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2016.4.4 wbs・ワールドビジネスサテライト

2016年04月04日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

イギリスの鉄鋼産業が危機
英国で製鉄会社を所有するインドのタタグループが先週、英国からの全面撤退を発表し、英国の鉄鋼産業は存亡の機に直面しています。タタは2007年に約1兆4,000億円で英国の製鉄会社を買収しましたが、最近は中国産の安い鉄に押されて採算が悪化し、企業価値はほぼゼロになっています。現在、英国の運用会社などが買収を検討していますが、情勢は不透明で製鉄所で働く1万5,000人を含め、約4万人が失業の危機にさらされています。
《イギリス/キャメロン首相》
「国の重要な鉄鋼産業を守るため、政府はできることはすべてやる。」
かつて中国産の安い鉄鋼製品にEU=欧州連合が関税をかけようとしたところ、中国との関係を重視するキャメロン政権が強く反対しました。よって今回の危機をまねいたのは英国政府だとの批判も強まっています。
中継担当:ロンドン支局 豊島晋作記者




■【コメンテーター】髙橋進氏(日本総研 理事長)

・物価上昇率
--取材をしておりますと、この先、賃金が上がらないと物価上昇には限界があると強く感じました。先行きで賃金が上がる期待が持てなければ、物価の上昇は消費者にとって負担でしかない。生活防衛意識、デフレマインドにつながるようなものが和らがない限りはなかなかうまく行かいのではないか。物価目標達成が難しいのであれば、東大の渡辺先生によると、政策を賃金をターゲットにしたものに変えるという手法もあるのではないか、という話でした。
政府も賃金上昇を求めて、それなりに上がっているがまだ十分ではない。特に大企業経営者は賃金をコストと考えるから消極的になりあまり歓迎しない。ところが賃金が上がって消費が伸びて経済が大きくなって名目成長率が上がると売上も上がる。そうすると賃上げをしてもコストにならない。だから鶏と卵で賃金から始めてもよいと思いますが、どうもやはり企業経営者のマインドが変わっていいかない。そこが変わるまでもう少し時間がかかる。それから消費に着目すると、特に30代などは賃金がそこそこ上がっていますが消費は伸びていない。何故マインドが変わらないのか。賃金が上がったと言ってもしれている。一方で消費税や社会保険料が上がるという負担感があり、さらに上がったお金は自分たちでなくて高齢者の方に回る。そういう将来不安があるので、そこにも手を打つ必要があると思います。それは金融政策ではなく構造改革や社会保障改革などで政府が頑張らないといけない。



・経済財政諮問会議
--民間議員として高橋さんも出席されたわけですが、消費喚起策が今必要だということですか。
短期的に景気を持ち上げるだけではなく、安倍政権のとって経済を持続的に良くしていく上では消費が柱になる。ところがどうしても消費税を上げてから、消費の調子が良くないので、ここをテコ入れしないと安倍政権の経済政策全体が回っていかないということだと思います。
--そんな中で財政出動という言葉が出てきましたけれども・・・
これは日本だけの話ではなくて、世界全体を見てみた時に実は物価が上がらないという状況が先進国で共通しているんです。そういう意味では先進国が日本化しています。先進各国みんな金融緩和をやってきました。(アメリカはいまちょっと方向が変わっていますけれども)世界全体を見た時にもう金融緩和は限界だ。一方で中国が今まで世界を引っ張ってくれていたけど、もう中国は当てにできない。為替はみんなで自国通貨安をやったらだめだから、じゃあ財政しかないということです。今度のサミットではG7各国が財政を通じて協調して世界経済をどう持ち上げていくか、が非常に大きなテーマになると思います。
--消費を喚起するような、需要を作り出すような財政出動ですか。
そうです。例えば消費税を上げるならば、それによって大きな影響が出ますからそれでも大丈夫なように消費を支えなくてはいけない。一方で消費税を上げなければ消費は大丈夫かというと、過去の消費税の影響を受けているわけですから、どっちにしても特に消費を中心に財政面でテコ入れをしていくということは日本としても考えなくてはいけないと思います。



“企業子宝率”格差の背景は?
--中小企業の方が子宝率が高いといいますが、それはどうしてだと分析していますか。
いま中小企業は人手不足なので、女性を戦力化、主力化しないといけない。そのためには女性に働いてもらうために制度を変えなくてはいけない。それに比べると大企業は、そういう制度が整っていないということでしょうけれども、それだけではなくて大企業は都会にあるので核家族化が進んでいます。だから地方の中小企業に比べたら確かに子供の数は少ないです。そういう面もあるにはありますが、大企業はもっともっと改革をしなくてはいけないと思います。例えば長時間労働や有給休暇が取れないことなど男性にとっても働きづらい職場なので、そこを変えていくということをしなくてはいけない。政府としては大企業の働き方を変える、風土を変えることについて、まだまだできることはたくさんあるので政府として企業にガンガン押していかなくてはいけない。一方で大企業の中でもこういうことに先進的に取り組んでいる企業にはアメをあげてもいいと思う。具体的には法人税を下げてあげるとか。それくらいあからさまにやっていいと思う。



■特集 “企業子宝率”で何が見える?

