Mr.Busーstop(バス運転士の日記)

大手バス会社勤務の路線バス運転士です。バス運転士の日常をお届けしたいと思います。

2024年問題、本当に人手不足になるのか?

2024-03-20 21:24:49 | 日記
バス運転士や貨物運送の運転士の中には、運転の仕事に誇りを持ち純粋に運転士の仕事が好きだと云う方もいます。

会社愛、業界愛に燃えて、恩義に報いるべく勤務をしている方も多いと思います。

このような方には働き方改革によって、仮に給与が下がっても運転士を続けたいと考える方がいても何ら不思議はありません。

そのような方から観ると、給与が下がったぐらいで運転士を辞めたり、下がった給与を補える同業他社にスライド転職することは信じられないことかもしれません。

自分でXのアカウントを作ったり、ブログ、youtubeで情報発信を積極的に行っている方は、上記の傾向を感じ、バス運転士よりも貨物の運転士により強く感じます。

ただ、その他大勢の運転士はXにアカウントは作ったが、積極的な情報発信はせず閲覧が主な用途という方が大半に思いますし、年齢が上がる程その傾向が顕著であると考えます。

例えば、100人に1人の敢えて運転士についての発信を行う人間に、給与のが下がったら辞めるか否か聞けば、「辞めないと答える確率」は満遍なくアンケートを取った場合より高くなるのは自明だと思います。

コメントを行う人間と閲覧のみ行う人間でも、結果は同じだと思います。

敢えてアクションを起こす人間は、比較的モチベーションが高い事は、容易に想像できると思います。

現実的には、辞めて給与のよい仕事や会社に転職したいと思ってはいるかもしれないけど、年齢や職歴、家庭の問題などの諸問題で、直ぐに転職は考えられないというのが私の予想です。

おそらく1年位のスパンで、転職を視野に活動する人が大半だと思います(運転士を一度やると、次も運転士が多いと思いますが....。)。

これは私の肌感覚、経験則、妄想、憶測で、統計データを取ったり調べたりしたわけではありませんが、普通に仕事をしていれば予想できることとそうは離れていないと思います。

一つだけ言える事は、働き方改革は本来ならば普通に勤務ををしようとしているバス運転士や貨物運送ドライバーに、転職を考えさせるきっかけを与えているのは確かだと感じます。

実際に4月からの運用を観てみないとどの程度給与が下がるかは分かりませんが、明らかに不本意な転職を迫られるような下がり方の場合や事業継続が困難になる場合は、違憲の可能性も含まれると考えます。

さて、私は世の中で一番きつくプレッシャーに晒される仕事は、営業職だと思います。

これは、うちの会社の所長も仰っていますが、要するに「給与を高く欲しいならば、仕事取ってこい!結果を出せ!」ということです。

実際に所長も、営業で自分の地位と立場を作り上げました。

これは、社会の暗黙の掟の様なもので、私が社会人になった25年前からなんら変わっていません。

そうは云っても、バス業界や貨物業界は営業マンよりドライバーの方が表面的な評価が高い業界でもあります。

運転士やドライバーが居なくては、折角仕事を取ってきても意味がなくなります。

そのため、営業マンが運転士、ドライバーに下手に出て話をしている風景をよく観ます。

営業マンが、0から1を作り出す仕事ならば、運転士、ドライバーはそれを1から100にする仕事です。

逆にいえば、運転士、ドライバーは1がなければ、それを100に出来ない職業でもあります。

0から1を作り上げる事は、どれだけ大変か?

その辺を勘違いしている運転士、ドライバーは多いです。

運転士、ドライバーの仕事は、さまざまなリスクや身体的なキツさもあるかもしれませんが、慣れてしまえば気楽な側面もあります。

しかし、営業マンはエンドレスでプレッシャーと戦わなければいけない仕事で、慣れだけでは解決できないことが運転士、ドライバーに比べて多いです。

仕事が本当に好きで誇りを感じていると云うなら、何故営業職でも結果を出そうと云う発想にならないのか?仕事に愛を持っているなら、一番キツい部分をカバーできるはずです。

本当に運転の仕事が好きで、誇りに感じるのであれば、その仕事を総合的に勉強し、運行管理者も経験して尚且つ営業職でも結果を出そうと云う発想になるはずです。

この事は、うちの会社の所長が営業部門の出身者であることが如実に現しています。

実際に営業職や運行管理者にキャリアチェンジも視野にいれている運転士、ドライバーは、資格取得や運営に必要な勉強を既にしていると思います。

結果、そういう発想に至っている運転士、ドライバーが圧倒的に少ない以上、「慣れから来る気楽さ」の中で、残業でを含めた一般的な給与水準が志望動機の平均値だと思います。

