金属中毒

心体お金の健康を中心に。
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上海事変その7 守護者失格

2008-08-05 07:03:42 | コードギアス


大切な人の前では1番強い姿でありたい。
だから、いまは、会えない。





「あんたは生き別れのかわいい娘のたった一人の男だからねぇー」。
ふざけたような口調で、けっして押し付けることはなく、しかし彼女の言葉は誰も断れない。キセルをふりながら、神虎の生き別れの母はいった。
「ほっとけないねぇ」



星刻が意識を取り戻したとき、なぜだか分からないが『神虎の母』が見えた。
かなりの血が流れたはずなのに、身体はひどく重い。
あぁ、そうか。空っぽの風船と水素を詰めた風船。水素を詰めた風船の方が軽い。
そうか、血は空気より軽い。それが減ったからこんなに重いのか。
星刻の意識はまだ混乱と混濁から抜け出ていない。
彼が本当に意識を取り戻したとき、彼の苦しみが始まる。
大切な、守りたい人を守れなかった。
私が彼女を傷つけた。
その思いが彼の心を閉ざすことになる。


あなたも、守護者失格ですよ。私と同じように
星刻は幻覚かあるいは幽霊を見ているのだと思った。ラクシャータの姿に重なるように、長い銀髪の華奢な若者の姿が見える。
守っていた。そう思っていた。でも傷つけていただけだった。
あのこは強い。守る手はとっくにいらなかった。私にはそれが見えなかった。理解したくなかった。
守られていてほしかった。
それなのに私があのこを傷つけた。
幽霊か幻覚かは分からないが、銀色の姿は星刻の返答を待つでもなく一方的に話し続けた。