「企業子宝率」という指標が注目を集めています。東レの渥美由喜主任研究員が提唱し、男女問わず従業員1人当たりが在勤中に持てる子どもの数を算出した、いわば企業版の「合計特殊出生率」です。「子宝率」を従業員別に見ると、500人以上の企業の平均値1.22に対し、10~29人の企業では1.38と、企業規模が小さくなるほど上昇する傾向があります。静岡県にある「子宝率」2.15の「NTN袋井製作所」は社長自ら社内を一日2回巡回、社員の「顔色」を見て回り、社員に不安があればすぐ解消します。当初から、育児しやすい環境が整っていたわけではありませんが、風通しのいい社風で、社員と経営陣が相談しながら制度を整えました。同じ静岡県内で2.17を誇る「いちまるホーミング」は女性社員全員が中途入社。子育てと仕事の両立目指し、理解ある会社に移ってきました。女性陣の活躍もあり売上高は5年で倍増しました。 子宝率.JPG
《取材先》
・オリックス 人事部人事チームダイバーシティ推進担当
・NTN袋井製作所
・いちまるホーミング

企業子宝率は男女問わず1人の従業員が在勤中に持てる子供の数の指標。東京都港区のオリックスは女性正社員のうち、3割がワーキングマザーで、手厚い育児支援を行っている。人事部の脇真由美課長はこれ以上ないほど整っていると話した。ところが企業子宝率は1.19、全国平均1.30を下回る結果でした。脇さんはなぜかわからないと話した。財務部の矢野晴香さんは現在は時短制度を利用して保育園の送り迎えなどできて上司や同僚に恵まれているが、大企業なので人事異動などでそれが変化する不安は拭えないといいます。
企業子宝率はから見えるものは何なのか。生みの親である東レ経営研究所の渥美由喜主任研究員は、「大企業は制度が整っていて子育てがしやすいと言われる。一方で長時間労働で子育てしながら働きづらい環境を見てきました。制度よりも風土がはるかに社員の公道を左右する。ただこの風土というのはなかなか見えにくいので、風土を定量化する指標として子宝率を開発した。」という。
子宝率の高い会社とはどんな会社なのか。
静岡県袋井市のNTN袋井製作所は企業子宝率2.15と全国有数の数値を出した。この会社はドライブシャフトと呼ばれる自動車部品を製造する従業員259人の中小企業で、子育てする社員の満足度が高い。中島淑岳社長は毎日2回社内を見まわる。社長は社員に何か不安があればすぐに解消することが大事だという。しかし最初から育児環境が整っていたわけではない。10年前に夏目和美さんが入社し妊娠したことから、会社と相談しながら育児休業や時短制度を一から作り上げていった。実は子宝率は企業規模が小さくなるほど上昇している。渥美研究員は「中小企業は人に会社・制度を合わせようとし、大企業は制度・会社に人を合わせようとする」と指摘。
静岡県焼津市で住宅リフォームを手掛けるいちまるホーミングは企業子宝率が2.17と高い数値。従業員20人の小さな企業だが、売上はここ5年で倍増している。松村吉樹社長は建築業は人が来ないので、女性が主力になるとした。精鋭チームは女性が中心となっている。女性正社員は中途入社、子育ての不安で転職した女性が多い。糟屋実華さんはシングルマザーで、7年前に転職。静岡市のショールームでは子育て世代の人と話せることが強み。糟屋さんは去年マイホームを建てた。仕事と育児で充実している姿を見て、入社する人もいる。
起業を通して見た少子化の現場、制度とともに風土の改善が求められている。

--企業子宝率には自治体も注目していまして、県単位で企業の調査をするところもあるそうです。というのは子育てだけではなくて、子宝率の高い企業は介護をすることになったときなど、家族の問題が出てきたときに対応しやすい環境であるだろうと考えられる。そういったことが自治体にとってはUターンやIターンを働きかける時にその魅力としてアピールできるポイントになるということです。



■ニュース

街の物価を独自に点検
日本銀行の黒田総裁の金融緩和発表から丸3年。黒田総裁は「2%の物価上昇率を2年程度で達成する」と自信を示していましたが、今年1月にマイナス金利政策の導入を決定した際には、2%の物価上昇の達成時期を「17年度前半」に先送りしました。なぜ物価は上がらないのか。大江キャスターが、独自の物価指数「日経CPINow」を開発した東京大学の渡辺教授と小売りの現場を取材しました。「日経CPINow」の現在の物価上昇率はおよそ1.4%。価格は上昇していますが、やはり2%には届いていません。その物価上昇率の足を引っ張っているのはサービス価格と渡辺教授は指摘し、賃金が上がることがサービス価格の上昇につながると話します。一方、東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは物価上昇のためにできることは限られていると分析し、政府による規制緩和や成長戦略、構造改革などを進めていく必要があると語りました。物価.JPG

街の物価を独自に点検
日本銀行の黒田総裁による金融緩和が始まってから4日で丸3年となった。金融緩和の最大の目的である物価の上昇はどうなったのでしょうか。
《宇井キャスター》
日銀はデフレからの脱却を目指して「黒田バズーカ」とも言われる大規模な金融緩和を続けてきた。2013年4月、第1弾として量的質的緩和を導入(国債買い入れ年50兆円)。この時、黒田総裁は2%の物価上昇目標を2年程度で達成すると自信を示していた。当初、日銀の狙い通り物価は上昇に転じたが、2014年夏頃に原油安の影響を受けて物価は伸び悩む。そこで10月に量的緩和の規模を拡大した(国債買い入れ年80兆円)。この時も物価目標の達成時期は2015年度を中心とする期間に事実上先送りしている。さらに2016年1月、マイナス金利政策の導入を決定。この時も2%の物価上昇の達成時期は2017年度前半としさらに先送りした。今年の2月の消費者物価指数は0.0%、1年前と比べ変わっていない。日銀が独自に出している原油価格などを除いた上昇率でも1.1%と、2%の目標に対してはまだ道半ばです。

