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2016.8.18 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年08月18日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

「爆買い」で明暗
先月の訪日外国人数はおよそ230万人で月間の過去最多を更新しましたが、爆買の恩恵を受けている企業ではある変化がおきているようです。免税店を展開するラオックスは今年1月から6月期の最終損益が赤字に転落しています。また、中古品販売のコメ兵も今年4月から9月期の最終損益は従来の黒字予想から赤字に転落する見通しに修正しています。業績が悪化している背景にあるのは、爆買いの売れ筋の変化です。宝飾品や炊飯器などから医薬品や化粧品といった低価格帯に移り、客単価が低下しているのです。一方で、売れ筋の変化に合わせた商品の販売により訪日客を取り込むことに成功したディスカウントストア大手のドンキホーテHDは大幅な増収増益を発表しました。今後も心配される円高について、ドンキホーテHDの大原社長は「当社の品ぞろえの70%以上は輸入品であり、円高は非常に大きなメリットだと考えている」と話しました。





“サウジリスク”に警戒感

《中継:ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC/ニューヨーク/堀古英司氏》

--自国からの輸出品を安くする効果がある通貨の切り下げ、これに近く踏み切られるのではないかとみられる国があります。ニューヨークから堀古さんに伝えてもらいます。

「その国は2003年から対ドルで固定相場制を採用しているサウジアラビアです。原油価格の低迷で財政が悪化し、現在の為替水準を維持するのが難しくなっています。サウジアラビア政府は固定相場制を維持するために、自国通貨のリヤルを買う、介入を続けていると見られますが、そのために必要な外貨準備はここ2年で急速に減っています。また、政府関連の雇用を維持するためには原油1バレルあたり100ドル近く必要ですが、現在は50ドル以下で大きな赤字です。またリヤルの短期金利は昨日、最高水準をつけており、現在の固定相場を長く維持するのは困難な状況と見られます。」

--この通貨リアルが切り下げられると、日本や世界経済にはどんな影響が考えられますか。

「サウジアラビアの困難な状況が世界に輸出されてしまうことになります。通貨の切り下げは、同時に原油価格の下落圧力となります。現在、日本を含む世界の先進国が、ゼロ金利やマイナス金利を導入するなどして、デフレからの脱却を目指していますが、その戦いをさらに困難にする要因になるでしょう。サウジアラビアの困難な経済状況を考えれば、予想されるリスクであり念頭に置いておく必要があります。以上ニューヨークからでした。」sauji.jpg














■ニュース特集

東京五輪へ 「食」のPR始動
国産農産物の展示会「アグリフードEXPO」が18日から始まり、2020年の東京五輪に向けた国産食材のアピール合戦が繰り広げられています。岩手県の湯田牛乳はヨーグルトにかけるしょう油を開発し、新しい食べ方を提案します。北海道の渋谷醸造は、麹を混ぜたみそでトマトを食べる商品を発売し、麹の甘さをアピールします。群馬県の北毛久呂保は、外国人が苦手なこんにゃくを、やきそば麺にすることで食べられるようにしました。展示会には自民党の小泉農林部会長も視察。小泉氏は生産者に対して国内だけではなく、海外も意識するよう促します。また東京五輪について「日本の農業の力を世界にアピールするチャンス」と語りました。青森県のイーエム総合ネット弘前では、りんごが凍る直前の温度で3ヵ月間貯蔵して糖度を上げた「EM氷温りんご」を東京五輪の選手村などに提供したいと話します。今後、りんご園の集約や生産性を向上させる方針です。

【農業も目指す東京五輪で金・選手村に自社食材を!】
4年後の東京五輪を大チャンスと捉えて、集まって来る海外の人達に国産食材をどうアピールしていくかという取り組みが始まっている。

アグリフードEXPO東京2016(主催・日本政策金融公庫)では全国から集まった国産の商品が数多く並ぶ。海外にも新しい食べ方を提案したいと言う湯田牛乳の「ヨーグルトにかけるお醤油」、北海道の発行食品メーカー・渋谷醸造の「みそトマト」、意外な方法で海外を目指す北毛久呂保の「こんにゃく焼きそば」を相内キャスターが紹介した。会場には自民党・小泉進次郎農林部会長が現れ、国内だけではなく海外市場を意識して農業を行ってほしいとアピールした。海外進出を促す小泉議員の狙いは「日本は農林水産物の輸出について輸出途上国だと思う。東京五輪はチャンスだ。もちろん日本の食材はこれだけ豊富だ、日本の農業にはこれだけ力がある。五輪で選手村に出せる食材は基準がありますから、それがどうなるか見ていかないといけない」と話した。

