風を読む-Newsモーニングサテライト-

モーニングサテライト・ウォッチ

2016.8.8 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年08月08日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

7月の倒産件数 26年ぶりの低水準
東京商工リサーチによりますと、7月の全国企業倒産件数は712件で、去年と比べて9.5%減少しました。7月単月としては26年ぶりの低い水準で、前年の水準を下回るのは5ヵ月連続になります。公共工事が増えたことで建設業の倒産が大幅に減ったことや、金融機関による資金繰りの支援、大企業を中心に業績が拡大していることなどが背景にあります。一方で、今後の見通しについては「人手不足による人件費の増加が収益の負担になる可能性もある」としています。




ブラジル、景気持ち直しに期待高まる 《中継:みずほ総研NY/新潟敦氏》

m1.JPG
--低迷が続いているブラジル経済ですが、持ち直しの兆しが見えてきているようです。ニューヨークから新潟さんに伝えてもらいます。

ブラジルの株価指数ボベスパは今年1月に付けた安値から50%以上も値上がりし、
通貨レアルも米国ドルに対して30%以上も高くなっています。この背景にあるのは現在、職務停止中にあるルセフ大統領が交代することへの期待です。大統領代行としてリオ五輪の開会式で開会宣言をしたテメル氏のもと、経済構造改革が進むとの期待が高まっています。

--先週開幕したリオ五輪もこの持ち直しには影響しているんでしょうか。

一部はあるかもしれませんが、残念ながら効果は限定的と考えられます。五輪の開催地が基本的にリオデジャネイロに限られている為です。今後も景気の持ち直しが続くかどうかは、やはり正式に大統領が交代するかにかかっています。テメル大統領代行は国有資産売却などによる財政再建や労働市場の規制緩和などを掲げていますが、こうした改革を実行できるかがブラジル経済の鍵を握ります。ルセフ大統領への最後の審判となる上院での弾劾決議の採決は今月末に予定されています。五輪同様ブラジルの議会の動きからも目が離せません。以上ニューヨークからでした。





■【コメンテーター】飯田展久氏(日経ビジネス編集長)

・配偶者手当の廃止、働き方改革につなげよ

--この配偶者手当、無くなると困るという声もあるんですが、廃止への動きはどのようにご覧になっていますか。賛成ですか反対ですか。

「これはもう時代の流れということで、やむを得ないというか、当然だと思うんですよね。先ほどの給与明細を見ても分かるんですけども、実質的な生活給で賃金の一部ですよね。そうするとこれは働き方とか、成果に関係のない手当ですよね。そうするとこれは例えば独身者から見れば不公平だなということもあるし、正社員あるいは正規雇用者の既得権益のようなものになっているような気がしますね。ですからそれに反対する人がいるのはある意味当然なんです。但しこういうこと、見えないものを壊していかないと本当の働き方改革にはつながらないんじゃないかなという気がしています。」

--制度を変えることによって、働き方は変わりますか。

「そもそも制度だけでは働き方は変わらないので、例えば今日は国家公務員の話ですけれども、公務員自体の働き方を変えていかないと、例えばずーっと国会の開会中とか、予算のシーズンは霞が関の官庁街というのはずっと深夜残業をしているわけなんですよ。その間家事をずっと奥様に預けてやっているうちはダメで、公務員自体もワークライフバランスをよく考えて、家事を手伝うというふうにしながら分担してやっていく。それがセットにならないとダメで、ですから政治家も公務員に残業して仕事をさせないようにするということが大事だと思います。」





・不正会計で「東芝」ブランドに陰り、再生にはヒット商品がカギ

--中国の家電グループ傘下に入りました東芝の白物家電事業、来年度の黒字化を目指すということで、かなり強気だなという印象もあるんですけど、その目標の達成をどうご覧になりますか。

「東芝は昨年発覚した不正会計によって、ブランドそのものが大きく毀損しているんですよね。ですから消費者も東芝製品だから買うというのは、もうあまりないというふうによく聞きます。その中で中国マイディアグループ(美的集団)は40年間、東芝ブランドを継続して使いうという契約を結んでいて、これから東芝ブランドをどうやって立て直して家電を売っていくのか。そもそも東芝の白物家電事業は赤字だったんですよ。ということはヒット商品もなかったわけです。その中でどうやってヒットを生み出すのか。従来の製品開発や販売拠点を生かしたままと言っているので、ちょっとその筋道が見えにくいなあという感じですね。」

--ただ新しいマイディアグループというDNAを得たというのはチャンスにはなりますか。

「そうです。これはやっぱりお金を得ているわけです。赤字事業にはこれまでお金が入っていかなかったわけですから。新しいマイディアグループが思い切った投資をすれば、もしかしたら再生するかもしれませんが、来年度の黒字はどうでしょうかね。」





・フリー人材で地方はよみがえるか

--いま副業も含めるとフリーランスの方は1000万人を超えているということで、働き方が多様化していると思うんですけれど、奄美大島みたいにフリーランスの人が移住してくれるように対策を練っているところもあって、だんだん地方もそういう対策をし始めるのでしょうか。

「そうなんですよね。今朝の日経新聞の朝刊に、企業が首都圏に流入しているのが非常に増えているという記事がありましたね。いい行が働き手を求めて地方から首都圏に流入する。ですから地方創生の決め手として企業を誘致するとか、工場を造ってもらうという発想はもうダメなんですよね。ならば働き手としてのフリーランスの人を呼び込もうという発想の転換が必要なんだと思います。但し、自治体は人に来てもらう以上、住みやすい環境やフリーランスが働きやすいインターネットの整備をする。一方で、仕事を提供する企業もそういう人にちゃんとした仕事が提供できる仕組みを作る。仲介する会社は働く人がちゃんと信用をつけられるようにする。そして何より大事なのは、働き手のプロフェッショナルとしての自覚だと思います。時間の合間にやるのではなくて、それできちんと生活するんだという覚悟が必要なんであと思います。」