なぜ物価は上がらないのか。約1000店のスーパーの情報を元に独自の視点で物価指数を出している専門家と消費の現場を取材した。大江キャスターのしゅざうに同行してもらうのは東京大学大学院の渡辺努教授です。
(1)練馬区のスーパーの商品から物価動向を見ていく。渡辺教授は独自の物価指数「日経CPI Now」を開発、スーパー(約1000店舗)の販売データから価格や数量を分析、政府が出す消費者物価指数よりより実態に即した物価の変化を見ることができるという。渡辺教授は円安による仕入れ価格の上昇で冷凍食品の特売がなくなり、インスタントコーヒーに価格が上昇していると指摘。乳製品の供給量の調整ができていないと解説。コメの値段は上昇傾向にあるとした。
消費者も物価上昇を実感し始めている。「日経CPI Now」による物価上昇率は約1.4%だった。
--今スーパーを見ましたけれども、物価を見るのは他にもあります。
A.そうです。私たちが生活する上で商品以外でお金を使うのがサービスです。
(2)15年前の開業した練馬区のクリーニング店「さんくす」を取材。値上げは5年前にワイシャツを10円上げただけ、店主はできればあげたくないとした。さらに、美容室「19eラボブ」を取材、ここでは10年以上価格は据え置きとなっている。物価上昇の足を引っ張るのはサービス価格で、渡辺教授は従業員の賃金に注目する。美容室では基本給は変わっていないとした。サービス業のコストの大半は人件費。つまり賃金が上がることがサービス価格の上昇につながると渡辺教授は言い、サービス価格の上昇とともに賃金も上がることを時間をかけて訴えていくことが必要だとした。
その賃金について経団連の榊原定征会長は今日「これまで一定の賃上げは実施してきた」という見解を示した上で、日銀のさらなる努力に期待を示した。榊原会長は十分なデフレ脱却、経済再生は進んでいない、日銀の役割は大きいとした。
《東短リサーチ・チーフエコノミスト/加藤出氏》
--物価上昇に向けてまだ日銀にできることはあるんでしょうか
「マイナス金利を下げる金融機関収益が打撃を受けますので、金融緩和の流れが却って阻害される恐れが出てきます。全体としては金融機関策の限界が近づいてきている。イノベーション(革新)が起きやすくなるような、あるいは新しいビジネスを始めることが可能になるような、規制緩和など成長戦略と構造改革を地道にやることしかない。」



“四輪駆動の日”制定の狙い
四輪駆動車を世界で初めて開発したとされるメルセデス・ベンツ。四輪駆動の日にあわせて発表したのは「Gクラス」の特別仕様車。四輪駆動車で高いオフロード性能を誇り、深さ1mまでなら水中を走ることもできます。価格は3,510万円と、日本で販売するラインナップで最高価格です。メルセデス・ベンツ・日本のSUVの売り上げは、去年全体の16%に留まっていますが、今年は3割ちかくまで引き上げたい考えです。



鴻海 郭会長の“本音”に迫る
2日にシャープと台湾の鴻海精密工業は共同記者会見を開きました。シャープ買収の合意内容は鴻海にとって有利な条件が盛り込まれています。出資額は当初の4,890億円から約1,000億円減額、さらに提携が破談になっても液晶事業は鴻海が手に入れられます。会見で郭会長はシャープの黒字化時期については明言を避けました。またさらなる出資額減額の可能性については否定。有機EL事業については「IGZO」などの液晶事業とともに力を入れることを強調しました。また雇用については、なるべく全員を残したいと語りました。提携破談は99.999%ないが、液晶事業買収について万が一のために入れたと主張。
《大浜キャスター》シャープ.JPG
週末の会見ではやはりディスプレイ事業の話が多かったんですが、今回の合意の内容はディスプレイ事業だけではなくて、シャープまるごと傘下に置くということですから、液晶や有機EL以外の事業でも相乗効果を出していくことが求められる。そのうちの一つがいわゆるインターネットとつながる次世代の家電スマート家電です。ここで勝ち抜くために必要なのはいったい何なのか。そのヒントになるベンチャー企業を取材しました。
大浜キャスターが東京都新宿区のアプリックスを取材。この会社はどんな家電もスマート家電にする技術がある。小さなチップを既存の家電に組み込むだけでスマート家電になるのです。世界中のメーカーから商談があり、現在国内外の約100社と商談中。アメリカの企業の開発商品、ネコのトイレの使用状況を知らせる。さらにネコのグッズのネット通販にも繋がる。家電とネット通販が結びついた新たなサービスです。このシステムを開発したアプリックスの郡山龍社長は日本の家電メーカーはビジネスモデルを根本的に変える必要があると考えています。
「どうしても日本のメーカーは技術偏重になってしまうから、ハイテクというよりはどう生活を変えられるのか、というところに注力すれば十分で移行できると思います。」
シャープのしゃべる家電シリーズ「ヘルシオ」や掃除ロボット「ココロボ」などコミュニケーションができる家電が知られている。鴻海とシャープは無事合意をしたわけですが、それでもまだ鴻海はシャープのディスプレイ事業が欲しいだけなんじゃないか、という見方が依然として強いです。スマート家電にどこまで本気で取り組むかが両者の信頼関係の試金石になる。鴻海のビジネスの人脈は多く、appleとの結びつきも強い。例えばそれらを使って将来スマート家電を共同開発ができたら業界はひっくり返るという関係者もいる。