【農業も目指す東京五輪で金・世界の“アップル”へ!】
青森県弘前市にあるイーエム総合ネット弘前。最大の売りは日本唯一というEM氷温りんご。氷温りんごは糖度が高く、また一般のりんごに比べて鮮度を長期間保てるため海外でも人気で、中国や東南アジアなどに輸出されている。今井正直社長はこのりんごを4年後の東京五輪の選手や応援団などに提供したいと考えている。その為に今急ピッチで行っているのが生産性の向上(カメラセンサー、非破壊内部品質センサーの導入)である。これらの機械の導入でリンゴを選別するのにかかる時間は従来の10分の1に短縮された。さらに農地集約にも取り組んでいて、周辺の耕作放棄地などをリンゴ園に生まれ変わらせることで、栽培面積を現在の15haから5年後には50haまで拡大する計画だ。青森のリンゴをもう一度、成長産業に育てたい考えだ。





■特集 逆境に立ち向かえ! 「花男子」たちの挑戦hana.JPG
お盆の季節。花を買ってお墓参りに行った人も多かったのでは。しかし、花の消費額は年々減少を続けていて、日本人の“花離れ”が顕著だ。こうした逆境の中、「花男子」なる集団が立ちあがった。彼らが繰り出す秘策とは。


【仏花しか買わない・進む消費者の花離れ・姿を消す生花店】
1人の当たりの花の消費額は年々減っていて、花離れが進んでいる。こうしたピンチを救おうと「花男子」なる集団が立ちあがった。今、お盆以外で花を買うケースが減っている。消費者の花離れは街の生花店を直撃。年々減少を続け15年間で約8000店が姿を消している(経産省)。

【逆境に立ち向かえ!ナゾの集団「花男子」】hana2.JPG
愛知県豊橋市に、消費者の花離れをチャンスに変えようと奮闘する集団がいた。パフォーマンス集団「花男子」。プロジェクトの発起人、HANAイノベーション・近藤祐司社長の本職は花の仲卸業。客の減少に対する危機感があり、30近い生花店や農家などと組んでベンチャー企業・HANAイノベーションを立ち上げた。これは「花男子」の活動を通じて花の魅力を発信し、販売へ繋げようという試みだ。HANAイノベーションは「花男子」のパフォーマンスを見た企業や自治体からのイベント受注などにより2015年度の売上高は前年の約7倍、1億4000万円に急成長を遂げた。
《HANAイノベーション近藤社長》
「花の営業・企画を花男子の大きな広告塔を使って、『じゃあ次回こんなことやりませんか。花で僕たち面白い事が出来ますよ』というのを新たなビジネスに繋げていく。」

【逆境に立ち向かえ!「花男子」の挑戦】
「花男子」ならではのビジネス「社長の花贈りプロジェクト」。ブーケの代金は5000円で、このうちHANAイノベーションには2割、残りの8割が生花店に入るため店の経営にもメリットがあるという。さらにHANAイノベーション・近藤祐司社長は更なる販路拡大に動き始めていた。イオンの来年の母の日のカタログギフトに載せる「花男子」としてのギフト商品の提案である。贈る側をさわやか系、ワイルド系、草食系に分けて商品に反映させるという息子を切り口にした新しい提案にイオンの評価は上々だ。詰めの作業に入る事になった。近藤社長は「花に触れた事がないという男性女性に花に興味を持ってもらう入り口を作りたい」と話した。





■ニュース

ドル円一時99円台
きょうの東京外国為替市場で円相場がさらに上昇し、再び一時1ドル99円台をつける場面がありました。アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が追加の利上げに慎重だとの見方が広がったためです。東京市場で1ドル=100円台を割り込んだのは、イギリスの国民投票でEU離脱派が勝利した6月24日以来、およそ2ヵ月ぶりです。これを受けて、財務省、金融庁、日銀は3者会談を開き、お盆休みで商いが少ない中為替が乱高下している背景について共有し、投機的な動きがあれば適切に対応していくことを確認したということです。