--フリーランスのサポートというのは、例えばクレジットカードを作りにくいとか、そういったところを支えていくということですか。

「そうです。普通の会社と同じように社会保険が適用できるとか、そういうようなことなんでしょうね。」





■ニュース特集

天皇陛下「お気持ち」表明、国内外で共感の声も
天皇陛下が8日午後、「象徴」としての務めについて、「お気持ち」をビデオメッセージで表明されました。陛下は80歳を超えた今、体の衰えが公務に影響することへの懸念を表明。生前退位を臨むお気持ちを強くにじませました。現在、皇位継承などを定めた法律「皇室典範」には生前退位の規定はなく、実現には何らかの法整備が必要。安倍総理は「どのようなことができるか、しっかりと考えていかなければいけない」と述べ、何らかの対応を検討する意向を示しました。また海外メディアも、天皇陛下のメッセージを大きく報道。中でも王室を持つイギリスでは、生前退位に肯定的な国民の声が多く聞かれました。


【天皇陛下「お気持ち」全文】

戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には、平成30年を迎えます。 
私も八十を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。 
本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。

そのような中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから、ほぼ28年、この間私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。 
天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。 
国民の理解を得られることを、切に願っています。








国家公務員の配偶者手当 課長級は廃止へ
人事院が課長級以上の職員には配偶者手当を将来的に廃止するという内容を安倍総理に勧告しました。そもそも配偶者手当の見直しの議論が始まったのは2年前で、手当が女性の社会進出を阻害しているのではという指摘がきっかけでした。国が率先して手当をなくすことで民間企業での見直しを促し、女性の社会進出を後押ししたい狙いがあります。すでにトヨタやホンダなどの企業も廃止する動きをしていて、企業にも広まる機運があります。みずほ総研の大嶋氏は配偶者手当の見直しはさらなる女性の社会進出につながるとコメントしています。

【人事院が国家公務員の手当見直しを勧告、課長級の配偶者手当は廃止へ】
今日、人事院が国家公務員の配偶者手当を課長級以上の職員には将来的に廃止するとの勧告を安倍総理大臣に提出した。この配偶者手当廃止の動きは公務員に限らず一般企業にも広がってきている。

【配偶者手当“廃止”・民間企業に広まるか?】
今日、人事院の一宮総裁が国家公務員の配偶者手当廃止などが盛り込まれた給与勧告を安倍総理に提出した。この勧告では課長級の職員の配偶者手当については「今後廃止する」としている。日本国家公務員労働組合連合会はこの動きに難色を示している。この様な反発がある中で、なぜこのタイミングで勧告したのか。人事院給与局給与第三課の井上勉課長は「共働き世帯が増えている傾向がある。公務員においても配偶者を扶養親族にする職員が減少傾向にある」と話した。手当見直しの議論が始まったのは2年前、手当が女性の社会進出を阻害しているのではとの指摘がきっかけだった。国が率先して手当をなくす事で民間企業での見直しを促し、女性の社会進出を後押ししたい考えだ。130man.JPG

《大浜キャスター》
この配偶者手当に関しては130万円の壁ということがよく言われます。夫婦共働きで妻の年収が130万円未満の場合には、扶養手当として配偶者を支払う企業が多いです。ところが逆に130万円を超えていくと、夫の扶養から外れなくてはならなくて、配偶者手当も当然もらえなくなる。さらに年金などの社会保険料の支払いなども発生してくるので、実は手取りはガクンと減っていく、大きな違いがあるんです。そういうことがありますから、夫の扶養の範囲内、つまり年収130万円を超えないように、何とか働こうという人が多いのが現状です。これが女性の社会進出を妨げているという指摘があるわけなんです。

【配偶者手当“廃止”・女性の働き方が変わる?】
今、民間企業にも配偶者手当廃止の動きが広がっている。大手自動車メーカーのホンダは配偶者手当を廃止する方向で検討している。働き方が多様化する中、時代に合った給与体系に変える狙いだ。さらにトヨタも今年1月から配偶者手当を廃止した。自動車大手2社が相次いで廃止する事で今後、他の企業にも広がりを見せていきそうだ。配偶者手当の見直しは更なる女性の社会進出に繋がると専門家は話します。
《みずほ総合研究所政策調査部/大嶋寧子氏》
「2002年から2015年の企業で働く女性の数を見ますと、約300万人増えています。一方で、その中身を見ますと、正社員は増えておらず、日本の女性活躍はゆがみのある形で進んできているわけなんですが、その要因の一つに配偶者手当・社会保険の『130万円の壁』があると考えています。配偶者手当の見直しはこの就業調整を無くして、女性が思いっきり意欲を発揮できるようにするためのひとつの必要なステップです。」

《大浜キャスター》
基本的な考え方は配偶者手当を減らすだけではなくて、その分子供手当てを増やしましょうということなんですけども、ただ現状では働きたくても働けない女性も多いですからね、保育園の問題等もあって。だからこそ議論になっているということです。





■特集 勃発!フリーランス争奪戦amami.JPG
個人が企業から仕事を請け負い「フリーランス」として働く人が増えていて、1,000万人を超えるという推計もあります。フリーランスに仕事を仲介する「ランサーズ」には100万人近くが登録し、企業などの依頼主から高い評価を得るフリーランスもいます。全ての依頼主から最高評価を得たフリーランスの鈴木さんは3年前からプログラマーとして仕事を請け負っています。半年で会社員時代の年収と同じくらいのを稼げるようになり、1年の半分は自分の好きなゲーム開発に費やす“二毛作”の働き方をしています。ランサーズは優秀なフリーランスを確保するため、鈴木さんのようなフリーランス3,000人にボーナスを支給しました。鹿児島県奄美市もフリーランスに注目しています。高速インターネット網の整備などで、フリーランスが働きやすい環境を作り、移住者として迎え入れようとしています。2020年までに50人のフリーランスの移住を目指します。
取材先・ランサーズ・奄美市

【勃発!フリーランス争奪戦】
今、個人で企業などから仕事を請け負うフリーランスとして働く人が増えている。その数が会社員の副業などを含めると1000万人を超えたとする調査結果もある(ランサーズ「フリーランス実態調査2016年度版」より)。インターネットの普及を背景にして増えているとの事だが、この新しい働き方に企業や自治体も注目し今、フリーランスの争奪戦とも言える状況になってきている。

