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モーニングサテライト・ウォッチ

2016.8.22 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年08月22日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

週末のFRB議長の講演に注目集まる
きょうの日経平均株価の終値は1万6,598円19銭で、前の週末に比べて52円37銭と小幅に値上がりしました。しかし売買代金は、取引が活発とされる2兆円を大きく下回るおよそ1兆6,000億円でした。取引が低調なかでも値上がりとなった要因は円安・ドル高です。アメリカのFRB=連邦準備制度理事会のフィッシャー副議長が21日、追加の利上げに前向きな姿勢を示したことで、利上げへの期待から円を売ってドルを買う動きが強まり、きょうの東京外国為替市場では一時1ドル=100円台後半まで円安・ドル高が進みました。今後、市場が注目しているのは今週26日にアメリカのワイオミング州、ジャクソンホールで行われるFRB・イエレン議長の講演です。為替相場にも影響を与える利上げの時期をめぐる発言が焦点で、市場では、それまではこう着状態が続くのではとの見方が強まっています。





中国 杭州でG20サミット目前 警備強化の影響広がる
中国が議長国を務めるG20サミットまであと2週間。開催地では早くも厳重な警備がしかれ、地元に影響を及ぼしています。上海から吉田記者の報告です。

《中継担当:上海支局/吉田知可記者》
G20サミットが開かれる杭州はかつて習近平国家主席がトップを務めた浙江省の省都でいわばゆかりの地、先週現地を訪れてみますと、失敗は許されないという空気感が伝わってきました。市内には武装警察が巡回し、マンホールは一つ残らず不審物のチェックを実施し、封印されています。地元の人がネットに投降した動画には、厳戒態勢の様子も映し出されている。
サミット会場の周辺は世界遺産の西湖を擁する観光名所で、地元市民にとっても憩いの場です。しかし、そこには20日以降は集団行為を禁止の看板が立ち、娯楽活動は一切できなくなります。西湖周辺では先週末から広範囲にわたって一般車両の立ち入りが禁止となり、周辺の店からは困惑の声が聞こえます。
さらに、中国人に欠かせないネット通販にも影響が出ています。危険物排除のため、7月ごろから個人からの荷受けを停止するなど扱い量が激減しています。開催にあたり現地のインフラ整備は進んだ反面、地元市民にはいいことばかりではないようです。






■特集 「Made In Japan」で4年後に挑む
4年後の東京オリンピックに「メード・イン・ジャパン」で挑もうとする製造業の動きが広がっている。リオ五輪のセーリング会場となっているグアナバラ湾に視察に訪れたのは、ヤマハ発動機のセーリングチーム。実はヤマハの手がけたヨットは、1996年のアトランタ五輪で日本代表の重選手のペアに採用されたが、直前でフィーリングが合わないと言われてしまい、重選手は外国艇で銀メダルを獲得したのだ。それ以来ヤマハのヨットはオリンピックと無縁だったが、東京五輪を機に今年、チームを再始動した。今月、静岡県のヤマハマリーナ浜名湖では新型艇の初めての水上テストも行われた。一方、東京・墨田区の町工場も東京五輪に向けて動き出していた。金属加工を得意とする浜野製作所と、流体工学を専門とする東洋大学の望月教授は、カヌー競技に使う、より抵抗の少ないカヌーを開発しようとしている。目指すは金メダルを獲得し町工場の技術を世界に示すことだ。
取材先・ヤマハ発動機・浜野製作所・東洋大学

【東京五輪へ・メイドインジャパンの挑戦】
リオデジャネイロ五輪が閉幕し、次はいよいよ東京五輪。その4年後の大舞台にメイドインジャパンで挑む事を決めたメーカーがある。リオ五輪の華やかな舞台の裏で始まっていた日本企業の知られざる戦いを追った。

【4年後は五輪へ!リベンジに燃えるヤマハ】
今月13日、ヤマハ発動機セーリングチームの首脳陣がリオ五輪のセーリング会場を訪れた。リオ五輪には出場していないため、フェンス越しに競技場内の様子を視察する。ヤマハ発動機艇体開発部・藤井茂さんが手掛けたヨットはアトランタ五輪の時に重・木下ペアが使う1艇として採用されたが直前で重由美子さんに「フィーリングが合わない」と言われ、重・木下ペアは海外艇に乗って銀メダルを獲得した。その後はチャンスはなく、ドイツのツィーゲルマイヤーやニュージーランドのマッカイといったブランドが大半を占めている。五輪とは無縁のヤマハのヨットだが、東京五輪の開催を機にチームを再始動し再び世界への挑戦を始めた。ヤマハのマリン事業は主力のモーターボートや船に外付けするエンジン「船外機」が世界でシェアを伸ばす一方、ヨットでは存在感を示せていない。静岡県にあるヤマハマリーナ浜名湖で今月、新たに試作したヨットの初の水上テストが行われた。今回の試作艇はライバルを参考に船体剛性を高めたものだ。剛性とは硬さのことで、船体が硬ければ、波の影響で変形しにくく、選手は方向転換がしやすくなる。しかし硬い素材を使うとその分、船が重くなりスピードが落ちてしまう。重さと硬さのバランスをどうするか、実際に選手が載った感覚をもとに調整を重ねる必要がある。今後ヨットの改良を重ねて、まずは来年夏の世界選手権への出場を目指す。

【4年後は五輪へ!“下町カヌー計画”始まる】
東京・墨田区の町工場が4年後に向けて動き始めていた。金属加工を得意とする浜野製作所はより抵抗の少ないカヌーを開発し東京五輪を目指そうとしている。これまでにも金属加工の技術を生かして深海探査機の開発など下町を盛り上げるプロジェクトに積極的に携わって来た。今回、地元で開催される五輪を盛り上げようと専門家とタッグを組んで新たな挑戦を始めた。4年後を目指して始まった下町カヌープロジェクトで、町工場の技術を世界にアピールする事はできるのか。






■ニュース特集

東京五輪 成功へ 日本の技術活用始まるmedal.JPG
4年後に開かれる東京五輪に向け、メダルをリサイクル金属100%で作れるかが研究されています。試算では、約1500個の金メダルに必要な金は9.6キロですが、今の小型家電リサイクル制度で回収されている分は、その10倍で、十分可能だといいます。福岡県北九州市でリサイクル事業を手がける「アステック入江」は原田氏と共に今年3月、金メダル9個を試作しました。リサイクルの金メダルはどう作ったのでしょうか?東京大学で行われたシンポジウムでは、新国立競技場の設計者の隈研吾氏が、木と炭素繊維を組み合わせることを提言しました。組み合わせることで強度が増すということで、隈氏は新国立競技場にも、この技術を使用することを示唆しました。