予算前倒し実施を指示へ
安倍総理大臣は、政府・与党幹部の会議で、今年度予算を順次前倒しで実施するよう、5日の閣議で指示する考えを表明しました。また「G7=先進7ヵ国が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引しなければならない」と述べ、来月の伊勢・志摩サミットでは世界経済が主要テーマになるとの見通しを示しました。政府はまた、経済財政諮問会議を開き、6月をめどに取りまとめる経済財政運営の基本方針、いわゆる「骨太の方針」に向けた議論を始めました。この中で安倍総理は、名目GDP=国内総生産600兆円の実現に向けた道筋をサミットまでに示したいとの考えを明らかにし、民間議員が財政出動や減税などを通じた消費喚起策を検討すべきだと提言しました。



auが生命保険や住宅ローン販売
KDDIは携帯電話会社として初めて生命保険や住宅ローンなどの商品を5日から販売すると発表しました。 携帯電話の契約とセットで割り引きをするのが特徴で、生命保険の商品にau利用者が加入すると通信料金が5年間、毎月200円割り引きされます。また、じぶん銀行の商品「au住宅ローン」でも5年間、電子マネー「auウォレット」に毎月500円がキャッシュバックされます。
《KDDI 勝木朋彦さん》
「通信競争が均質化しているので、金融分野で一歩先行しいろいろなサービスを提供していく」



日本一のバスターミナル開業
東京のJR新宿駅に、発着便数が日本一のバスターミナル、「バスタ新宿」が開業しました。これまでバス乗り場は、駅周辺の19ヵ所に分散していましたが、それが「バスタ新宿」に集約され、1日最大、1,625便が発着します。駅と直結なので、電車からの乗り換えなど利便性の向上が期待されています。



■【トレたま】光る折り紙!?
【商品名】光る紙
【商品の特徴】切ったり、折ったりしても、電流を流せば光る薄いシート。
【企業名】アシオス
【住所】東京都港区南青山2-2-15 ウイン青山9F
【価格】800円(税別)~
【発売日】発売中
【トレたまキャスター】北村まあさ




2016.4.4 Newsモーニングサテライト

2016年04月04日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NY市場は材料消化の週
今週は、逆に指標も少なく比較的静かな週となりそうです。その分、先週までに出たデータなどをしっかり消化する時間になりそうです。雇用統計、製造業、消費者マインドなど金曜日の指標は概ね良好で、株価は揃って上昇しました。しかし、雇用統計の結果が、6月利上げに結びつくのか?その思惑が、為替相場にどのような影響を与えるのか?さらに原油の増産凍結協議に関してサウジアラビアが、イランの参加を条件とした事で原油価格の行方が再び怪しくなり始めています。これらが世界経済にどう影響するのか考えるべき事は盛りだくさんです。では金曜日の終値確認しましょう。ダウは反発です。107ドル高、1万7,792ドル。ナスダックは4日続伸、44ポイント上昇の4,914。S&P500が反発です。13ポイントプラスの2,072でした。
【米雇用市場は堅調・FRB利上げは慎重に】
月曜恒例、アメリカの専門家インタビューです。3月の雇用統計は、アメリカの雇用市場が堅調であることを示す内容だったとエコノミストは指摘します。ただ、ヴィトナー氏は「雇用の質」が十分に改善されていないためFRB=連邦準備制度理事会は、利上げを慎重に行うだろうと見ています。
《ウェルズ・ファーゴ/マーク・ヴィトナー氏》
「失業率は前月より0.1ポイント上昇し5%となったが、これは職探しをしている人が増えたもので労働市場にとっては良いことだ。平均時給も前月の下落から+0.3%上昇した。労働力の構成を見ても改善している。3月は2月に比べ低賃金の雇用が少なく、専門サービス業や卸売業が多くなっている。平均労働時間はやや回復しているが、過去3ヶ月で見ると横ばいだ。賃金上昇率が加速しないのはこれらが主な要因だ。このため4月の利上げはないだろう。6月の利上げはあるかもしれない。」
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【為替見通し】注目ポイントは「4月のアノマリー」
解説はクレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏
--予想レンジは111.20円 - 112.20円です。
注目のアメリカの雇用統計は市場予想を上回りましたけれども、先月 25日のイエレン FRB議長のハト派的な発言が意識されて、結局 111円60銭レベルに下落して引けました。本日は重要経済指標も少なく金曜日の材料消化で 111円台中盤から後半でのポジション調整となりそうです。
--注目ポイントは「4月のアノマリー」です。
アノマリー、つまり 4月の法則経験則ということです。例年期初は益だしからと市場ではよく言われてるんですが、債券や株が売られやすい傾向にあります。それを受けてリーマンショック以降から 4月のドル円の騰落の割合は下落が 5回、上昇が2回となっています。しかしドル指数はここ一年のサポートラインである 94円レベルまですでに下落していまして、積極的にドル売りを仕掛けるレベルではないと思われることから、しばらくは 111円から 114円のレンジ相場が続きそうです。
--しばらくとはいつ頃まで続きそうですか。
過去の経験則から 4月は 3月の動きと逆になるという規則性が確認できます。月初と月末の比較で 3月にドル円が下がると 4月には上がる。3月上がると 4月は下がるという動きを 2013年の異次元緩和の都市を除いた過去 13年繰り返しています。今年は 3月に下げましたので、過去の経験則では 4月は最終的に上がると可能性がありますし、加えて今月下旬の日銀金融政策決定会合は金曜日の短観の悪さを受けて注目されます。



【日本株見通し】注目ポイントは「政策相場の賞味期限」
解説はBNPパリバ証券の丸山俊氏
--予想レンジは16100-16300です。先週末、日経平均は急落でしたがどうでしょうか。
アメリカ雇用統計は底堅さを示しましたが、追加緩和観測が高まるまでには至らず円高が進行したため、今日はは反発で始まりそうな日本株ですが、上値は抑えられそうです。
--注目ポイントは「政策相場の賞味期限」です。
日本株がいいのは結局アメリカ経済が好調でFRBが利上げを推し進める時か、日銀が有効に動けるときだけ、同時に為替市場では円安が進む時だけです。FRBが追加利上げに慎重姿勢を取り、日銀の政策効果に疑問が持たれている今、内需も停滞している日本株を買う理由は乏しく、投資家の日本株離れから下値を模索する展開になりそうです。
--とはいえ財政出動や消費増税再延期など経済対策への期待はありませんか。
2013年のように真水に10兆円以上の経済対策プラス増税延期でないとわかりやすいものを求めるマーケットに対してはインパクトに欠けると思います。増税延期といいましても税率が下がるわけではありませんので、景気に今以上にプラスになるとも言えません。むしろ国債格下げにより日本企業のドル等の外貨調達コストが上昇すると円高が進む可能性もあるなど追加財政や増税延期をマイナス面に市場の関心が向かう可能性もあります。政策に売り無しという格言もありますが、今回はそれが生きるかどうか非常に疑わしいと思います。