【フリーランス争奪戦・稼ぐスターの“二毛作”】freerance.JPG
東京・渋谷区にフリーランスに仕事を紹介するサービスの先駆けとなった会社がある。2008年に設立した仲介会社・ランサーズ。ランサーズには現在、100万人近いフリーランスが登録しているが、その中に全ての依頼主から満点の評価を得ているプログラマーがいた。
鈴木光行さん(40歳)はかつて大手ゲーム会社・ハドソンに勤務し、「天外魔境第四の黙示録」を手掛けた。その後中小ゲーム会社の管理職、社長など17年のキャリアを経て選んだ道がフリーランスだった。フリーランスとなって4年目。現在は上半期は請負業務で稼ぎ、下半期は自分がやりたい事(ゲームの自主開発)をする二毛作のスタイルだ。
鈴木は今の自由な働き方に満足している。
さらにボーナスの支給がある。これは仲介会社のランサーズが業績を伸ばした3000人にだけ初めて支給したものだ。その狙いは優秀なフリーランスを増やすことだ。競合する仲介会社が200社以上に増え、人材の争奪戦が激しさを増している。

【フリーランス争奪戦“働ける島”を目指して】
フリーランスという働き方の広がりに注目しているのは企業だけではない。鹿児島県の奄美市。奄美大島は年間60万人の観光客が訪れる日本有数のリゾート地。人口減少への危機感から奄美市は去年、フリーランスの移住を促進する計画を策定。市内の空き家に移住する人にリフォーム費用などとして最大100万円を助成する制度も作った。さらに今年度から3年間総額6億円を投じ高速インターネット網を整備する計画。こうした努力で2020年までには50人のフリーランスが移住してくる事を目指している。4年前に千葉県から移住してきた井田陽平41歳。井田は4月からフリーライターとして活動し、島の名所を紹介する記事を書いている。井田に記事の執筆を依頼している奄美大島の情報サイト運営・しーまの深田小次郎代表はフリーランスの移住に期待している。井田の本職は塾講師で、島で生活していく為にフリーランスの働き方に興味を持った。奄美市に協力するランサーズ・秋好陽介社長は「新しい離島での生活スタイルが広がるのではとワクワクしている」と話した。





■ニュース

上半期の経常黒字 10兆円超え
財務省が発表した2016年上半期の国際収支によりますと、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す「経常収支」は、10兆6,256億円の黒字でした。前の年の同じ期に比べ31.3%増で、10兆円の大台に乗せたのは8年半ぶりです。原油安による輸入額の大幅な減少や訪日外国人の増加が貢献しました。



「東芝」の家電事業 来年の黒字化目指す
中国の家電大手、「マイディアグループ」傘下に入った白物家電事業の「東芝ライフスタイル」は、きょう、新体制について会見を開き、部品の共同購入などによるコスト削減で2017年12月期に黒字化を目指すと表明しました。国内では当面東芝ブランドの家電を販売する一方で、マイディアグループの海外拠点を活用し、欧米やインド市場へ参入していく方針です。



イオン ミャンマー進出を発表
流通大手のイオンは会見を開き、ミャンマーに進出すると発表しました。スーパーマーケットについて「5年後には年10店のペースで店舗を拡大する」計画を明らかにしました。イオンはことし4月に地元企業と合弁会社を設立しており、譲り受けたスーパーを「イオンオレンジ」として改装しながら、出店を拡大していきます。プライベートブランドの「トップバリュ」を導入し、将来は大型ショッピングセンター「イオンモール」の進出も検討しています。



尖閣諸島周辺に中国公船 一時15隻と過去最多
海上保安庁は、沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域や領海に一時、中国海警局などの公船15隻が入ったと発表しました。尖閣周辺で同時に航行する公船の数としては、過去最多となります。中国側の活動激化を受け、政府は、安倍総理らと中国指導部の対話を通じて局面打開が図れないか検討に入っていて、政治レベルでの対応を模索しています。



公取委 アマゾンジャパンに立ち入り検査
インターネット通販大手のアマゾンジャパンに、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査をしたことがわかりました。関係者によりますと、アマゾンジャパンは、別の通販サイトでも販売をしている業者に対して、アマゾンでの出品価格を一番安くすることを条件として求めた疑いがあるということです。



アシックス 京急品川駅構内に直営店
アシックスは、東京・港区にある京浜急行電鉄品川駅の構内にオープンする新型店舗をお披露目しました。駅のホームにあすオープンするのが、「アシックスステーションストア品川」です。店内には、日本代表選手団の公式ウェアのレプリカなど、オリンピック関連の商品が並んでいます。そして、店内にあるアシックスロゴのLEDライトにある特徴が。スマートフォンをかざして、専用のアプリで読み取ると、店舗の通販サイトが表示されます。LEDから情報を読み取るパナソニックの光IDという技術を使っていて、通勤通学途中などの客でも手ぶらでネット通販が出来る仕組みです。既存店の売り上げが伸び悩むアシックスは、駅構内など、出店する場所を増やしていく考えです。





■【ロングセラー研究所】夕張メロンピュアゼリーyubari.JPG
北海道の中元ギフトで11年連続1位の夕張メロンピュアゼリー(HORI)を研究。新千歳空港の売店には白い恋人、マルセイバターサンド、生チョコなど北海道土産三種の神器の定番がひしめいています。北海道土産で有名なホリの「夕張メロンピュアゼリー」。年間1,000万個製造され、11年連続で北海道中元ギフトナンバーワンを誇ります。ホリは、夕張市から旬のメロンを年間100トン調達し、毎日担当者が味見して味を調えています。砂糖や洋酒で味を調えます。また毎年味のテーマを決めるため、少しずつ味が変わるといいます。今年のテーマは「のど越しと旬な香り、味」。去年のテーマは「ナチュラル」で、自然な風味を追求しました。
砂川市は戦後、周囲で産出される石炭を運ぶ交通の要衝として栄えたが石炭産業の衰退とともに人口が減少、1981年に父の菓子店を兄とともに引き継いだ堀昭社長は看板商品の開発を急ぐ必要がありまた。当時、無名の菓子メーカーだったHORIが有名な夕張メロンを調達するには高いハードルがありました。親の菓子店を受け継いだ堀社長は、同じく炭鉱の町夕張市の特産品「夕張メロン」を使いお菓子を作ろうとしましたが、夕張側から「夕張メロンのイメージを損ねるような味ではだめ」と言われたため、何度も試作品を夕張に持ち込み、農協の担当者に試食してもらいました。そして1年半後の1987年、夕張メロンピュアゼリーが誕生。翌年日本航空の機内食に採用され、人気に弾みがつきました。その後類似品との差別化を図ろうと、原料を果汁から果肉に変更。コストはかかりましたが、まねのできない味作りに成功しました。夕張メロンピュアゼリープレミアムも開発しました。