【東京五輪・テーマは「環境」】
リオデジャネイロ五輪は閉幕した。そして続く2020年の東京五輪を成功させるため様々な場所で日本の技術の活用が始まっている。
《相内キャスター》
リオ五輪で日本は史上最多の41個のメダルを獲得した。そのメダルには銀メダルと銅メダルで30%のリサイクル素材が使われていた(JOC調べ)。一方、東京五輪では環境面を配慮した五輪を目標としていて、全てのメダルでリサイクル素材を使う事を検討している。ロンドン五輪を元に算出すると量は金で9.6kg、銀で1210kg、銅で700kgが必要だ。これらをリサイクルだけで賄う事は可能なのか。

【リサイクルで“金メダル”を量産!?】
メダルをリサイクル金属100%で作れるかを研究する物資材料研究機構・原田幸明特命研究員は現状の日本のリサイクルシステムで全メダルを賄う事が可能と話した。既に資源循環システムが確立している日本だからこそリサイクルメダルの意義があるという。

【ゴミが金メダルに?驚きの“錬金術”】
福岡県北九州市でリサイクル事業を手掛けるアステック入江は、物資材料研究機構・原田幸明特命研究員と共にリサイクル金メダルを試作した。原料はパソコンや携帯電話などの電子基板だ。これを黒い液体で銅やニッケルなど金以外の金属を溶かしてろ過する。1回のろ過で約30gを回収でき、ロンドン五輪の金メダル5個分に相当する。メダルに必要とされる金の量は9.6kgで、デスクトップパソコンでは7万4000台、携帯電話では32万台分の基盤が必要になる。いよいよ4年後に迫った東京五輪。天然資源は乏しいが日本には都市鉱山と呼ばれる再生資源が豊富にある。高橋正幸社長はこの都市鉱山を活用し環境や資源を大切にする意識を世界に発信したいと話す。

【新国立競技場は木を活用!?】
今日、東京大学で行われたシンポジウムで、東京五輪のメイン会場・新国立競技場の設計者である東京大学・隈研吾教授は木材にカーボンファイバー(炭素繊維素材)を組み合わせる事を提言した。木材を炭素繊維で補強する事で強度が増すという。この技術を開発したのは小松精練だ。五輪に向けて様々な建築物に使用される事を期待している。設計した隈教授もメイン会場となる新国立競技場にこの技術を使用する事を示唆した。環境と1つのテーマとした東京五輪。4年後に向けた準備は動き出している。






「チケット不正転売」防ぐ技術 実用化
オリンピックで「チケットの不正転売」が大きな問題となっている。日本時間22日に閉幕したリオデジャネイロ・オリンピックでは、IOC=国際オリンピック委員会の理事が、チケットの不正転売の疑いで拘束され、2020年に開催される東京オリンピックに向けても課題となっている。そうした中、日本では不正転売を難しくする「電子チケット」が実用化されている。スマートフォンにチケットを表示し、会場で特殊な「スタンプ」を押すことで認証する仕組みだ。スタンプが押される動画が表示されるため、チケット画面をコピーして他人に転売するなどの行為ができない。そのシステムを作った会社、EMTGの冨田義博社長は「お金目的でチケットを購入する人のために、本当に行きたい人が行けなくなっている」と指摘。不正転売撲滅のためには、偽造しにくい電子チケットを普及させ、さらに「行けなくなった人が公式に転売できる“場”が必要」と語った。

【「チケット不正転売」防ぐ技術・実用化】
五輪を巡ってはチケットの不正転売が大きな問題となっている。リオ五輪ではIOC(国際オリンピック委員会)の理事が不正転売の疑いで拘束されるという事件があった。最大30倍もの価格で転売をし、上げた利益は3億円以上と言われている。2020年の東京五輪でも懸念されるチケット不正転売問題の克服に向けた新技術の実用化が始まっている。

【東京五輪の課題「不正転売」・解決のカギは電子チケット?】
千葉県柏市で行われた「かしわ街ごとキッザニア2016」では今年から電子チケットを導入した。これはスマートフォンを持つ本人にしか使えない仕組みになっていて、チケット画面をコピーして他人に転売する事は不可能だ。この電子チケットのシステムを作ったのがEMTG。既にこの電子チケットはコブクロなどの有名アーティストのライブでも使われている。このシステムを作った背景には深刻化する不正転売問題があったという。
《EMTG/冨田義博社長》
「今は人気チケットをおかね目的で先に購入して、本当に行きたい人が行けなくなっているということが起こっている。業者だけでなく、個人でも(転売が)増えたのが問題だと思います。」
人気のチケットを最初から転売目的で買い、インターネットオークションで高値で売る例が増えているというのだ。これでは一般のファンが通常価格でチケットを買うのが難しくなる。2020年に開かれる東京五輪でも不正転売によって価格が高騰する事が懸念される。不正転売をなくすには偽造されにくい電子チケット導入に加え、公式なチケットを人に譲る場が必要と冨田義博社長は指摘した。
《EMTG/冨田義博社長》
「勝った人が行けなくなった時にどう定価で譲れるとか、オフィシャルなチケットを人に譲る場が絶対に必要だと思っています。」







■ニュース

台風9号 あす朝に北海道へ上陸
関東では台風9号により、交通機関など様々なところに影響がでています。台風9号のため東京・東村山市の西武多摩湖線では土砂崩れが発生。電車が脱線し、一部の区間では現在も運転見合わせが続いています。また、JR山手線では原宿駅での倒木の影響により一時運転を見合わせた他、関東・東北の各線路で運休や遅れが相次ぎました。空の便でも、羽田空港を発着する航空機を中心に500便以上が欠航となりました。台風9号は午後11時には宮城県大崎市付近にあると見られ、暴風域を伴いながら北上しています。今後、速度を上げながら東北地方を通過し、あす朝には北海道に再上陸する見込みです。その後はオホーツク海へと進んで、あす夕方には温帯低気圧に変わる予想です。



