」を生き抜く知恵が。
仕事終わりの人で、大にぎわいの東京都内の居酒屋。
そこで聞こえてくるのが、「『とりあえず生』って日本人っぽい」、「やっぱり仕事終わりはビールかな、1杯目ビール」などの声。
そんな中、聞こえてくるのは...。
「2杯目以降は違うもの。食べ物に合わせて」、「2杯目以降はちょっと落ち着かせて、ハイボールとかウーロンハイ」など、2杯目以降はビール以外のものを選ぶという声。
魚可津・正木秀逸代表取締役社長は、「今は、2杯目からはビールよりはサワーとかハイボール・焼酎とか、ちょっとバリエーションが増えている感じ」と話した。
アルコール飲料の多様化により、2杯目以降、ビールを頼む人が減少傾向にあるという。
そんな状況を逆手に取り、1人あたりのビールの消費量を上げるべく、アサヒビールが投じたのが、大きなジョッキ。
オリンピックシンボルの「5つの輪」と、東京2020大会の競技数である「55」の数字を並べた、555mlという大容量ジョッキ。
その名も、「555mLジョッキ」。
これまで使われていた400ml程度のジョッキと比べると、その差は一目瞭然。
アサヒビール マーケティング本部・沼中将夫氏は、「ビールを飲んでいただくきっかけや機会を作っていきたい。555mLジョッキのような大容量のジョッキを使うことによって、1人あたりのビールの量を増やしていきたいという思い」と話した。
2杯目以降ビールが頼まれないなら、1杯目の量を増やして、1人あたりの消費量を増やそうという戦略。
さらに、この555mlという大きさも単なる語呂合わせだけではない。
店内では、「ビールは2杯以上飲めない。おなかいっぱいになるから」との声が聞かれた。
「中ジョッキ1杯では物足りない」、「2杯目を頼むと少し多い」といった消費者が“1杯で満足できる量”になっている。
また、店内では「暑いときとか、仕事で本当に疲れたときに、大をグーッていったほうがおいしい。(中ジョッキじゃ足りない?)足りない。この大きさ欲しい」という声が聞かれた。
この大きなジョッキ。
飲食店にとっても、意外なメリットが生まれていた。
魚可津・正木秀逸代表取締役社長は、「オペレーション的にも楽だし、お客さんも店員を呼ばなきゃいけないので、その手間も省けて結構いい。売り上げも単価が上がるので全然違う」と話した。
ビール離れを逆手に取った戦略が「アルコール多様化時代」、そして、「人手不足時代」を生き抜く新たな一手になりそう。
(フジテレビ)