取材先・ホリ





■【トレたま】認知症をケアするバイク

数字記憶問題、動物の名前を選ぶ問題などがあり、ペダルの回転数に合わせて問題を解き続けないとならない。東京都北区のリハビリ器具を開発する会社が国立長寿医療研究センターと共同開発した。体と脳を同時に働かせることで認知機能に改善がみられた。今後の臨床実験で認知症の発症を遅らせることにつなげていく考えだ。
《国立長寿医療研究センター/島田裕之博士》
「(有酸素運動を脳の運動を組み合わせた効果について)科学的な検証によって認知機能の一部、注意機能が優位に改善したという結果が出ている。」

【商品名】コグニバイク
【商品の特徴】認知症をケアするバイク
【企業名】インターリハ
【住所】東京都北区上中里1-37-15
【価格】98万円(税抜き)
【発売日】8月中旬に本格発売予定
【トレたまキャスター】北村まあさ







2016.8.8 Newsモーニングサテライト

2016年08月08日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NYマーケット
先週金曜日、S&P500とナスダックは終値で最高値を更新。予想を上回る雇用統計を素直に好感しました。7月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が25万5,000人と市場予想を大きく上回り、6月分も29万2,000人に上方修正されました。ダウなどに比べ出遅れていたナスダックは去年7月以来の最高値更新。利上げへの警戒というよりは素直にアメリカ経済の堅調さが評価されました。オリンピック期間中は実は株価も上昇しやすく、実際1964年の東京オリンピック以降、ロンドンまでの13回のうち、7回は上昇しています。では5日の株価の終値です。そろって上昇しました。ダウは反発。191ドル高の1万8,543ドル。ナスダックは54ポイント上昇の5,221。S&P500は、18ポイントプラスの2,182でした。0 指標.jpg








専門家インタビュー

その雇用統計の結果について、エコノミストは、幅広い分野で力強さが示されたと指摘しています。
《S&Pグローバル/サティアム・パンディ氏》
「今回の雇用統計では幅広い分野で力強さがみられた。民間部門だけでなく政府部門が3万8000人増えたのはやや驚いた。民間部門では質の高い専門サービスが7万人も増え、製造業も2ヶ月連続で増加している。雇用の質を見るには平均時給が上昇する必要があるが、それも前月より8セント上がった。全体的に労働市場は引き締まってきている。」

一方、雇用統計の内容は強かったものの、これだけでは、FRBが9月の利上げに踏み切るには十分でないと、パンデイ氏は指摘します。
「4-6月期GDP成長率が予想より弱かったため、9月の利上げはないだろう。FRBは7-9月期GDP成長率とインフレ率が目標2%に近づくか見極めたい。そのため利上げは12月を予想する。」






【為替見通し】注目ポイントは「ドル/円のボラティリティ」
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏

--アメリカの雇用統計は予想を上回る結果となりました。市場の反応はいかがだったでしょうか。
ドルは主要通貨に対して全面高となりましたが、ドル円の上値は限定的でした。アメリカの債券市場は 9月の利上げの可能性を織り込みに行ったものの、株式・為替市場は比較的穏やかな反応にとどまりました。

kw1.JPG
--今日の予想レンジは、101.60円 - 102.60円、注目ポイントは「ドル/円のボラティリティ」です。
グラフはドル円の1ヶ月のボラティリティを示しております。7月は参院選や日銀の金融政策決定会合などがあり、12 から 16%で推移しておりましたが、重要イベントを通過した現在 9%台後半に低下しています。9月末バイとなる 2か月のボラティリティも低下しており、7月から 8月初めにかけての重要イベントを通過したドル円相場はしばらく夏休みモードになることを示唆しております。

--ということはしばらくレンジ相場が続くということでしょうか。
今後 2週間は 100円から 105円のレンジ内で推移するとみています。もっともテロなどのリスクは排除できず、その場合ボラティリティ上昇を伴ってドル円が一時 100円割れとなる可能性があることを想定しておく必要があります。0 為替.jpg
















【日本株見通し】注目ポイントは「堅調地合いの下値メド」nk1.JPG
解説は楽天証券経済研究所の土信田雅之氏

--今日の予想レンジは、16250-16500円です。さて金曜日、アメリカは堅調で戻ってきます。今週明けはどうでしょうか。
そうしたアメリカ市場の流れを受けまして、本日の日経平均は上昇が予想されます。先物取引の清算値、16400円台を意識したスタートとなりそうです。またチャートを見てみますと、足下はレンジ相場の上限水準に位置しているんですけれども、今週は目立ったイベントもありませんし、夏休みシーズンでもありますため、方向感が出にくい中、現状維持ができるかどうかが注目されます。



--堅調さを維持するうえで、警戒すべきことはありますか。
企業決算シーズン真っ盛りの中、これまで買われてきました内需ディフェンシブ株よりも、景気敏感株を選好する反応など物色動向に変化
nk2.JPG
が見られるんですけれども、その分外部要因のムード悪化には注意が必要かなと思っております。特に今週、経済指標が多く発表されま
す中国については、週末の東シナ海の動向など外交面での関係悪化ですとか、ちょうどチャイナショックから間もなく1年というメモリアル的な要素もありますので警戒されるかもしれません。



--仮に日経平均が下落した場合の下限ですけれども、ずいぶん下限までには距離がありますが、下値のめどはどのあたりと見ればいいですか。
nk3.JPG
参考になりそうなのは4月の値動きです。チャートで見ますと、当時、日銀会合の後で下落した局面があるんですけども、25日移動平均からマイナス3%水準で4月当時は下げ止まっています。これを足下に当てはめまして、先週末時点の25日移動平均線の16199円ですので、ざっくり計算すると15713円になります。実はこの水準は、バーナンキ前FRB議長が来日しまして、いわゆるヘリコプターマネーの思惑で相場が上昇しました7月11日の終値とほぼ同値水準ですので、意識されるのかなと思っております。