日中韓外相会談 24日に東京で開催
岸田外務大臣は、日中韓3ヵ国の外相会談を、24日に東京で開くと正式に発表しました。会談では、北朝鮮の核実験やミサイル問題への対応や、3ヵ国首脳会談の年内実現へ向けての協議が行われます。また、岸田氏は両外相と個別の会談を予定していて、中国の王毅外相に対しては、沖縄県・尖閣諸島の周辺で続く挑発行為について直接抗議し、自制を求める考えです。



シャープ 給与カット廃止へ
経営再建中のシャープの戴正呉新社長はきょう、大阪の本社で取材に応じ、9月から一般社員の「給与削減」を実質的に廃止する方針を示しました。減額分は「手当て」で穴埋めします。歯止めがかからない「人材流出」を防ぐのが狙いです。管理職は、成果を上げた人に対し手当を支給するとしています。シャープは、去年8月から一般社員で2%、管理職で5%「給与」を減額していました。また、人員削減については、「業績の改善がなければ仕方がない」と述べました。



お盆の国際線利用 1割増加
国内の主要航空各社がきょう発表した、お盆の間の利用状況によりますと、国際線は前の年に比べて11%増えておよそ80万人、国内線も前の年に比べて4.7%増えておよそ421万人といずれも好調でした。特に国際線では、燃料サーチャージがなくなり、リゾート路線や長距離路線が伸びました。新たな休日「山の日」が設けられたことや、円高傾向などが影響しました。



7月の粗鋼生産量 4ヵ月連続↑
日本鉄鋼連盟が発表した7月の粗鋼生産量は、前年の7月より0.5%多い888万6,000トンで、4ヵ月連続で増加しました。ただ、まだ需要は弱く、鉄鋼連盟は「実質的には横ばい程度」だとしています。鉄鋼業界では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた建築需要の増大や自動車生産の回復を予想する見方が多いものの、円高の進行で輸出の先行きには不透明さが増しています。



7月のスーパー売上高 5ヵ月ぶり↑
日本チェーンストア協会がきょう発表した7月のスーパー売上高は、前の年に比べて0.2%増え、5ヵ月ぶりに前の年を上回りました。売り上げが伸びる土日が去年よりそれぞれ1日ずつ多かったことが寄与しました。全体の6割以上を占める食料品は、1.4%のプラスでしたが、住宅関連品は梅雨明けが遅かったことからエアコンなどが不振で3%のマイナスでした。



石川県の農家×和菓子屋 創作和菓子コンテスト
きょうから東京・六本木で、石川県の農家と和菓子職人のコラボレーションで行われる創作和菓子コンテストが開催されます。地元の農家と和菓子職人がペアを組み、和菓子に使う原材料の生産から商品の開発、販売まですべて自分たちで行う『農菓プロジェクト』の一環として開かれるこのコンテスト。砂糖を一切使わず米こうじの甘さだけで作った生キャラメルや、ほかにも加賀野菜など石川県ならではの食材を使用した和菓子の試食サイズ13個を一箱1,080円で販売します。商品には応募用紙が同封されていて、味や、見た目、価格の3点から購入客がランキングし、上位の入賞商品はホームページなどで発表されます。





■【トレたま】光でお絵かき

「wordee」はマウスのように動かすと後が残り光る。本体裏面についている紫外線LEDの光で専用シートが反応。軌跡が浮かび上がる。ひらがな、カタカタ、漢字、英語で表示させることができる。海外でも広く販売する考えで今後は中国語やスペイン語の言語を追加予定。
《JellyWare/崔煕元社長》
「文字を出すことで自然と興味を持ってもらう。知育的な効果も狙って開発した。」

【商品名】wordee
【商品の特徴】LEDの光で蓄光シートに絵や文字を描けるおもちゃ。スマホと連動させて文字の学習もできる。
【企業名】JellyWare
【住所】東京都新宿区新宿7丁目26-7ビクセル新宿1F
【価格】8,000円前後(予定)
【発売日】12月発売予定(日本、米国、韓国)
【トレたまキャスター】北村まあさ




■【コメンテーター】熊谷亮丸氏(大和総研執行役員経済分析室長チーフエコノミスト)

・東京オリンピック、環境に配慮・日本らしさの発信を
--もう次の東京オリンピックを目指して、日本中いろんなところでいろんな動きが始まっていましたけれども、やはり問題になるのはオリンピックという絶好の機会をどう持続的な成長につなげていくかですよね。

「箱モノで一時的に成長するのではなくて、持続的に、例えば環境の問題、バリアフリーの問題、その辺りに取り組むことは非常にポイントですね。」

--ただ持続的な成長という面では、オリンピックはどうなのかというと、こちらをご覧ください。
(フリップ:オリンピック後の成長)

「一般に言われるのはオリンピックを開くと、翌年の成長率は落ちるというふうに言われているんですね。左側の数字がオリンピック時の成長率で、右側が翌年の成長率です。88年のソウル以降で見ると、2勝5敗なんですね。ただ上がったところを見ると、アメリカとイギリスですから、言ってみれば先進国、G7諸国についてはむしろ成長率が上がるという傾向もあるんです。見習うべきはイギリスのケースで、世界都市ランキングというのがあって、イギリスはずっとニューヨークの後塵を拝していたわけですが、オリンピックに向けて都市を整備をして、そこで一気に抜いて今はずっと1位です。例えばオリンピックの期間中に63か国のビジネスリーダーを呼んで、グローバルビジネスサミットというのを開いて、これは非常に好評だったんですよね。」

--そういうことを日本も続けていけば何らかの成長に・・・

「発展途上国型の箱モノでやるのではなくて、やはり先進国らしいレガシーを残すそういうオリンピックにしないといけないと思います。」

--そうするといかに膨らんだオリンピック関連施設の建設費を減らしていくか、ここも・・・

「減築という考え方がありますが、これはやはり競技の後の観客数などを減らしたりして、会場を小さくする、こういう考え方が重要ですね。」





・中国G20サミット
--中国ではすでに厳戒態勢になっているようですが、このG20で一番のテーマとなるのは何ですか。

「これは何点かあって、やっぱり大きいのは為替の切り下げ競争、これをやめようと確認することが1つのポイント。もう1つはいま世界経済が低迷していますから、これに対してカンフル剤というよりは、構造改革でどうやって立ち向かっていくか、こういう文脈の下でおそらく中国の過剰設備問題というのもかなり論点になるんじゃないかと思います。」

