ドイツの偉大な文豪ゲーテの晩年に、彼と親しく交わった若き文学者エッカーマンが、その対話記録を書き残した。ゲーテは、自分の作品の創作の過程や、他人の誌や絵、音楽の批評、仲間との会話を通して、著者に詩作のなんたるかについて語る。人生のなかで、どのように仕事をなしていくべきか。詩や文学について多くを語りながらも、芸術一般、彼自身が関心を持ち続けた自然科学研究一般について多くの示唆を与えてくれる。日記形式なのでページ数は多いが、関心のありそうなところをめくって目についたところを読んでいくだけでも素晴らしい。年老いてなお、自分で創作意欲を失わず、若者をもりたてる教育者としてのゲーテ、自分の背中を見せつつも後輩たちを引っぱっていこうとするその言葉の数々は、現代に生きる若者にも勇気を与えてくれる。
「とにかく、とりかかれば心が燃え上がるし、続けていれば仕事は完成する。」 「愛する人の欠点を美点と思わない人間は、その人を愛しているのではない。」 . . . 本文を読む