■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(期間:8月5日~7日、対象:番組出演者34人)
sabei1.JPG


・ 今週末の日経平均株価
予想中央値(16600円)先週終値(16254)
大和証券/木野内氏(16600)
「今週来週は薄商いとなるので、日銀のETF買い入れの存在感が一段と増す」
東海東京証券/佐野氏(16200)
「材料が少ない中、円高が進むような場面があれば、下押ししそう」


sabei2.JPG
・今週末のドル円予想
予想中央値(102.00)先週終値(101.99)
マネックス証券/広木氏(102.00)
「雇用統計や日本の決算発表一巡で材料が出尽くし、夏休みモードでもみ合いとなる」
双日総研/吉崎氏(104・00)
「雇用統計でアメリカ経済の強さを再確認。ドルがじり高に動く。」



・米利上げ時期予想
9月(15%)11月(0%)12月(68%)17年2月(6%)17年3月以降(12%)
sabei3.JPG


・日銀追加緩和から1週間、評価は?
成功(29%)失敗(18%)どちらともいえない(53%)
多くの方が総括判断する9月までの時間稼ぎだと回答している。



・モーサテ景気先行指数 16.2(改善)







■【NY便り】 混迷の米大統領選 どう読み解く
アメリカの大統領選挙は民主・共和それぞれの党大会が終わり、いよいよトランプ氏とクリントン氏の本格対決に突入します。現状についての最新分析と見通しについて、アメリカ政治を見続けてきた作家の冷泉彰彦さんに話を聞きました。


--まずは党大会を受けてどんな印象ですか。
いろんな分裂があって大変だったんですが、とにかくちゃんと投票があって候補が示されて、演説があって、形だけはついたなという感じですね。

--ただ両党ともしっかりまとまったかというと、そういうわけでもない。
全く、違いますね。

(フリップ1:対立軸)nd1.JPG
--つまり対立が大きく揺さぶられているという状況なんだそうです。それでおさらいなんですが、民主党・共和党がそもそもどういう対立軸か、というと思想、支持層、中絶・銃規制、政策という対立軸があった。

ところが共和党のトランプ氏は、中絶の問題には、ニューヨーク出身ということで、かなりリベラルな考え方を持っていますね。それから大きな政府・小さな政府ということだと、けっこう年金など満額支給とを言っていて、共和党の伝統的な小さな政府からは離れてますね。

--再分配をしっかりするみたいな考え方ですか
そこまででもないですけど、でも伝統的なのとは全然違いますね。

--一方のヒラリーさんは・・・
なんといってもやっぱり大企業重視、IT企業や多国籍企業、グローバルに活躍している企業というのをやっぱりアメリカとして大事にしていきましょう、ということははっきり言っていますから、そうなると昔のいわゆる労働組合寄りの(今でもそうですけど)民主党の主流とはちょっと違いますね。

--ただ労働組合をすごく軽視しているということでも・・・
でもないです。やっぱり公務員とか教職員の組合なんかを支持母体として持っていますけども、やっぱり非常に大企業の成長に関してはヒラリーさんは重視しているということですね。

--結果的のこうしてねじれてしまっている。これは何が原因なんですか。
これはやっぱりオバマ時代の8年間、やっぱりリーマンショックで世界恐慌になるか、というところから何とか持ち上げてきたわけですけど、オバマ大統領の政治というのは中道ど真ん中みたいな政治だった。そうするとそれに不満がある人が右と左に寄っていく中で、従来の立ち位置と外れていくみたいな形で、ものすごく政治の環境が変わりましたね。

(フリップ2:軍事外交)nd2.JPG
--だからお互いやっぱり意見がクロスしてしまっているのがいまの状況なんですけれども、これは主に国内での対立軸のブレということなんですが、冷泉さんは、もう一つ対外的な対立軸にも注目されています。特に軍事外交で、縦が介入するかしないか、横が協調するかしないか。両候補は極端なところにいるわけなんですが、まずクリントン氏はここに(フリップの左上に)いる理由があるんですね。

そうですね。旦那さんが大統領だった90年代から8年、それから自分が上院議員だった時代、それから国務長官時代、ずーっとアメリカの軍事外交にかかわってきていますから、やはり責任もあるし、積み残し事項もあるし、私が何とかしたいという強い思いがありますね。

--ちょっと国際的な紛争からアメリカは手を引いてしまったところを、また戻していきたいという感覚なんですか。

だからやっぱりオバマ大統領があまり無理をしない。やっぱりイラク戦争に対する国民の不満というのがすごく大きかったですし、経済的に無理もできなかった。ただヒラリーさんはその中で、私はもっとタフにやるってことを公言してますから・・・

--その大義名分は何ですか。
これはやっぱり人道問題です。だから旦那さんの時代のコソボ危機もそうでしたけども、やっぱり人道が非常に危機に瀕しているとなれば、アメリカとしてやっぱり出てくるという可能性はありますね。

--だからオバマさんの3期目みたいなことを言われていますけど、軍事に関していうと、そういうわけでは全然ないですか。

もう少しやっぱりしっかりやるんだみたいなこと言ってますね。

--一方のトランプさんはこの対極にいる理由は何なんでしょうか。
これはやっぱりとにかくもう自分たちがいろんな形でやってきた国際情勢の関与が全部うまくいかなかった。考えてみたら何にもアメリカのためになってないよって言う人たちがいるわけですね。そういう中で、アメリカの長い 伝統の中にある孤立主義というのがものすごい形で出てきている。それに加えてやっぱりブッシュさんの時代もオバマの時代も全然もうダメだった。そういう過去の反省からこういう形で極端にきてますね。

--たたなんか強いアメリカって言ってますけど、それは軍事的にクリントンさんみたいに出ていくという形ではないんですね。

なんかイメージからすると、レーガン時代たいに軍備は増強するんだけど、一発も打たないでソ連を崩壊させたみたいな、なんかそういうのを狙っているとか、あとはニクソンの時代ですね、考え方は全然違うんだけど毛沢東と
握手しちゃったみたいな、そういうなんかウルトラC的な、悪く言えばスタンドプレーみたいなのを狙っている可能性がありますね。