--開催地ですが、通貨の問題もそうですし、過剰設備の問題もそうですし、いろいろと詰められることが中国は多そうですね。

「メンツは保たないといけないですけど、相当責められる部分はあると思いますね。」



・アメリカの利上げは早くて12月!?、海外経済にリスク残る

--そして日本のマーケットも今日は膠着状態だったようですが、ジャクソンホールでFRBのイエレン議長が何を話すか、利上げの時期については皆さん気になりますよね。

「利上げの時期に言及するかどうかというのは最大のポイントですね。私はおそらくそこには言及しないんじゃないかと思っています。理由はいくつかあって、1つはまず、世界経済の状況について、イエレン議長が相当慎重に見ているんで、年末ぐらいまで見極めたいと思っている。」

--いま9月というような声も出てきていますが、そうはならないですか。

「ええ、もう1つはアメリカで大統領選挙がありますから、その前に利上げをして、そのことでドルが高くなって、トランプ氏を刺激するのは避けたいというのが、やはり心のどこかにあると思うんですね。だから結論としては12月以降にずれ込むだろうと考えています。」

--アメリカの実体経済はもう利上げに耐えうる状況になっていますか。

「フィッシャー副議長はそういう状況だと、そういう言い方をしていますから、利上げをしてもおかしくない状況ではあるわけですけれども、ただ他方でこのフィッシャー副議長が言っているのは、労働生産性の伸び悩みの問題ですね。これは金融政策では対応できないわけですから、構造改革、規制緩和、財政政策、こういうところで対応するということですので、その意味では実体経済から見れば、ゆっくりだけれども徐々に利上げをしていくという状況だと思います。」

--あとはイエレンさんが懸念している海外リスクはどんなものがあるんでしょうか。

「これはもういろんな問題が山積していて、中国のバブルの崩壊の問題ですとか、ヨーロッパの金融システム、不良債権処理の問題、それから中東の地政学的なリスク、またロシアの問題、かなりいろんなところに地雷が埋まっているような状況ですね。」







・消費者の節約志向根強く
--7月のスーパー売上高は5ヶ月ぶりに前に年を上回ったと聞いて、よしと思ったら、土日が去年より1日ずつ多いというのが実情で、どうも消費が本格的に回復してきたわけではなさそうだということなんですが、そんななか、人々の節約志向が一目で分かるグラフがあるんですよね。それがこちらです。

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(フリップ:食料価格の推移:消費者物価・購入単価のグラフ)
赤いグラフは、食料品の消費者物価の動きを示していて、青いグラフが購入単価ということなんですが、この2つがなぜ開いて行っているかというと、購入単価というのは今まで高い牛肉を買っていた人たちが、もう高い肉をやめて安い鶏肉や豚肉を買うと青いほうの購入単価というのは下がるわけですね。ところが赤いほうは牛肉同士で比べていますから、そういう家計の節約志向というのは、赤いグラフには反映していないわけです。

--2つが開いてきているということは、つまり買うものが変わってきていると・・・

「どんどん安いものを買って、節約志向で、やはり将来不安などがあって家計が防衛しようという方向に来ているという状態ですね。」

--これは解決には時間がかかりますか。

「いま経済対策を打たれていますが、抜本的には社会保障制度の抜本改革で将来不安を無くしていく。もしくは労働生産性を上げるとか、かなり中長期な構造的な取り組みが必要になると思います。」







2016.8.22 Newsモーニングサテライト

2016年08月22日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

26日のイエレン氏発言に注目
19日のNY株式相場の主要指数はそろって下落しました。原油価格が7日続伸と安心材料があった一方で、利上げの先行きが気になって買いもなかなか伸びず、引けにかけては膠着(こうちゃく)感が強まりました。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が「利上げは遅いより早い方がいい」と発言し市場に影響を与えました。アメリカの金利が上昇し、またドルも強含みました。先週は多くの連銀高官から、利上げに前向きな発言が飛び出し5月の雇用統計前をほうふつとさせていただけに、26日のイエレン議長の発言にますます注目が集まりそうです。では19日の株価の終値はそろって反落しました。ダウは45ドル安の1万8,552ドル。ナスダックが1ポイント下落の5,238。S&P500が3ポイントマイナスの2,183でした。
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月曜恒例、アメリカの専門家インタビューです。今週最大の注目はカンザスシティー連銀が毎年開催する「ジャクソンホール経済シンポジウムでのFRBのイエレン議長の講演です。エコノミストは利上げの時期について言及しないだろうと見ています。

《ジェフリーズ/ワード・マッカーシー氏》
「イエレン議長は次の利上げの時期について、言及しないと見ている。講演ではサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が15日に公表した論文の内容に似たコメントをするだろう。『 低成長・低金利・低インフレが続く環境で、金融政策の枠組の見直しを検討すべき 』とし、『 成長拡大のため、政府が財政出動を強化する必要がある 』という内容になるだろう。」


マッカーシー氏が予想する利上げの時期は「今年あるとしたら12月に1回」としています。

「今年利上げはあるとしたら12月でそれより前はないと見ている。FRBは雇用市場の改善を再確認したいほか、イギリスのEU離脱決定の影響も見届けたい。EU離脱の影響が実際に世界やアメリカの経済にどのような影響を及ぼすのか、見極めるには時間がかかる。FRBはそれを待っているのだろう。」





【為替見通し】注目ポイントは「イベント前のポジション動向」
解説は三菱UFJ信託銀行NYの小林浩一氏

--まずは週末の相場を振り返っていかがだったでしょうか。
週末の海外時間では特段の材料はなく、ドル円は100円台前半での揉み合いとなりましたが、今朝がたは100円台後半とやや円安で推移しています。

--今日の予想レンジは、100.20円 - 101.40円です。
足下では主要通貨に対するドル安が続いています。大きな流れで見た場合のドル円の上値は引き続き重そうですが、短期的には戻りを試す可能性はあると見ています。

--注目ポイントは「イベント前のポジション動向」です。kw1.JPG
今週26日に予定されているジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演では早期利上げに関するヒントは得られないとの見方がメインシナリオだと考えております。

--つまりドル安継続という流れですね。
そうなりますね。しかし先週のダドリーNY連銀総裁のタカ派な発言について、7月FOMC以降に発表された数字を把握した上で利上げを肯定したという点を重視する向きもあり、リスクシナリオに備える動きもある程度予想しています。

(フリップ1:ドル安進む)
米ドルの名目実効為替レートでは、足下1ヶ月で3.5%近いドル安が進んでいますが、直近1年の動きを見ても一旦の戻りが入りやすkw2.JPGい水準にあると見ています。