■【エマトピ】日本から見るパキスタンの魅力e1.JPG
先週の日曜日に大きな自爆テロがあったパキスタン。だが2013年に政権交代した新政権が「治安改善」を目標に掲げ、政権交代後はテロの発生数や殺人の件数は激減、顕著な治安改善が見られているといいます。また第2次大戦後、綿花を日本に輸出して経済基盤をつくったパキスタンは、「日本と共に大きくなった」という自負が強く、大の親日国なのだといいます。そこに日本企業のビジネスチャンスがあるという、パキスタンに11年住む、三菱商事・パキスタン総代表の安藤公秀氏がスタジオで生解説。

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--今日はパキスタンに住んで13年、三菱商事総代表の安藤公秀さんに生で解説していただきます。パキスタンは治安の不安が高まっていて、先週の日曜日に大規模な自爆テロがありました。
この自爆テロはイスラム過激派が第2の都市ラホールでイースターを祝うキリスト教徒を狙って起こしたものと言われています。但し2013年に政権交代した新政権の治安改善政策でテロの発生数や我々が住んでいる最大都市カラチの殺人件数は最悪の2013年頃に比べて激減しています。実際に住んでいる我々も肌感覚で顕著な治安改善を感じています。
--日本にとってはまだあまりなじみのない国といった印象があるのですが・・・e3.JPG
確かにパキスタンは日本人にとって距離も関係も遠い印象があると思います。但しそれは日本から見ると中国があってアセアン諸国があってインド、その先がパキスタンということです。一方で旧宗主国であったイギリスをはじめとする欧州にとっては逆でインドや中国や日本よりもパキスタンは近い国です。そのためユニリーバ・P&G・ネスレなど欧米具老婆る企業にとってパキスタンは古くから重要拠点です。なおかつ私が言いたいのは、パキスタンは実は親日国で日本にとってはビジネスチャンスが豊富ということです。私にとってみると日本とパキスタンは世界一の片思いと勝手に称していますが、この国ほど親日な国はないと思います。私は90年代後半からパキスタンと関わっていますけれども、日本企業や日本人が嫌いだというパキスタン人に会ったことがありません。なおかつその親日の要因は何かと言いますと、戦後の経済関係です。1947年、独立当時のパキスタンは糸の原料となる綿花を日本に輸出していました。現在のパキスタン経済を動かす多くの企業グループ生い立ちがそこにあるため、彼らにとって日本と共に大きくなってきたという意識が強いです。
--パキスタン国内で日本とのつながりを感じるようなものはありますか。
もちろんあります。今では世界でも珍しいほど国内は日本車で溢れています。2015年国内日本車シェアは99.2%です。スズキ・トヨタ・ホンダ・日野自動車が現地生産していますし、ホンダとパキスタンの関係は50年以上の歴史を誇ります。他にもパキスタンには昔から明治乳業の粉ミルクが有名で、元気のよい赤ちゃんのことをメイジ・ベイビーと呼びます。なおかつ去年15年4月からヤマハが現地生産を始めましたし、味の素も14年7月に現地事務所を開設し本格参入を明らかにしています。2億人という世界6位の人口などから考えてみても、日本としてもパキスタンはさらに注目していくべき国と考えています。



■NY便り

アメリカ実質金利急低下 日米金利差解消で円高か
FRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長が3月末に行った講演で「海外経済がリスクであり、仕上げは慎重に進める」と発言したことで、4月の利上げ観測は一気にしぼみました。そうした中、実質金利は急低下しているといい、その影響でさらなる円高も懸念されるといいます。
解説はホリコ・キャピタル・マネジメントの堀古英司氏