--アメリカに火の粉がかかって来なければ大丈夫というような感覚なんですか。
ですね。まさにそうですね。

--なるほど、ここで最新の世論調査を見てみたいと思うんですけれども、党大会が終わってからやっぱりクリントンさんが伸ばしたというよりは、トランプさんが落ちてきた。 
(フリップ3:最新の世論調査)nd3.JPG
両方あると思うんですね。やっぱり党大会を比較してみると民主党のほうはオールスターキャストでオバマ大統領からバイデン副大統領からズラーっとでてきましたからやっぱりやっぱり盛り上がりましたよね。それとやっぱり仰ったようにトランプさんの自滅といいますか、やっぱりイスラム教徒の兵士がアメリカのために亡くなった、そのご両親がトランプを批判した、それに対して本当にもう居直っちゃいましたから・・・。これはやっぱりいわゆる大炎上になりましたね。

--クリントン氏が優勢とはいえ、クリントンさんの欠点・弱点ってあるんですか。
これはやっぱり今のアメリカっていうのを象徴してるみたいに思われているんですね。特に前回2008年にオバマ大統領と争いましたよね。あれから8年経った分だけアメリカって若い年齢の人口が多いですから、ものすごい若い人たちが新しく有権者になっているわけですよ。この人たちからするとやっぱりヒラリーさんはやっぱりずいぶん年の離れたちょっともうホントに旧世代の人だなって、全く親しみがないんですよね。

--昔っぽいという見え方がしている。
そうです。だからブッシュの時代、オバマの時代の良くないことは全部彼女の責任があるなんて思われちゃっている。損な役回りですね。

--日米関係を考えた場合、クリントン大統領だとしたら、どういうことになるんですかね。
やっぱりIT企業なんかを重視して行こうって言っていますから、例えばですけど、日本のカルチャーとアメリカのテクノロジーが一緒になってポケモンGOみたいなね、もうちょっと日本が儲かるスキームで何か新しいこと進んでいったらいいんじゃないかなと思いますけどね。

nd4.JPG
--トランプ大統領はどうですか。
これはやっぱりかなり苦労すると思うので、むしろやっぱり自由世界の理念とか あるいは概念みたいなものを、むしろEUと一緒になってやっていく、日本とフランスの首脳同士が相談しながらやっていくとかですね、ちょっとそのぐらい考えたほうがいいかもしれませんね。

--ただまだあと3ケ月ありますから、大きく潮目が変わるきっかけになることが起きるかもしれない。まだまだ分からないですよね。

ここでお知らせです。冷泉彰彦さんの本が今月26日に出版されます。『民主党のアメリカ、共和党のアメリカ、まさに大揺れする対立軸』という今日お話しいただいた内容が盛りだくさんです。興味ある方はぜひ手に取っていただければと思います。





■乱高下続く商品相場
今年に入り各商品の価格の変動率が大きくなっています。今年に入りエネルギーが30%、非鉄金属、貴金属が共に20%程度。14年11月OPECショック前に10%台前半の変化率だったので明らかに価格変動性は徐々に上がっています。商品はこれまで原油が上がったら株が上がるとか、原油が上がると非鉄金属も上がるなど画一的な説明をされてきたが、いま明らかに動きが違ってきているといいます。その理由は投機筋の思惑の変化。価格決定に大きく影響を与えているのが投機筋といわれる投資家。その投機資金は現物の需要と供給のバランスを見ながら売買をしているが、その需給見通しが大きく変わってきているのが原因ということです。
解説はマーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘氏です。

t1.JPG
--商品相場の見通し俯瞰でお伝えしていこうと思うのですが、実は各商品の 価格の乱高下が続いているんですよね。年初から見ていきますと変動率がずいぶん高まっています。
(フリップ1:主な商品先物価格の変動率(年初から))
OPECショック前は、この価格の変動率、ボラティリティが10%台前半だったんですよね。それがエネルギーは30%、貴金属、非鉄金属20%台ということで、相当上がってきている。変動性はむしろ、今はあまり動いていないという印象があると思うんですけど、むしろ高いんですよね。

--どうしてですか。
需要と供給のバランスがあまり大きく変わっていない中で、やっぱり投機がある程度はいろんなものを材料にして売買をしてしまってる。そこが価格を大きく動かしている要因です。t2.JPG





























--その投機の資金はどういう思惑で動いているのか、実際に見ていきましょう。3つの代表的な商品で見ていきます。
(フリップ2:乱高下続く商品相場)
まず原油です。ご覧のように年初からずっと上昇してきたんですけど、ここにきて下落基調に入り、一時40ドル割れという展開もありました。投資資金が何に注目しているのかというと、原油に関しては「アメリカ」。

やっぱりアメリカは最大の消費国でありますし、同時に最大の生産国の一つということになっていますので、むしろ需要よりも、ここがどういう生産をしているか、ということを実は投機筋は見ていまして、需要面ではないということですね。

--需要面ではない。では何かというと「供給面」。供給が上昇しているということは見えるんですね。

見ての通り、リグの稼働がどんどん減っていって、生産調整が進むよということで、ずっと(WTI原油先物が)上がってきたんですけども、リグの稼働が増えてきたので、生産もこれから秋口にかけて増えるのではないか、ということで売られているんですね。ただここで大事なのは、この上がっていく局面というのは、投機が買いを入れてきたというよりも、売っていた人が買い戻したというのが正しいですね。さらに言うと、ここの下落というのは勝っていた人が売っているのではなくて、新しく売りが入ってい下がっているということなんですね。だから普通に考えると、投機筋が売っているものというのは現物を持っていないですから、絶対に買い戻しが入るんです。だからむしろ秋口にかけては上がっていく可能性のほうが高い。一時的には40ドルを割って35ドルというのも無いこともないと思っていますが、やっぱり生産調整が長期にわたって進むという見通しは変わってないので、やはりこの売っていた人たちの買戻しがどこかで必ず入るということですね。