(フリップ2:円買い積み上がる)
まだ円のポジション面では8月19日付のIMMポジションを見ますと、先週もまた円買いが積み上がっており、2013年の量的緩和開始以降の局面の中では、高い水準に到達しています。ドル・円ともやや偏った状態が修正される形で、ドル円相場も短期的な反発につながりやすいと見ています。0 為替.jpg





















【日本株見通し】注目ポイントは「要人発言」
解説はニッセイ基礎研究所の井出真吾氏

--今日の予想レンジは、日経平均16350~16600円です。
アメリカの下落を受けて今日は小幅な反落で始まりそうですね。日中は日銀のETF買いによる下支えも期待されますけれども、為替次第ではやや荒っぽい値動きも想定されます。ここのところ株価の高止まりが続いていて、困っていた売り方の仕掛け的な売りも出やすくなってきそうですね。nk1.JPG

--注目ポイントは「要人発言」です。

(フリップ1:今週の重要スケジュール)
そうですね。黒田さんの発言もあるんですけど、イエレン議長の講演も控えて、イベントを控えて久しぶりに神経質になりそうだと思っています。なかでも注目はイエレンさんなんですけれども、利上げに慎重な見方を示した場合は、市場が年内利上げはないかも、と受け止めて円高株安が進むと見ています。

(フリップ2:100円割れ定着16000円割れも)nk2.JPG
その場合は1ドル100円割れが定着して、日経平均も節目の16000円を割る可能性があると見ています。

--井出さんはイエレンさんのスタンスをどう見ていますか。
私は慎重な見方をするんじゃないかと思います。ですから円高株安にもう少し進むんじゃないかと見ています。

--今週は後半に日本も物価指標があって、本当は週後半から神経質になりそうですね。
そうですね。特にイエレンさんの講演は日本の取引が終了した後ですので、来週月曜日の寄り付きで大きく動く可能性もあるんですね。ですから時既に遅しとならないように、為替の影響を受けやすい外需株を中心に、今週中に持ち高をよく確認しておきたいと思います。




■【エマトピ】フィットネス市場に注目(上海)ema1.JPG
中国・上海から生電話。9月上旬に開催されるG20首脳会合を前に開催地となる杭州の雰囲気、そしてG20の注目店を解説します。また中国が取り組む内需拡大で期待されるフィットネス市場の広がりについても分析。日本企業にもビジネスチャンスがありそうです。解説は岡三証券上海駐在員事務所の濱崎義徳氏。


--先月、上海近郊のの杭州に出張されたそうですが、来月のG20首脳会合を控えて、現地の様子はいかがでしょうか。

治安やテロ対策強化のため、警官などが市内に多く見られました。先月も出張先のホテルの部屋で突然、公安から氏名確認やパスポートの提示を求められました。5年弱中国に駐在して初めての経験です。また大気汚染の改善に向けて市内の交通量を減らしたり、早くも多くの工場が稼働停止になっています。その恩恵は上海まで届いていて、最近の空は東京並みに澄んでいます。

--さて今回のG20はどういったことがテーマのメインになりそうですか。
構造改革・世界経済能勢町維持といった経済の話が中心になりそうです。ホスト国の中国は過剰設備削減や内需の拡大など、改革の成果をアピールする見通しです。

--その内需の掘り起こしについては、期待できる市場があるみたいですね。
はい、それは若者の需要を呼び込むフィットネス市場です。大学生およそ2000人を対象にしたある調査によりますと、恋人を選ぶときに何を重視するかを聞いたところ、確かに外見は大事ですが、その中でも特にプロポーションが重視されることが分かりました。自己管理や鍛錬といった内面を表す肉体の美しさが評価の対象になっているようで、若者が感じる魅力の変化がフィットネス人気を高めています。また今日閉幕するオリンピックも人気を後押ししているようです。

--それでそのフィットネス市場は具体的のどの程度の拡大が見込まれているんですか。

フィットネス市場は年平均27%成長となっていて、2025年には7500億元(約11兆円)規模まで拡大すると見込まれています。最近では高額なフィットネスジムの代わりに、食べたものや運動を記録するアプリを使っての自主トレも若者の間で人気です。15ヶ月でユーザー数3000万人を突破したアプリ「KEEP」は、トレーニング結果を友人とシェアできるSNSの機能を付けて若者の人気を集めています。5月には投資会社から3200万ドルの出資金を調達しました。

--日本企業にもそうした中国の若者のフィットネス熱を取り込むチャンスというのはあるんでしょうか。
いま中国全土でランニングが大流行していますが、先月7月中旬には上海でスポーツブランドが並ぶ通りにアシックスの旗艦店がオープンし、ランニングシューズの衝撃吸収性が高く評価されています。フィットネスでは欠かせないウェア関連でも透湿性が高く高機能衣類の素材メーカーとして知られる東レや旭化成などにも注目が集まると考えています。





■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(期間:8月19日~21日、番組出演者23人にアンケート調査)
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・今週末の日経平均予想
予想中央値(16200円)先週終値(16545円)
岩井コスモ証券/林卓郎氏(16800円)
「円高圧力の軽減とともに、出遅れの割安修正が入るものの、イエレン氏の発言待ちで、上げは限定的」
マネックス証券/広木隆氏(16200円)
「ポジション調整の売りに買いは入らず、週のどこかで下値を探る展開もありえる」

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・今週末のドル円相場予想
予想中央値(100.00円)先週終値(100.20円)
三菱UFJモルガンスタンレー証券/植野大作氏(101円)
「アメリカの金融政策に対する市場の読みが錯綜し、当面は下値の堅さと上値の重さが共存、明確な方向感が出難い」
シティグループ証券/高島修氏(99.50)
「需給環境の悪さと為替介入の警戒感が拮抗する」


・米国利上げ時期予想
9月(21%)12月(71%)17年7月以降(8%)

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・3ヶ月先の景気を占うモーサテ景気先行指数 8.3(低下)










■特集 物価にも地域間格差
全国消費者物価指数が連続してマイナスとなるなか、スーパーなどの販売記録から割り出す日経CPINowが先週、1年4ヶ月ぶりにマイナスに転じた。再びデフレに戻ってしまうかどうかの瀬戸際で大事な局面だ。日経CPINowでは先月から「地域別」というものを公表しているが、物価でも地域間の格差が鮮明になってきた。その背景は何なのか、政府・日銀に打つ手はあるのか。
解説は東京大学大学院の渡辺努教授。
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--全国の消費者物価指数が6月まで3ヶ月連続マイナスだったんですよね。ちょっとこちらを見てください。
(フリップ1:身近な食品物価マイナスに)
日経CPIナウが8月16日にマイナスに落ち込みました。なぜですか。