--金融政策においてアメリカでは利上げのペースが注目されますが、日本では1月の半ばくらいからずっとマイナス金利の話が出てきています。
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日本ではマイナス金利が初めてということでメディアなどでかなり騒がれましたけれども、本当にマーケットで気にしないといけないのは実質金利です。実質金利は4年前から既にマイナスになっていますから大騒ぎする話ではなくて、ただ先週のアメリカの実質金利が急低下しています。これは本当は日本でも大騒ぎしないといけない。日本経済にも日本株にもこれから大きく影響します。
--なんで日本では実質金利が注目されないんですか。
本当は市場に一番影響するのは実質金利なのに、やはり名目が表に出てくるので忘れられているのかなと思います。
--【実質金利=名目金利-インフレ率 のうちで】マイナス金利も名目を動かしたという認識ですね。日本もアメリカも金融政策ではインフレ率を上げたい。アメリカが今、実質金利が下がっているのは、名目金利とインフレ率とどっちが下がったんですか。
まず先週イエレン議長の講演がありまして、海外情勢を特に気にしているということで、金利の上げるペースが緩やかになるというコメントで、名目が結構下がりました。インフレ率は2月の半ばからずっと上がっています。一時アメリカの期待インフレ率が1%ぎりぎりまで行って、そこから株が戻ってきて原油価格が上がって、景気も良くなっていますし、期待インフレ率が1.7%ぐらいまで上がっています。ですから名目金利の低下と期待インフレ率の上昇の両方から実質金利が急低下しているということです。
--今の話は、原油価格の問題にしても日本にもメリットがあっていいと思います。ですから日本の期待インフレ率も上がっていいのではないですか。
不思議でしたけど、おそらくマイナス金利を導入したけど実質的な影響として期待インフレ率が下がっています。
--そこがわからないです。たぶん日銀はマイナス金利の導入=期待インフレ率が上がると思っていたのではないですか。
おそらくそれを期待していたと思われますが、マーケットは「だんだん手段が尽きてきた」という見方をしている感じです。私は日銀はもっともっと初めからやるべきだったと思っていますけども、常に市場の期待を上回るように、期待インフレ率を高く保つようにやるべきだったと思っていますけども、ここにきてちょっと後手に回ったのが痛かったと思います。
NY便り2.JPG
--グラフは日米の実質金利の差です。ぴょこんと飛びでているのはマイナス金利導入の時です。だからちょっとは反応したんですね。
ちょっと間違って反応した感じですね。
--この差がどんどんなくなってきている。つまりアメリカの実質金利がずっと下がってきているから?
主にアメリカの実質金利の急低下なんですけれども、(日本の)期待インフレ率が下がってしまいましたので、日本の実質金が少し上がったというのもこれに影響しています。
--マイナス金利は実質金利を動かしたくてやったという面もあるわけですよね。
ただ0.1%ですので、マーケットの金利が0.1%動いたところでそんなに影響はありせんので、マイナスになったと大げさに報道されている割にはマーケットの影響は小さかったということです。
--アメリカの記入政策に目を移すと、雇用統計はまずまずの数字だったとみていますか。
雇用統計は単月ではなくトレンドがどう向いているかが一番重要なので、そういう点ではやはりここに来て原油価格があれだけ下がっていい影響が出てこなかったけれども、結局こういう形で(雇用に)出てきているとわかります。
--実質金利の低下というのはマーケットだけじゃなくて経済全体にもいい影響を及ぼす。ではこれだけ実質金利の低さがアメリカ経済にいい影響を及ぼすのであれば、利上げも近い、回数も多いということなんですか。NY便り3.JPG
私は今年は一回はあると思っています。いま先物の市場を見ると一回です。これはもうマーケットに織り込まれているので、一回だったら実質金利は変わらないはずです。これからありうるのは景気がもっとよくなっていって期待インフレ率が上がってきてそれにそれに追いつく形でFRBがもう一回利上げするということはあるかもしれないが、これもインフレに追いつかくだけの利上げなので、実質金利としてはそれほど変わらないと思います。
--日米実質金利差(5年物)は為替にも影響しますね。
まず実質金利の低下はアメリカの資産価格、特に株式などには非常に良い影響を与えます。既に株は上がっています。一方で気になるのはこれだけ実質金利差が縮まって0に近くなっているのに、ドル円がほとんど先週1円動いただけなんです。我々の計算では(円高ドル安で)100円割れていてもおかしくない。適正水準がそこですから、マーケットのことですからもっと通り越してしまうと為替は心配です。それから為替と日経平均株価の連動というのはきっちり来ていますので、為替が1%円高になると日経平均が2.3%ぐらい下がる計算ですので、もしそういう動きになると非常に懸念材料だと思う。この先週の(実質金利の)大きな動きはマーケット関係者は要注意だと思います。