安倍総理 キューバ訪問へ
安倍総理大臣が、来月出席を予定しているニューヨークでの国連総会に合わせて、キューバ訪問を検討していることがわかりました。日本の総理大臣がキューバを訪れるのは初めてで、フィデル・カストロ前国家評議会議長との会談などを調整しています。キューバは去年、アメリカと国交を回復するなど、各国との関係改善が進んでいます。日本としても連携を強化して、キューバへの投資拡大などを進める考えです。



世界最大航空機が初飛行
イギリスで開発されていた世界最大の航空機「エアランダー10」が17日、初飛行に成功しました。エアランダー10は、飛行船にヘリコプターなどの技術を組み合わせた新しい乗り物で、全長は92メートル、最高速度は時速148キロです。10トンの重さのものを運べることから、この名前がつけられました。ヘリウムがつまった船体は、5日間飛び続けられるほか、どんな場所でも離着陸が可能で、滑走路も必要ありません。今後、物資の輸送や、災害救助に加え、観光用の遊覧船としての活躍が期待されています。



小池都知事 リオへ出発
東京都の小池知事はリオデジャネイロオリンピックの閉会式で、オリンピックの旗を引き継ぐ「フラッグ・ハンドオーバーセレモニー」に出席するため、ブラジルに出発しました。閉会式には自前で用意した日本らしい「勝負服」で臨むということです。



7月の輸出 14%減
財務省が発表した7月の貿易収支は、5,135億円の黒字でした。輸出額は円高の影響で5兆7,284億円と1年前から14%減少し、リーマンショック後の2009年10月以来の下げ幅となりました。一方、輸入額も原油価格の下落により24.7%減と大きく落ち込んだため、収支は2ヵ月連続の黒字となりました。



日航がホノルル線 新機内食
日本航空が来月から、成田発など一部のホノルル線で新しい機内食を提供すると発表しました。メニューは資生堂パーラーが監修。老舗同士のタッグが目指すのは、見た目の美しさにもこだわった機内食です。メインは「ご飯に合う洋食」代表格のビーフシチュー。デザートには資生堂パーラーの看板商品のチーズケーキがハワイらしくパイナップル味で添えられます。メニューは1種類とすることで、フライト時間が短く夜発の便が多いホノルル線での作業の効率化もはかります。また、エコノミーシートは今までより足下が10センチ広くなり、現在も一部で導入されているプレミアムエコノミーシートは今後赤と黒のシートに変えるなど高級感をアピ-ルしていきます。





■【ロングセラー研究所】牛乳石鹸seken.JPG
発売から88年、ボディソープなどが主流となる中今なお売れ続ける、牛のマークが印象的な牛乳石鹸の秘密に迫ります。牛乳石鹸は年間約1億2000万個以上売れ続けています。大阪にある牛乳石鹸の工場では、大きな釜を使って今でも職人が手作りで石けんをつくっていました。

分析1 「職人の丁寧な手作業で昔と変わらない品質を維持」。
大きな釜で牛脂やヤシ油などを混ぜながら作られています。ベテラン職人がヘラを使って仕上がりを確認します。主原料の牛脂とヤシ油を、最適な配合となるまで職人がその目で確認します。検品の際も、においや見た目を確認するのは人という徹底したこだわりぶりです。最後の検品でも人が色合いや香を確かめます。

牛乳石鹸は1909年大阪で創業し、1949年には容量と価格を抑えた青箱を発売し、全国的な知名度を得ました。また箱のデザインは少しずつ変更を繰り返し、時代とともに成長、拡大を続けてきました。そんな牛乳石鹸は大阪で創業してから107年。しかし、90年代以降はボディーソープなどにおされて固形石けん市場が縮小傾向となる中、多様な商品に手を広げたことで一時は赤字すれすれになりました。

分析2 「せっけんに原点回帰したことで信頼も業績も回復」。
それを変えたのは、現在の会長の一言でした。「せっけんで日本一になりたい」という一言により、強みである石けんに原点回帰し、それにより信頼も業績も回復。今では固形石けん市場ナンバー1となりました。人気の赤箱の売り上げは1年前より約3割増加しています。