「去年の春ぐらいからゼロを超えてきたわけでして、結構、夏~秋ぐらいにかけては調子が良かったんですけども、年末ぐらいからどんどん下がってきて、それが年明けさらに下がって、先週からマイナスに入っていったというわけです。」

--これは身近な食品なんですね。

「スーパーで売っているようなものですので、基本的には例えば下がっているのは何かというと、プリンとかカップ入りスープ、菓子パンなどそういうものが値下がりが目立つわけなんですけれども、そういう本当に身近なもので物価が下がってきているということですね。」

--ポイントはこのまま下がり続けるのかどうかですけれどもね。

「デフレに戻ってしまうのかどうかというのが非常に懸念されますが、どんどん下がるという感じではきっとないと思うんですが、しかし若干のマイナスという状況が続くのではないかと私たちは思っています。」

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--それで今日のテーマ「物価にも地域間格差」ということで、この数字を地域ごとに分解してみます。9地区+全国のグラフです。特徴的なのは北海道(オレンジ色)の落ち込みが目立ちます。
(フリップ2:地域別日経CPINow)

「私たちもこういうのを作る前までは、日本は狭いので、そんなに物価に差があるなんていうふうには実は思っていなかったんですね。しかし実際に計算してみると、大きな帯としては1%ぐらい各地域の差があるというわけですね。年末ぐらいからどこの地域でも物価上昇率が下がってきているんですけれども、とりわけ北海道はそれが顕著でして、もう既に5月ぐらいからはマイナスの圏内に入ってきてしまっている、デフレになってしまっている、ということを言っているわけですね。」

--これはご自身もびっくりしたそうですね。なんで北海道がマイナスに入ってしまっているんですか。

「基本的には全国全てでそうなんですが、消費が弱いということがあるわけです。その消費の弱さの背景を探っていくと、やっぱり賃金がどうも伸びていないというところが大きいわけですけれども、もしかしたら北海道はそういう賃金の伸びがほかの地域に比べても振るわなくて、それが消費を押さえていて、物価をマイナスに早めに落としているということがあるのかもしれません。」

--さっき全体がマイナス0.01、つまり北海道が大きく寄与してしまったということが言えると思うんですが、ただこれは例えば日銀や政府が頑張っている目標に近づけるために、何か使えそうなデータですよね。

「そうですね。いろんなタイプのデータをきめ細かく見ることによって、何が起こっているのかということを把握することは非常に大事でしょうから、そういうものの一助になるんだろうと思いますね。」

--アベノミクスに批判があるとすると、各種の格差というのはやっぱり批判の対象になっているわけですよね。

「そうですね。よく言われるのは正規・非正規の格差がいわれますけど、もう一つは地域間格差も非常に大きい。東京を中心としたところは結構潤っているけれども、それ以外のところはそうでもないと言われているわけです。物価でも地域間の格差が出ているということだと思うんですね。」

--いま日本では各自治体が独自にこういうことを解決するために、策を取っているんですか。

「現状はこういう地域間の格差がどれぐらい大きいかというようなことを、モニターするような仕組みを整えているという段階です。地方創生というものが大きな政策の柱ですので、その一環としてデータベースを整理して、地方でも何が起きているかをリアルタイムで把握するというようなことが政府レベルでも行われているわけですけれども、しかしそれをベースにして政策をきめ細かく地域ごとに行えるというところまではまだ行っていないと思いますね。」

--まずは国が音頭を取るべきということなんでしょうか。

「そうですね。例えば今後どうなるかよく分かりませんけれども、物価上昇率がどんどん下がっていく、あるいはその差がどんどん拡大していくというようなことになった場合には、賃金の上昇率をもう少し上げていく必要があると思っているんですけれども、その場合でも地域間で差をつけながら、そういうことを行っていく。例えば最低賃金というのは都道府県単位で決めることができますので、そうすると振るわない地域の最低賃金は少し余分に上げるとか、そういうメリハリを利かせるような政策というのも今後あり得ると思います。」

--先ほども申しあげました、目標を達成するために、分析のツールというのをもっと精度を高めていくというのは、いま始まっているんですか、どういうタイミングなんですか。

「ちょっと残念なんですけど、あまり日本の政策というのはそういうエビデンスやデータをベースにした政策になっていなかったわけです。それを直そうとしているわけでして、経産省などを中心にデータベースを整備するということが今年ぐらいから始まっているわけです。」

--今これは物価の話ですけど、日本の金融政策にも易経してきますよね。総括が出ますね。こういうことは利用されてくるべきなんですか。

「私は結構今回の結果でびっくりしたというのは、さっき言ったように(地域間の)差が大きいということですので、仮に今後物価がちょっと上がってきて2%に近づいて行った時にも、もしかしたら地域間の格差がかなり大きくて、大阪のほうは非常に高いんだけれども、北海道はマイナスということはあり得ると思うんですよね。その時にじゃあ全国平均で2%で金融緩和はいいやとできるのかどうか、というのは非常に大きな論点だと思います。」

--日本全体はいいけれども、細かく見たときにダメなところがあったら、緩和をやめないという選択肢もあるということですか。

「そういうことですね。」

--なるほど、となるといま行き詰まり感がありますが、まだまだ今後もやり余地はありそうですね。

「まあやらなきゃいけないことはたくさんあると言ったほうが正確かもしれません。」





■新たな金融サービス「フィンテック」
アメリカの金融関係者や投資家の注目を集める「フィンテック」。「ファイナンス」と「テクノロジー」を組み合わせた造語で、金融とITを結び付けた、新たな金融サービスのことだ。スマートフォン1台でクレジットカードの決済や送金手続き、さらには融資を受けることも可能。最近では人工知能を使って投資のアドバイスまで受けられ、その便利さと低コストが人気となり、急速に普及している。既存の金融機関は、フィンテックに市場を奪われかねないと、提携先のベンチャー企業を求める動きが活発だ。その便利さとはどういうものなのか?ニューヨークから最新情報をリポートする。



急拡大するフィンテックブーム
ニューヨークでは熾烈なフィンテック競争。しかし日本企業はなかなか参加できていない。7月に行われたフィンテックベンチャー企業への投資イベント「スタートアップブートキャンプ」には400人以上が参加している。

