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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

沼地のある森を抜けて(梨木香歩)

2008年12月24日 | 本のこと
沼地のある森を抜けて (新潮文庫)沼地のある森を抜けて (新潮文庫)
梨木 香歩

新潮社 2008-11-27
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内田樹さん流に言えば、梨木さんは「強い想像力」の持ち主だと思う。

目の前に物理的に広がる世界を描くのではなく、その存在すら普段は
認識していないような不可視の世界を小説として描いちゃうんだから。

それも「ぬか床」を通して。

おいしいお漬物を生み出す場としての「ぬか床」から人が生まれてくるなんて
奇想天外なお話にちょっと微妙な感じもあったけど、読み進めるとこういうのもありかなと。

主人公の久美や風野さんら研究者たちの専門的な分析ややりとりがなんだか
今の職場を連想させたりして、舞台はあの下町付近かと思うと親近感まで沸いてくる。

野菜をつけたり、ナスの皮が赤くなったり、唐辛子を入れたりと非常に日常的な
「ぬか床」をめぐるエピソードと平行して、微生物の世界、生命の不思議、性とか
個人というものについて語られるこの作品は、宇宙的ロマンに満ちているようです。