--続いて「金」です。金は年初からずっと上昇して、また6月から上昇の基調に入りました。

これは何かというと、明確にブレグジットの影響ですね。年前半はアメリカが利上げをしないということが材料で買戻しが入っていたんですけど、6月以降はもう明確にブレグジットの影響で、「質への逃避」ということが起きているということなので、投機筋は「安全資産への逃避」ということなんですね。ここで重要なのは、安全資産とは何ですか、といったときに、コストをかければすぐに換金されるものが安全資産に分類されるので、同じドル建ての資産でいうとアメリカの国債と金と両方があって、どちらかというと投資家は国債のほうを選好するんですよね。それで国債が買えない時には消去法で金が買われるということが起きます。

--そして今回これらの要因に加えて、日銀も価格に影響を与えているということですね。

通常は商品価格全体に大きな影響を与えるのは、アメリカの金融政策であるということはほぼ間違いないんですけれども、ところが今回ETFの買いがあったということのサプライズと若干の失望があって、長期金利が上昇したんですね。

--流れを見ていきましょう。

日銀で失望して、日本の金利が急上昇しました。そうすると日本の金利が低かったので、アメリカの国債が買われていたわけですけれども、日本の金利が上がりましたから、当然アメリカの金利も上げってしまうということも起こります。そうすると国債の価値が下がりますから、同じ安全資産としては金のほうが良いということで上がったということですね。ただアメリカの金利が上がると、金融引き締めがあるということで、アメリカの株が調整します。アメリカの株が調整すると、今度は需要が減るんじゃないかということが起きるので、商品価格に下押し圧力がかかる。それは景気に連動しやすい非鉄金属ですとか、原油とかに対して影響を及ぼす。だから金は上がるけど、こういった景気連動性の商品は価格が下がる可能性が出てくる。とにかく今まであまり日銀の金融政策が商品価格に影響を与えることはなかったんですけれども、ここはやはり注目ですね。9月にまた総括があるといますけど、これによってはまた長期金利が跳ねて、こういったことが起きるかなと思います。

--今後は商品価格に対しても日銀の動きが無視できなくなっている。では、非鉄金属を見ていきましょう。非鉄金属が乱高下しながらも上昇基調にあります。

短期筋が注力しているのが中国です。原油におけるアメリカと一緒で、非鉄金属の最大の生産国であり消費国であるのは中国なんですね。特に投機筋は中国の何を見ているかというと、需要の動向です。

--需要が増 えているということですね
モノにもよるんですが、中国の固定資産投資を見てみると、民間部門の固定資産投資行というのは前年比ベースでどんどん落ちているんですが、公的部門の固定資産投資はものすごい増えているんですよね。

--つまり吹かしているわけですね
仰る通りです。つまり構造的には景気が悪くなる方向性にあるんですけれども、それだとやっぱり共産党への支持が下がってしまう。それでは困るよねということなので、電線とか線路とか公共投資をけっこう積極的に打っているんですね。

--ですから需要が増えているという思惑を投機筋は持っているわけですね。
そういうことですね。ただこの公共投資も永遠には打ち続けられないわけです。そうするとやっぱりこれが剥落してくると、民間部門の投資はだいたい投資全体の6割を占めてますから、これが落ちているということはやっぱりこれが息入れをして、年末にかけてもむしろ下押し圧力が強まるのではないか。重要なポイントは、いずれも結構、政治的な要因と金融政策要因なんですよ。これから年末に向けて選挙とか当然、毎月日銀会合もありますし、FOMCもありますし、やっぱり政策的な要因が相当、商品相場を乱高下させるだろうと思われますね。







■【コメンテーター】マーケット・リスク・アドバイザリー/新村直弘氏

・米雇用に力強さ、年内利上げはない?

--アメリカの雇用統計はしっかりした内容でしたね。これでまた利上げへの思惑が台頭してくるのでしょうか。
どうでしょうね。現実、展開が非常に去年と似ているなという話ですよね。去年のGDPが良くなくて、中国の株の問題とかがあって、あのときも海外情勢を注視しますよ、と言って利上げを先送ったわけですよね。ということを考えると、今回イギリスと中国の問題が特段良くなっているわけでもないですから、そうするとさっきの専門家が言っていたように9月の放蕩にできるかどうかは本当に流動的で、12月が本命です。でも12月は大統領の選挙の翌月なので、また年明けかなという気はしますね。





・モーサテサーベイ/日銀次の一手「総括」で仕切り直し

--日銀の追加緩和について、5割の方が、「わからない。時間稼ぎでは」との回答です。
正直緩和ではないと思うんですよね。少なくとも株価の維持というのは、日銀の責務ではないはず。ですので私はETFを買うという速報を見てなんだ?と思った。9月の総括の時に、株を買ういうことと、今までやっている日銀のQQEがどういうものであるのか、もうちょっときちんと整理をされないと、今回のものが成功したのか、失敗なのか、判断すらできないと思う。相当追い詰められているともう。

--あの時点では相当マーケットが織り込んで期待してしまっていたので、ゼロ回答というのが難しかったというのも分からなくもありませんけども・・・
ただ株がそんなに安くなかったので、あそこで無理に株価を上げなくてもいいのかなと思いました。





・日経朝特急/変わり種投信、個人が熱視線

--新村さんはリスクの専門家ですが、どう見ますか。
「中央銀行がこれだけ金利を下げていますから、イールドハンティングの動きがあるのはおかしくないが、結局そういう商品は流動性が低いものが多く、特に自然災害系のファンドなどは最近異常気象が多いし、地震もありえますので、流動性の低い商品に投資しているという
リスクは考えないといけない。」

--それに金融政策によっては、利回りも急上昇するということもありますよね。
「そうですね。日米欧の金融政策によっては、長期金利が急に跳ねるということはありますから、そうするとこういった流動性低めの商品というのは要警戒ですね。」





・今日の経済視点 「4年後」

さっき短期的な話をしましたけれども、やっぱり商品価格は低迷しているので、上流部門投資というのは落ちているんですね。4年後はインドが需要を引っ張る国としてたぶん出てきます。人口暴発期に入るということですね。その時に生産が間に合うのかということです。商品を見るうえで金融政策と違って、欲しいからと言って蛇口をひねると出てくるものではなく、時間差があるんです。常に長期的な視点で上昇リスクを考えなくてはいけないタイミングではなると思います。





■今週の予定

8日(月) 日銀金融政策決定会合の主な意見(7月分)、6月国際収支、7月景気ウォッチャー調査
9日(火) 中国7月消費者物価指数、米6月卸売在庫
10日(水) 6月機械受注
11日(木)
12日(金) 中国7月固定資産投資、ユーロ圏6月鉱工業生産、米7月小売売上高、米7月生産者物価指数