フィンテックとはファイナンスとテクノロジーを組み合わせた造語で、金融とITを結び付けた新たな金融サービスのことだ。フィンテックを使えば、例えばスマホ1台でクレジットカード決済、送金の手続き、さらに融資を受けることも可能だ。最近では人工知能を使って投資のアドバイスまで受けられ、その便利さと低コストが人気となり、急速に普及している。さらに資産管理やセキュリティーにも有効である。

例えば米国ではフィンテック利用者がこの1年で16.5%(15年度)から倍増する見込みだ。既存の金融機関は市場を奪われかねないと、この日も提携先を求めて詰め掛けていた。
《スペイン最大の商業銀行/サンタンデール銀行》
「どんな大手銀行もこうしたベンチャー企業から学ばねばならない。この分野への投資こそがビジネスを加速させるカギだ。」
《オランダの農業系金融大手/ラボバンク北米CEO》
「我々のような金融機関の生き残るには技術革新が必要なんだ。」

フィンテック側も世界各地から参加している。沸騰しているフィンテックだが、実際街で聞いてみると、多くの人が使っていた。ベンモ(支払いに使うアプリ)やペイパル(支払い用)、TDアメリトレード(投資用アプリ)、ベターメント(投資用アプリ)など、使われているフィンテックは実に様々だ。

現在、フィンテック企業は分かっているだけでも世界で1700社以上あるという。その中の一つで若者の利用者が多いという「ペイブ」を訪ねた。個人向け融資をするペイブを創業したのは元ゴールドマンサックスのオーレン・バスCEO。金融大手のビジネスに見切りをつけ、4年前に起業した。ヘッジファンドや銀行からの資金が元手だ。融資額は1人30~250万円ほどだが、既に融資総額は12億円以上を扱うまでになっている。実際に試してみると、5000ドル(50万円)の融資があっという間に許可された。このスピードが売りだ。
《ベイブ/オーレン・バスCEO》
「多くの銀行が『ペイブのような融資の仕組みをつくりたい』とやってくる。ペイブが優れているのは銀行システムにそのまま組み込める点だ。」

15年の世界のフィンテック・ベンチャーへの投資額をみると、米国が7450億円と圧倒的だ。一方、日本はわずか60億円、完全に立ち遅れてしまっている。
アメリカ(7450億円)中国(1880億円)イギリス(901億円)ドイツ(825億円)インド(411億円)カナダ(117億円)オーストラリア(111億円)ブラジル(77億円)シンガポール(64億円)日本(60億円)

最近、JPモルガンチェースがフィンテックベンチャーを呼び込む新プロジェクトを発表した。技術開発に毎年9000億円以上をつぎ込んでいるJPモルガンだが、フィンテック企業に社内に常駐してもらい、開発を加速させるというのだ。
《JPモルガン・チェース/最高総務責任者サノク・ヴィスワナサン氏》
「我々の技術者やトレーダーと一緒に働いて開発してもらう。競争で優位に立つことが重要です。常に最先端を目指さねばならない。」

世界の金融機関がフィンテックへの投資を積極的に進める一方で、日本のフィンテックが出遅れている背景には、厳しい金融規制があるほかに、日本では銀行を使った送金や決済システムが発達していることや、現金を使う人が多いという独特の事情もあるようだ。ただ日本の金融機関にとってもより便利で安全なフィンテックのサービスを実現できるのかが、今後の成長のカギとなりそうだ。





■日経朝特急

① ルネサス、米国半導体買収へ
ルネサスエレクトロニクスが米国・インターシルを買収する方向で最終交渉に入った。買収額は最大で3000億円規模で、早ければ月内にも基本合意する。省電力半導体に強みを持つインターシルを傘下に収め、自動運転などで広がる車載用半導体市場で先行する狙いだ。



② 三菱UFJと日立、アジアで
三菱東京UFJ銀行と日立製作所は、近くシンガポールでフィンテックを活用した金融システムの共同開発に乗り出す。2018年にもブロックチェーンと呼ばれる仮想通貨技術で電子小切手を決済できるようにする計画で、きょうにも本格的な実証実験に入る。日本の銀行はフィンテックで米国やヨーロッパに出遅れ気味とされているが、地理的に強いアジアで金融インフラ輸出の攻勢をかける。




③ 日本の医療費、世界でも高額
OECDがまとめた2015年のGDP比の保健医療支出の推計値では、日本が順位を一気に上げて米国、スイスに次ぐ3位。GDP比では11.2%、約56兆円に上る。OECDが求める再診基準に合わせて認知症向けの生活介護など、介護関係の費用の一部が今回から新たに導入されたことなどが要因だ。




④ 総労働供給2%増加
内閣府は、日本のすべての労働者が働く時間を足し合わせた「総労働供給」を2%増やせるとの試算をまとめた。高齢者や女性の労働参加を高めることが人手不足の解消策の一つになるとみていて、家で仕事ができるテレワークなどの導入や、定年制度など、日本の慣行の見直しが課題となりそうだ。




■日刊モーサテジャーナル

① トランプ王国は借金だらけ?
米国大統領選で支持率が低迷する共和党のトランプ候補にまた痛手となる事実が明らかとなった。ニューヨークタイムズが独自調査に基づき、「実はトランプ王国は借金だらけで、さらに企業との不透明なつながりもある」と大きく報道した。トランプ候補は誰にも借りはないとする主張が崩れることになると伝えている。「トランプ候補は不動産業で少なくとも約650億円の負債があり、これは公表されている額の2倍に上る」と指摘。さらに借入先には敵とみなす中国の銀行などが含まれているという。
一方、週刊投資新聞バロンズは「トランプ候補の勝利はブラックスワン、つまり大統領選でトランプ氏の勝利は一見なさそうだが、起きた場合は大きなリスクになると警鐘を鳴らしている。また記事は、8月後半以降に発表される世論調査のほうが歴史的に大統領選の予測の的中率が高い」という専門家の声も掲載している。




② ジャクソンホールで9月利上げのヒントも?(フィナンシャルタイムズ)
市場ではアメリカの利上げは12月まで無いという見方が多いが、記事は、ジャクソンホール経済シンポジウムでは、9月利上げのヒントが得られるかもしれないと伝えている。記事は、前回のFOMCでは利上げをめぐり意見が割れたが、この会合は雇用者数が大幅に増えた7月の雇用統計前に開催されたという投資家の声を掲載し、このままマイナス要因がなければ9月利上げもあるとみている。記事はイエレン議長がジャクソンホールで9月利上げのヒントを出すことで、市場に準備を促すこともあるのでは、と警戒している。




