金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

感想もどきの後の感想をアップしさらに感想後の妄想をアップしたので妄想後の追走を。

2008-08-19 20:28:12 | コードギアス
「愚か者、その宰相とやらに踊らされた事にすら気が付かないとは」
星刻はここで一度息を継いだ。出血が多かったせいか、息が苦しい。だが、言うべきことは言ってしまわなければならない。
「どういう動機であれ、ゼロがブリタニアを憎悪していた事に変わりはない。ゼロの知力もほんものだ。彼以上の頭脳をどこに見つけるつもりだ。藤堂、君のしたことは利敵行為だ。私的感情で暴走し、軍の規律を乱し、指揮官を敵に売り渡した。
ゼロが逃亡できたのは、ロロとかいう少年の勇敢な行動ゆえだ」
ここで星刻は自分の言葉に内心で苦笑した。少年の勇敢な行動、あのロロという少年にこれほど似合わない言葉もあるまい。
「ゼロは最初から俺達を裏切っていた!俺は、信じてたのに、ちくしょー、こんな事ならあの時処刑されていた方が」
叫ぶように答えるのは玉城のみだ。あの会談に出た中で、星刻が来てから感情を見せるのはこの男ひとり。それを思えば以外に大物かもしれない。
「どうしてなんだよ。なんでゼロが皇子なんだ!」
玉城がだんと机を叩いた。その振動が星刻にはつらい。ずっと下腹部に感じている痛みが増幅されるようだ。エリア11に赴任したころから強くなった痛み。あの臨床検査技師の言葉は正確だった。『この種類の痛み止めも効かなくなります。おそらく1年以内に。そうなったら神経麻痺剤しかありません。しかし、麻痺剤を使えば数ヶ月で多臓器不全を起こします』
技師の正確な診断に感服する。麻痺財は使えない。使えば動けなくなる。ならばこの痛みはわが身に背負ったものとして耐えるしかないのだろう。
 扇も藤堂も沈黙を守っている。彼らはわかっているのだ。自分達が何をしたか。
「ゼロは安全な場所にはいなかった。いつだって一番危ないところで、指揮をとっていた。ナリタのときも。全然強くないくせにナイトメアで白兜とやりあって」
あげくに機体を壊しまくり、ラクシャータに怒られていた。
そういう時ゼロは普段とは打って変わりしょんぼりとうなだれて見えた。
ゼロには自分が強くない事に自覚はある。しかし、王の駒は一番最初に戦うべきだと。そう言って、実行して、また機体を壊して・・・。いつも偉そうにしているゼロが怒られていると、なんだか小さな子供に見えてきて、おかしかったのを扇も藤堂も玉城も覚えている。
いや、ゼロは本当に子供だったので。あのスザクと同じ歳。
幼いころから手塩にかけた弟子であったスザクのことを藤堂は覚えている。今は敵対していても、スザクの剣さばき。あれは藤堂が教えたもの。真剣で殺しあってなお思う。スザクほどの弟子はいない。だからこそ、壊れていくあの子供を師であった自分の手で止めたかった。
もう、こんなことになってしまったが。
 そうだったのか。藤堂はいまさら合点がいく。ゼロの王様風なあの動き。あれは子供のころのスザクだ。殺し合い、憎みあい、求め合う、あの子達は今もともだち、だった。
藤堂はいつも厳格な顔をしているといわれる。確かに満面の笑顔をうかべる藤堂など誰も見た事がない。しかし、ずっと一緒にいる四聖剣には、今は千葉しかいないが、藤堂の表情がわかる。いま、藤堂はかすかに微笑んだ。
 17歳のゼロ。自分達は、いい年をした大人がそんな子供に責任を押し付けて、責めて、殺そうとした。否、殺そうとした方がまだましだった。憎むべきブリタニアに売り渡そうとした。
玉城が拳で机を叩いた。




「藤堂、総司令としての命令だ。反逆罪で扇要を処刑せよ」
玉城でも言葉を失うときがあった。今がそうだった。
「わかった」
返答は藤堂ではなく扇からあった.