■特集 異次元緩和から3年 後退するインフレ期待
4月4日をもって、黒田バズーカといわれた異次元の金融緩和から丸3年が経ちました。日銀がターゲットとしている物価上昇率2%には、まだ遠い道のりです。東京大学大学院の渡辺努教授が行った、物価アンケートでは消費者のインフレ期待が後退していることが明らかになっています。その中でも、ここまで消費を牽引してきたシニア層や高所得世帯のインフレ期待の低下が顕著となっています。このままでは2%は難しく、達成のためには抜本的な改革が必要と説きます。
t1.JPG解説は東京大学大学院/渡辺努教授(マクロ経済・日本の金融政策を分析)
--まず総括するとこの3年をどう見ますか。
インフレ率2%目標が実現できなかったという意味で不十分だと思います。
--では物価を確認していきましょう。グラフの青い線は政府が発表している消費者物価指数で、最新は2月までわかっています。一方渡辺さんが算出しているビッグデータを活用した最新の物価データ(CPIナウ)ですと3月の物価がその月に分かる。(CPIナウの)最新のデータを見ると政府発表の3月データも下がっていくと推測できる。長めに振り返ってみると、2013年異次元緩和スタートの時にマイナ
ス1%位だったが一旦上がり消費税で落ちて2014年の追加緩和でまた上がった。今年の2月に追加緩和で本来ならもう一段上がるは
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ずだったが、読み違いで円安進まず物価も上がらず下に向いてしまってマイナスの方向へのターニングポイントに見えます。
これはコアコアということで日銀が新たに作ってきた指標ですので、それすらも最近下がり始めているということで、少し厳しい状況です。--(青い線は)生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数で、「エネルギーを除けば物価は上昇基調です」という日銀の説明が、ここで少し変わってきました。
--最近日本のインフレ期待が下がってきている。
インフレ期待は2種類ありまして、マーケットのインフレ期待と消費者・企業のインフレ期待です。私たちが調べた日本の消費者のインフレ期待を見ますと、3月の上旬のものですのでちょうどマイナス金利も織り込んだ形になっています。かなり上昇と書いた人は10%で去年以前と比べるとだいぶ下がってきている。但し下落するという人もそれほど多くなくて変わらないという人が増えてきています。
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--誰がインフレ期待を下げているのかを見ていきます。物価上昇を予想していた10%を見てみると、年齢別に見ると横軸が年齢で縦軸がシェアです。
全般にシニアの人の方が高く、右上がりの傾向を持っています。しかしこれも昨年、一昨年と比べると全般に下にシフトしてきています。どの年齢層もインフレ期待が悪化してきています。とりわけ若い人よりもシニア層の方が下がり方がきついです。実は異次元緩和で起きたことは、こういうシニアの方々のインフレ期待が上がってきたわけで、それが元に戻ってきているということです。
--シニアの方というのはマイナス金利とか物価上昇などの知識を持っていると・・・
どちらかというと若い人よりもお年寄りの方が例えばモーサテを見てフォローしているとか、そういう意味での経済知識を持っている人が多いと思います。そういう方のインフレ期待が下がっているのは少し重傷です。同じことが年収で分けてみてもわかります。比較的高所得者層の落ち込みが大きいのがわかります。それはやはり経済のリテラシーの高い方々がより期待が下がってきているということだと思います。
--そこの低下を食い止めなければいけないという中では、今つ一緩和を打つタイミングではあるかもしれませんが、手段としてマイナス金利は非常に人気がないですね。渡辺さんが取られたアンケートによると「やや望ましくない」「望ましくない」が多いです。t4.JPG
これも3月上旬、まだマイナス金利導入から時間が経っていないころに聞いているんですが、その時点ですらかなりネガティブな印象を持っているということがわかります。
--そうするとマイナス金利の手段はとれませんか。
いまマイナス0.1%にしているんですが、もう3回くらい下げることができると思います。これだけの雰囲気の中でやるかどうかという問題はありますが・・・。一旦始めた政策ですので、おそらくマイナス1%くらいが上限で、そこまでのあと3回くらいは下げると思います。
--何故マイナス1%まで下げられるか、この数字の根拠は何ですか。
マイナス1%位まで行くと起こるのは、預金から銀行券へお金がシフトし始めることが、ヨーロッパの経験からわかっています。それが起きてしまうとマイナス金利の効果も薄れてしまうので、せいぜいできるのはマイナス1%までだろうということです。
--ということはそこの限界まではマイナス金利の下げ幅をを拡大するという対処法で年内はやっていくと・・・。
とりわけ日銀版コアコアの1%が割り込むようなことが起きては困りますので、それを防ぐためにそういう措置を取ると思います。春のうちに1%を割り込む可能性が高いと思いますので、そうした中でマイナス金利をもう1段進めると思います。





■東京大学大学院/渡辺努教授の経済視点
 「デフレ脱却 → 日本経済の再生」
ちょうど3年前に描かれたシナリオです。しかしなかなかデフレ脱却が難しい。むしろ物価がピークアウトしてきている状況ですし、マイナス金利も評判が悪いです。非常に厳しいですが、このシナリオを変えるわけにはいかないです。何とかこの軌道に乗せる方法を考える必要があると思います。
--2%目標を下げたらどうか?という意見もありますが・・・。
2%目標を下げるとなると、欧米も2%ですので、円高を容認することになります。2%はグローバルにそろえる必要があると思います。




■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットの見通しを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
今週末の日経平均予想 予想中央値16400(先終16164)
今週末のドル円予想 予想中央値112.00(先終111.62)
モーサテ景気先行指数 15.3



■今週の予定

4日(月) 米・ボストン連銀総裁 講演
5日(火) TPP承認案・関連法案審議入り、2月ユーロ圏小売売上高、米・2月貿易収支、米・3月ISM非製造業景気指数
6日(水) 米・FOMC議事要旨
7日(木) 日銀支店長会議、ECB理事会議事要旨、米・FRB議長討論会
8日(金) 3月対外・対内証券売買契約



■ニュース

円高進行 一時111円台半ば
外国為替市場で円高が進みました。週末のニューヨーク市場では、一時1ドル=111円60銭近辺まで円が買われました。週末のニューヨーク市場ではアメリカの3月の雇用統計をめぐり、「雇用の強さが確認できたもののFRBが早期の利上げに踏み切るには力不足だ」との見方が広がり、ドルが売られる展開となりました。市場では、「6月の利上げの可能性が後退するような状況になれば、ドル安・円高がさらに進む」との声も聞かれます。



新宿に国内最大級ターミナル
東京・新宿に、きょう、バスやタクシーが乗り入れる国内最大級のターミナル、「バスタ新宿」が開業しました。JR新宿駅の南側に新たにオープンした「バスタ新宿」は、新宿駅周辺に分散していたバス乗り場を集約し、JRやタクシーなどの乗り場とも直結します。ピーク時には1日最大1,625便のバスが発着する予定で、4万人から5万人の利用を見込んでいます。ほかにも多言語に対応した観光情報センターや、オフィスや飲食店などが入った32階建ての複合ビルも新設され、交通・観光の一大拠点として活用が期待されています。



ブリュッセル空港 一部再開
ベルギー同時テロが起きたブリュッセル国際空港は3日、旅客便の運航を一部で再開しました。再開は先月のテロ事件から12日ぶりとなり、荷物検査などの安全措置を強化した上でまずは国際線3便を運航します。今後、徐々に便を増やす予定ですが、臨時に整備したチェックインカウンターで対応できる利用者数は、通常の2割程度の1時間当たり800人前後に制限されます。自爆テロが起きた出発ロビーの本格的な復旧には数ヵ月かかる見通しで、空港当局は夏休みシーズンが始まる7月初めまでにできるだけ多くの運航に対応できるよう取り組むとしています。