取材先・牛乳石鹸共進社






■【トレたまinアメリカ】乗れる!電動スーツケース

電動式でスピードが出るが、慣れてくるとスイスイ走る事ができる。屋内モードは最高時速約8キロ、屋外モードは約13キロ。開発したのは企業家のケビンオドネルと技術者のボイドブルナー。カバンとしての昨日もこだわっていて、荷物を入れるスペースは十分に確保したという。バイクを動かす電池を使って携帯やパソコンを充電できるUSBが付いている。

【商品名】モドバッグ
【商品の特徴】人が乗って電動で走行できるスーツケース
【企業名】モドバッグ
【住所】米国イリノイ州シカゴ
【価格】特別価格995ドル(約10万円)
【発売日】17年1月ごろ発送予定
【トレたまキャスター】北村まあさ






■【コメンテーター】高田創氏(みずほ総研チーフエコノミスト)

・東京五輪は大転換点・食の成長戦略を!

--食の分野で東京五輪までに整備しなければいけないことはまだまだありますね。

「まずは例えば生産や調理段階の工夫が必要となる。例えばイスラム教徒が安心して食べられるハラール対応とか、また日本の物は安全と思い込んでいるんですけど、実際は国際基準の安全認証制度をクリアできていない物も結構あります。」

--確かにミラノ万博の時も日本館でお味噌汁に使う鰹節を入れられなかったんです。

「そういうのが結構ありまして、日本人の目から見ると大丈夫なんですけど、それはちゃんと整備していかなければいけない。そういう意味でグローバルスタンダードという問題がありますね。さらに言葉の問題ですね。
ですからちゃんと英語で多言語で対応できるものをちゃんと工夫して対応し、知らないものは何でも食べられないので、そういうものを理解させる事がとても必要ではないでしょうか。いずれにしても食を通じた成長戦略が求められている。」






・原油安のデメリット

--原油安によって米国のシエルオイルも相当、打撃を受けたと言われていますが、中東、特にサウジも疲弊してきている状況なんでしょうか。

「そうですね。中東ですとか、あとロシアもそうですよね。産油国と言われているところは、国の財政面で相当影響が出ていますね。

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--そうしますと今後の原油価格がどう推移していくかというところなんですが、こちらが今後の原油相場の見通しですね。

「とりあえず今月に入ってから40ドル台半ば、いま後半ぐらいまで来ているんですよね。これは特にサウジを中心として産油国の増産凍結観測を受けてということなんですけれども、ただそれが本当にできるのかどうかということですね。実は今年になってから2回失敗しているんですよ。ですから今回が3度目の正直なんですけれども、本当にそれができるのかというところですね。」

--今後の見通しとしても40ドル台の推移が続く?、日本にとっての影響は?

「続くんじゃないかと我々は思っているんですけどね。
日本にとっては、もちろん原油価格が低い方が大量に輸入していますから良いですが、しかしながらあんまり急に下がると、世界中の不安が日本に波及して、それが影響してきたりとか、それから先ほど堀古さんの話にもありましたけれども、デフレ圧力がまた日本にかかってしまうということですね。」

--いま円高で、さらに原油安が続くとなりますと、物価が下がり・・・

「物価が下がってデフレ的な圧力でなかなかデフレ脱却ができなくなってしまう。またリスクオフという状況にもなりますので、日本にもあんまり原油価格が下がった状態が続くと、飛び火するという不安定要因につながりますよね。特にアメリカのシェールオイル自体も下がっていますので、なかなか生産の調整が効かないんです。」

--そんな中でシェールオイルの生産の採算ラインが水分変わってきているようですね。

「シェールオイルのところがずいぶん下がってきてまして、本来、この水準だったら維持できないんじゃないか、と言われたところが、それでも採算ラインが下がっているんですね。」





・空の旅に何を求める?

--JALが資生堂パーラーとコラボして機内食を始めたということですが、ただこの機内食と航空会社の評価は一致しないんですか。

「そうなんです。意外と一致しなくて、例えば機内食のベスト10と総合スコアはあんまり影響が大きくないんです。」

--機内食ベスト10の4位にトルコ航空が入っているんですが、総合では入っていないとか・・・

「やっぱり安全性やスケジュールの利便性で選ぶケースが多いですよね。」

--ですから全日空は機内食では6位、総合では2位。

「そういう意味では話題性や宣伝効果を狙っているケースが多いですね。ある程度長い国際線ですと、機内食の・・・が高くなってきますけれど、そういう意味では今回のは資生堂でイメージが上がっているんでしょうね。」