運転士、ドライバーは、所詮営業マンから観たらアマチャンと思われているという意識は、心のどこかに留意することは大切であると思います。

最後に、私の妄想、憶測ですが働き方改革により給与が下がる場合、早々の離職率の上昇は現実的ではないけれども、1年、2年と観たときの離職率は上がると感じます。

それを補うために入れた低賃金の意識の低い運転士、ドライバーは、以前よりも仕事の質を低下させると思います。

結果、業界全体の信用とクオリティーは相当落ちるのではと懸念しています。IT業界のように一定の質を保った運転士、ドライバーの人材不足になると考えます。

バス業界の2024年問題、誰も言わないので私が。

2024-03-20 15:07:55 | 日記

2019年4月(中小企業は2020年4月)、働き方改革の一環として、労働基準法が改正されました。


それにより、時間外労働の上限が法律に規定されました。


一方、「適用猶予事業・業務」については長時間労働の背景および業務の特性や取引慣行の課題により、時間外労働の上限について適用が5年間猶予され、一部特例つきで適用されています。


この猶予期間が2024年3月に終了することから、「2024年問題」と呼ばれます。


尚、適用猶予事業・業務には、自動車運転の業務が含まれ、バス運送は旅客運送事業として含まれます(Wikipediaより転載)。


具体的に、どのような改正がなされたのかについての詳細は、分かりやすい動画がありましたので下記を御覧ください。


(1) 2024年問題!迫る改善基準告示をサクッと解説【バス基礎編】



(2) 2024年問題!迫る改善基準告示をサクッと解説【バス特例編】



さて、2024年問題に対して予想される最大の問題は、運転士不足が起こるりえることと一般的に認識されています。


バス運転士も含めてドライバー職は、残業を含めた給与が本来運転士が求める給与水準だったりします。


そのため多少残業が多く労働条件が一般的に観て過酷と言われる職場でも、よく忍耐力を効かして勤務しているのが実態です。


「残業があっても、給与が世間並に貰えるので、多少の事は我慢して働こう!その代わり、これで獲得した給与で自分の希望を叶えよう!」という考え方で就労している運転士が、平均値だと思います。


通常転職をした際、一般的な職業の場合、ある程度の給与水準まで至るまでに相当の時間がかかります。


家族持ちややりたいことのある方などにとっては、出来れば最初から世間並かそれ以上の給与を獲得したいと考えるのは、当然と思います。


そこで、バス運転を含めたドライバー業界は、基本的に運転職が苦にならないのであれば、残業さえ我慢できれば世間並の給与を支払ってもよいと云う申し込みを募集要項でしています。


平均的なバス運転士やドライバーは、この条件で合意して職に就いていると思います。


2024年問題により残業時間が規制され給与が下がる場合、当初の前提条件が崩壊します。


当然、ドライバーの離職が増えて、人材不足に陥ると云う流れが想定できます。


次に、仮に上記の前提条件の崩壊を食い止めるため、下がった給与の分を雇い主や国が助成したとします。


その場合、新労働基準法を遵守するためには、旧法で賄っていた旧勤務表等を新法の新勤務表に作り直す必要があります。


ここでも単純に、勤務表の数が増えることが安易に想定できますので、新たな雇用をしない限り人材不足になるリスクをはらみます。


そもそも、新法を正しく運用するためには、労働者か雇い主、国や地方公共団体などの公的機関の誰かが泣くか、みんなで泣くかしかなくなるのです。


労働者や雇い主を泣かすことに結果的になる場合、この働き方改革は違憲(職業選択の自由侵害、意に反する苦役禁止、幸福追求権侵害など)の可能性を含むものになることが予測される場合もあります。


また、バス運送や貨物運送が倒産した場合、世の中への影響も多大になることは安易に予想できると思います。


結局は、言い出しっぺの国などの公共機関が助成金や補助金でカバーすることになると感じます。


こうでもしないと、反社会的な人間や不良外国人などの違法なバスや貨物運送会社が、上記のドライバーの雇用を吸収し、社会が混乱してしまいます。


私はある意味バス業界が申し合わせて、一斉に働き方改革に対してボイコットする手もありかと思います。


違憲を含んでいる可能性もありうるため、国も慎重になったり保留されるかもしれません。


よって、今の生活レベルを保ち、産業のホワイト化することには、「増税」しかないと言われかねません。


でも、余りやりすぎると「憲法の生存権はどこ行った!」なんて声があがりそうです。


「増税なんてふざけるな!」と言うのならば、「欠点、不足は、お互い様!アイドルも、う○こをすのです~。」をスローガンすることです。


そして、実態調査をしっかりし、それに沿った「黒いもの」は社会的に受け入れる受認限度の拡大しかない思います。