旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

吉田和男著「現代に甦る陽明学」

2008年01月03日 01時36分53秒 | Weblog
解読に手間取っている「伝習録」に、よい入門書はないものかと紀伊国屋に寄ってみた。愛読者が多いに違いないと思っている王陽明であるが、哲学・思想コーナーに並べられた関連本はヒジョーに少ない。

その少ない関連本の中で、吉田和男著「現代に甦る陽明学」副題「伝習録(巻の上)を読む」が目にとまった。著者は、わたしと同世代の元官僚で、現在は京都大学大学院経済研究科の教授である。時代背景や制度は異なるが、役所勤めの経験がある点と教育に携わっている点が陽明と共通している。

著者は、伝習録の読書会である桜下塾という私塾を主宰している。独学の弊に悩むわたしからすると羨ましいような環境である。「格物」という慣れない言葉について、著者がわたしと同様の解釈をしていることを知って胸をなでおろした。わたしの解釈はブレてはいない。

また、格物に関する朱子と陽明との解釈が根本の部分で異なっていることは原典を読めば解る。その差異について述べる著者の口語は、わたしの言い回しに近い。親近感を覚えた。