旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

天命

2013年11月28日 22時10分23秒 | Weblog

 楽正子は言いわけをして言った。「私が殿様におすすめし、殿様もここにきて先生にお会いになるばかりでしたのに、お気に入りの近臣蔵倉と申す者が邪魔をしたので、にわかにお取りやめになったのです。まことに残念でなりません。」

 すると、孟子は言われた。「いやいや、克(楽正子)よ。お前は魯の殿のお出ましも、お取りやめも、すべて人間わざとのみ考えているが、人が出かけるのも取りやめるのも、みなそうさせるものがあるので、人間の力の及ぶところではない。そうさせる目に見えない偉大な力、すなわち天命なるものが働いているのだ。わしが魯の殿に会えないのは天命なのじゃ。蔵氏の子倅などの力で、どうして遇わせたり遇わせなかったり自由にできようぞ。」(「孟子」十六 ごく一部を改竄)


孟子

2013年11月28日 19時43分28秒 | Weblog

ここ一週間の寝酒代わりは「孟子」だ。岩波文庫のワイド版の「上」を読み終えた。読み終えたといっても全文に目を通したわけではない。岩波文庫では「孟子」を、漢文、その読み下し文、注、口語訳の順で表記している。このうち口語訳(たまに注)を読み終えたということだ。「論語」が箴言なのに対して「孟子」は物語だから余分な想像力はいらない。本文を追ってゆけば孟子が言いたいことが明かになる。いよいよ今日から、「上」よりも倍ほど厚い「下」が寝酒になる。