戦闘再開で30人死亡
旧ソ連のアゼルバイジャン西部ナゴルノカラバフ自治州で2日、1994年から停戦していたアゼルバイジャン軍と隣国・アルメニア系の武装組織の戦闘が再び始まりました。アゼルバイジャン国防省は軍の兵士12人が死亡したと発表しました。一方、アルメニアのサルキシャン大統領は、18人が死亡したと明らかにしていて、双方の死者は合せて30人となっています。この一帯では91年に新しい国家の樹立を目指す多数派のアルメニア系住民と独立を認めないアゼルバイジャンとの間で紛争が始まり、ロシアの仲介で94年に停戦に合意していました。



米アムトラック事故 2人死亡
ペンシルベニア州フィラデルフィア近郊で3日、およそ350人が乗っていたアムトラック=全米鉄道旅客公社の列車が脱線し2人が死亡しました。事故を起こしたのはニューヨークからジョージア州に向かっていた列車です。地元メディアが目撃情報として伝えた情報によりますと、列車が線路内で作業をしていた重機に気付き、警笛を鳴らしたものの間に合わず、重機と衝突したもようです。消防当局によりますと、この事故により2人が死亡し、35人がけがで病院に運ばれたということです。アムトラックは、去年5月、フィラデルフィア近郊で8人が死亡する脱線事故を起こしていました。



異次元緩和から3年 後退するインフレ期待
4月4日をもって、黒田バズーカといわれた異次元の金融緩和から丸3年が経ちました。日銀がターゲットとしている物価上昇率2%には、まだ遠い道のりです。東京大学大学院の渡辺努教授が行った、物価アンケートでは消費者のインフレ期待が後退していることが明らかになっています。その中でも、ここまで消費を牽引してきたシニア層や高所得世帯のインフレ期待の低下が顕著となっています。このままでは2%は難しく、達成のためには抜本的な改革が必要と説きます。



アメリカ実質金利急低下 日米金利差解消で円高か
FRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長が3月末に行った講演で「海外経済がリスクであり、仕上げは慎重に進める」と発言したことで、4月の利上げ観測は一気にしぼみました。そうした中、実質金利は急低下しているといい、その影響でさらなる円高も懸念されるといいます。解説はホリコ・キャピタル・マネジメントの堀古英司氏




■日経超特急

①オフィス街で節電連合 味の素や清水建設、需給を一括管理 
味の素や清水建設など6社と東京電力ホールディングス(HD)がオフィス街での節電で協力する。次世代電力計(スマートメーター)を活用してオフィスビルでの電力使用量を常時把握。夏場の気温が高い日などに各社が協力して節電する。東電HDは電気料金を割り引くなどして節電を後押しする。政府は中期的な温暖化ガス削減目標の達成に向けオフィスや住宅での節電を重視している。


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②脱デフレ、長期戦に 黒田日銀の異次元緩和4年目に 
日銀の量的・質的金融緩和(異次元緩和)が4日で4年目に入り、デフレとの闘いは長期戦となってきた。企業の利益は2015年度に過去最高になったもようだが、景気の先行きへの不安から設備投資や賃上げにつながっていない。アベノミクスの好循環の起点である円安・株高基調も揺らぐ。日銀が導入に踏み切ったマイナス金利政策の効果も未知数だ。
《東京大学大学院/渡辺努教授》
「一般論ですが、マイナス金利は銀行の仕組みが経済の中で大事な役割を果たすところの方がうまく効く。逆に資本市場が中心のところはあまり効かないと言われている。例えばアメリカは資本市場が中心ですから効かない。それに対して日本は銀行が中心の金融仲介の仕組みになっていますので効くはずなんです。実際に少しずつ効きはじめていると思います。」




③雲が徐々に厚く 海外景気の動向注視 日経DI分析超特急3.JPG30業種の天気図を点数化して集計した「日経産業天気インデックス(日経DI)」は2016年4~6月期に10.0となり、前期比1.7ポイント低下する見通しだ。低下は3期連続で、産業天気にかかる雲が徐々に厚みを増している。また製造業DIはおよそ2年半ぶりにマイナスとなる。スマホ関連の中国からの受注の失速などにより産業、工作機械の天気が曇りから小雨になるためです。





■日刊モーサテジャーナル

①米国、11月の大統領選/トランプ惨敗の可能性(ニューヨークタイムズ、バロンズ)
大統領選では共和党・トランプ、民主党・クリントンが対決した場合、トランプ惨敗の可能性が高まっている。世論調査によると、トランプ氏はクリントン氏に対し接戦の州や共和党の地盤でも劣勢です。予備選・党員集会に比べて本線は投票所に足を運ぶ人が圧倒的に多く、これがトランプ氏にとって逆風になると分析。一方週刊投資新聞バロンズは共和党3位の候補者・オハイオ州知事ケーシック氏は政策もマーケットフレンドリーでクリントン氏に勝てる唯一の候補だと解説しています。ケーシック氏は両党の候補者のなかで唯一TPP支持していて、法人税減税など税制改革が現実的だと高く評価しています。


②米国、IPOの枯渇・止められるか
バロンズは「米国の今年のIPOが低調。2009年以来最低の資金調達額。」と懸念している。一方、ウォールストリートジャーナルは、今年初めてハイテク企業が上場する動きが出ていて、IPO枯渇状態に終止符を打てるかもしれないと伝えています。IPOを計画しているのはデル傘下のセキュアワークスで、今月中にナスダックに上場する見込み。年初にみられた株価の乱高下の影響でIPO市場が冷え込んでいたが、その流れを変えられるかもしれないと見ています。


③テスラ・モーターズ(ウォールストリートジャーナル)
電気自動車大手の新型セダン・モデル3、予約件数が24時間で18万台に達した。アメリカでの価格が3万5000ドル(390万円)でモデルSの半額以下、17年末から納車。ガソリン安で他社の環境車が苦戦する中で際立つ人気。