■今日の予定

6月国際収支
日銀金融政策決定会合の主な意見(7月分)
7月景気ウォッチャー調査
決算(三菱マテリアル、LIXIL)
中国7月貿易収支





■ニュース

トルコ訪露前に大規模集会
トルコ最大の都市イスタンブールでは7日、エルドアン大統領の呼び掛けにより大規模な集会が開かれ、国民からの強い支持があることを内外に示しました。そのエルドアン大統領は、9日のロシア訪問を前に、「友人ウラジミール(プーチン大統領)との会談は、両国の関係に新たな一ページを開くだろう」と語りました。強権的な支配に傾くエルドアン政権に欧米諸国が警戒を強める中、ロシアとの関係改善を目指すものと見られます。



イラン 核科学者を処刑
イランの核開発の機密情報をアメリカに提供していたとして、イラン司法府は7日、原子力科学者のシャハラム・アミリ死刑囚を処刑したと発表しました。司法府は「敵であるアメリカに情報を与えた」とコメントしています。イラン側の主張によりますとアミリ死刑囚は2009年、サウジアラビアに滞在中、アメリカの工作員によって拉致されたとされ、2010年に帰国を果たしていました。



天皇陛下 きょうお気持ち表明
生前退位の意向を示している天皇陛下が、「象徴としての務めについてのお気持ち」をきょう午後3時からビデオメッセージで表明されます。82歳の天皇陛下は、現在も多くの公務に臨まれています。その一方で、天皇陛下は「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」と考え、天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁関係者に示されていました。天皇陛下はきょう午後3時に、象徴としての務めについて、ビデオを通じてお気持ちを表明されます。映像は10分程度の見通しで、国政に関与しないという憲法で定められた立場から、「退位」に関する直接的な意向の表明はないものとみられます。天皇陛下のビデオメッセージは、東日本大震災の5日後に行われて以来2回目となります。



タイ国民投票で新憲法法案を承認
軍事政権下にあるタイで民政復帰に向けた新しい憲法の是非を問う国民投票がきのう行われました。投票は即日開票され、新憲法草案は、賛成多数で承認されました。選挙管理委員会の暫定集計によりますと、賛成が61.4%、反対が38.6%で新憲法草案が承認されました。公式結果は、10日に発表され、プミポン国王の承認を経て、成立します。しかし、新憲法の草案は、軍の影響力を強く残す内容になっていて、民主的な政権の誕生につながるかどうかは不透明な情勢です。






■日経朝特急

①企業の首都圏転入最多
地方から首都圏へ企業の転入が加速している。2015年に東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県へ本社機能を移した企業14年比13%増で過去最多となり、今年もこの傾向が続くとみられる。政府は地方創生で本社の地方移転を推進するが、東京一極集中に歯止めはかかっていない。



②政府と日銀、危うい蜜月
日銀が9月の会合で金融政策の「総括的な検証」をすると伝わると、長期金利がするすると上がり始めた。国債を買い続ける緩和策も限界かとの声も市場で漏れた。日銀は国債を市場で買っているので、政府から直接引き受けて財政資金を供給するヘリコプターマネーではないが、その違いは薄れつつあり、専門家からは「すでにヘリマネに片足を突っ込んでいる」との指摘も出ている。



③変わり種投信、個人が熱視線
日銀のマイナス金利政策で個人投資家が深刻な運用難に陥るなか、変わり種の金融商品に注目が集まっている。個人営業部門の落ち込みに危機感を抱いた証券会社などは利回りの高い金融商品を相次ぎ投入している。利回りが年4~5%程度という地震や台風といった自然災害リスクに備えた債券や、米国の地方債を組み入れた投資信託。リスクはあるものの「せめて1%」の利回りを求める個人投資家の支持を集めている。





■日刊モーサテジャーナル

①五輪開催を機に日本の女性トップに注目
五輪の次の開催地・東京の新都知事・小池百合子氏にUSAトゥデイが注目している。女性初の都知事誕生は、日本の女性にとって大きな一歩だと伝えている。記事は、日本の女性進出について分析していて、日本の都道府県知事はこれまで7人しか女性がいないことを指摘。小池氏が男女の所得格差を減らす政策を掲げていることに触れ、今回の女性と知事誕生は、男性中心の文化が根づく日本で変化が起きている証かもしれない、と期待感を示している。ただその一方で、企業トップを見ると、米国では28%が女性であるのに対し、日本ではまだ7%にすぎないとして、日本の女性進出はまだまだこれからだと苦言も呈している。



②天皇陛下のお気持ち表明、米国メディアも注目
生前退位をめぐり、天皇陛下が日本時間のきょう午後3時から、お気持ちを表明されることになっているが、それに先立ちワシントンポストが天皇陛下の写真とともに、日本の天皇制や生前退位について大きく報じている。記事は、天皇陛下が82歳とご高齢で、体調や年齢による影響が御公務にも出てきているという日本の皇室ジャーナリストの見解や、世論調査でも日本人の7割以上が生前退位ができるよう皇室制度を見直すべきと考えていることを紹介している。一方記事は、今回お気持ちを表明されることにより、安倍政権が生前退位に向けた皇室典範の見直し協議を優先することになると指摘。政権が目指す憲法改正が大幅に遅れる可能性があるため、安倍総理にとっては頭痛の種となるだろうと分析している。



③米国製薬大手、新抗がん剤の治験に失敗
米製薬大手ブリストルマイヤーズスクイブが抗がん剤オプジーボの治験に失敗したことを欧米の経済誌が伝えている。オプジーボは免疫の仕組みを使ってがんを治療する新しいタイプの抗がん剤ですが、進行した非小細胞肺がんに対する臨床試験で進行を遅らせる効果が得られなかったということで、ブリストルの株価は大きく下落した。肺がん向けの新しいタイプの抗がん剤として期待されていたオプジーボの治験失敗により、同じタイプの抗がん剤の市場規模は従来予想を大きく下回る見通しだ。フィナンシャルタイムズは、医療業界において過去最大級の驚きだとの専門家の分析を紹介している。