③ NYのタクシー運転手、英語ダメでもOKに(ニューヨークタイムズ)
先週からニューヨーク市では、道の名前など基本的な知識以外でタクシードライバーになるために必要だった英語力の試験をなくした、と伝えている。ニューヨーク市はタクシー免許の試験をスペイン語など複数言語で受検を可能にすることで、移民がドライバーの仕事を見つけやすくすることが狙いとしている。一方で、記事は今回の背景として、英語での会話が必要ない配車サービス大手ウーバーなどに雇用が流出しているから、という見方を掲載している。





■ニュース

FRB副議長「目標に近い」
FRB=連邦準備制度理事会のフィッシャー副議長は21日、コロラド州で講演し、雇用と物価の両面で「我々は目標に近い」として追加の利上げに前向きな姿勢を示しました。フィッシャー氏は、過去2年の世界的なリスクにも関わらずアメリカの雇用には「明らかに勢いがある」と指摘、物価についても一部の指標は「目標の2%に届く距離にある」と強調しました。



イラク 原油輸出5%増へ
OPEC=石油輸出国機構で第2位の生産量を誇るイラクが原油の輸出をおよそ5%増やすことが分かりました。イラク北部にある最大の油田地域キルクークの石油エネルギー委員会のメンバーによりますと、日量15万バレル程度、この地域からの輸出を増やすということです。イラクは輸出の拡大に積極的な姿勢を示していて原油価格の下押し圧力になるとみられます。



リオ五輪 きょう閉会式
リオデジャネイロオリンピックはきょう閉会式を迎えます。ブラジルを訪れている安倍総理大臣は、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長と会談しました。安倍総理とバッハ会長はおよそ30分会談し、4年後に控える東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、緊密に連携していくことを確認しました。これに先立って安倍総理は総勢30名ほどの日本選手団と交流し、一人一人と握手しながらねぎらいの言葉をかけました。オリンピックの閉会式は、日本時間の午前8時から始まり、東京都の小池知事がリオデジャネイロ市長から五輪旗を引き継ぎます。

金メダル 12
銀メダル  8
銅メダル 21  合計 41(史上最多)





プールで女性8人切られ軽傷
きのう午後、東京・あきる野市の「東京サマーランド」で、波の出るプールで遊んでいた18歳から24歳の女性8人が尻などを刃物のようなもので切られ、軽傷を負う事件がありました。警視庁は傷害事件として防犯カメラの映像から不審な人物の割り出しを急いでいます。



両陛下「思い出のコート」訪問
長野県軽井沢町で静養中の天皇・皇后両陛下は、結婚前に出会いの場となった「思い出のテニスコート」を訪問されました。両陛下は、詰めかけた観光客に笑顔で手を振り、応えられ、コート脇で順番を待つテニスプレーヤーなどに「良いお天気ですが、暑いでしょう」と声を掛けて回られました。両陛下はテニスはせずに15分ほど滞在し、ベンチに座ってほほ笑みながらコートを見つめられていました。




■今週の予定

22日(月)7月全国スーパー売上高
23日(火)日銀黒田総裁あいさつ、ユーロ圏8月PMI、米7月新築住宅販売件数
24日(水)米7月中古住宅販売件数
25日(木)米ジャクソンホール経済シンポジウム(~27日)、米7月耐久財受注
26日(金)7月消費者物価指数、米4-6月期GDP(改定値)、米FRBイエレン議長講演(ジャクソンホール)




■今日の予定

7月粗鋼生産
7月全国スーパー売上高
7月主要コンビニ売上高




■【コメンテーター】東京大学大学院の渡辺努教授

・米上げめぐる発言、真意をどう読むか

--ちょっとアメリカでは利上げキャンペーンみたいなことがおこなわれていませんか。

「そうですね。短期的にはおそらく利上げを皆さんに臭わすようなことを意図的にやっているんでしょうけれど、私がちょっと関心を持っているのは、先ほどちょっと出ていましたけれども、ジョン・ウィリアムズというサンフランシスコ連銀の総裁が先週スピーチをしたわけですけれども、その中で言っていたことというのが、FEDも新しい基準、フレームワークをつくらないといけないという話をしている。どういうことかというと、自然利子率というか、均衡の利子率がどうも下がってきているんじゃないか、これが一時的ではなくて、しばらく下がったままが続くんじゃないか、そうなるとそれが金融政策の足かせになるというわけです。結果的に彼がどういうことを主張しようとしているかというと、インフレのターゲットの水準をもっと高くしたほうがいいんじゃないか、あるいは財政の役割みたいなものをもっと強調したほうがいいんじゃないか、こういうふうに話が持っていかれているわけです。」

--日本も総括がありますが、日米ともに新しい基準作りみたいなものを進めているということですか。

「そうですね。」






・日経朝特急/総労働供給2%増加、高齢者・女性の参加で

--労働者の構成ということですが、どういう風にとらえたらいいんですか。

「基本的にいい方向だと思うが、ただ最近、私が聞いたアメリカの研究者の研究なんですけれども、そういう企業がイノベーションを起こして発展していくのかというのを調べると、やっぱり若い企業、それからそこで働いている人たちも若い人たちで、人の構成というのが非常に大事なんだそうです。そういう意味ではあまり年配の人たちばかりの企業が日本で増えてしまうと、イノベーションという点ではもしかしたら少しマイナスの点があるのかもしれないですね。」






・今日の経済視点 「政府統計の刷新」

--先ほどの話だと始まりつつあるということでしたね。」

「そうですね。現状、総務省の高市大臣とそれから行政改革担当の山本幸三大臣というのが、二人おりまして、このお二方がまずいところがあるので、政府統計を直していこうということで、かなり強烈なイニシアチブを発揮されたんですね。

--まずいところがあるんですねー!

「理由としてはアベノミクスをこれだけやってきました。そこそこの数字は出てきていますけれども、やっぱり不十分だ、これは数字が間違っているんじゃないかという政治かなりの判断だと思う。もうちょっと深いところを言いますと、デフレなのかインフレなのかよく分からないという非常に微妙なところなので、精度が必要になってきているというのはあると思いますね。なのでおそらく今年中にはいろんな形で、政府の統計の変化というのは出てくると思いますので、何が起きているかということについてもう少し世の中が見やすくなるんじゃないかと思います。」