西の魔女が死んだ

2008年07月13日 | 映画
祖母の訃報を聞いて、
主人公マイと母は車で田舎に向かう・・・ところから映画は始まる。
高校に勤務する日本人の理科の先生と英国人の英語の先生が結婚し、
生まれた娘がマイの母親。
母が仕事を持っているため父は単身赴任、母とマイは都会での二人暮らし。
中学一年の一ヶ月でマイは学校に見切りをつける。

田舎というより山奥に住む大好きな祖母のところで転地療養をする。
「おばあちゃん大好き」とマイが言うと、
「I know」と答えてくれる祖母から、魔女修行を受けることになる。

ワイルドストロベリーを一杯摘んで、山のような白砂糖を入れて、
グツグツとジャムを煮込むのは楽しい仕事。
鶏の卵を取りに行ったら最初のうちは鶏に威嚇されて尻餅をつくが、
やがて、餌をやって注意を向けておいてソーっと卵を収穫するコツも覚える。
家から少し離れた場所にマイのお気に入りの場所を決め、
時々その場所でぼんやりと癒されながら過ごす時間もある。

でもいやなことや怖いことにも遭遇する。
近所に住む得体の知れない男は怖くてどうにも好きになれないし、
お気に入りの場所で、ある日急に激しい風雨に襲われ、
ずぶ濡れで疲労困憊してところを
親切で明るい郵便屋さんがマイを助けてくれた事もあった。

その怖い経験をした晩、眠れないマイは祖母の寝室で一緒に寝てもらった。
そして、死の恐怖を感じつつ「死んだら人間はどうなるの」という質問をする。
祖母は「死んだことがないから分からない」と言いつつ、
「体が死ぬと魂が体から抜け出て、そのまま生きて行くんだと、
自分は信じている。」という答えを聞く。
自分が死んだあと、魂として抜け出たら、
その事をマイにはそっと知らせるからとも約束してくれた。

だんだん元気になっているマイを、ある日父が訪ねて来て、
母と三人で一緒に住もう、そして新しい学校へ行こうと提案し、
明日帰るまでに返事を聞かせてほしいという。
「魔女は自分で考えて答えを出すんだよ。」と祖母に言われ、
一晩考えたマイは父に元気よく「帰るよ」と伝える。

魔女修行の中では時々いやな思いもして、祖母にその事を言うと、
それも「魔女修行のうち」と優しく諭してくれた祖母だが、
帰る間際になって使いを頼まれたマイが、
近所の得体知れない男を訪ねた後は、どうにも我慢が出来ず、
祖母に「あんな人は死んでしまえばいい」と叫んでしまう。
そのときばかりは、悲しい表情をした祖母は、マイにきつい平手打ちを与えた。
その後の残り少ない時間は、マイは祖母に心を閉ざしてしまう。
母が迎えに来て帰る日も、別れの挨拶をすることもなく、帰ってしまった。

そして2年が経った。何とか中学に通うことが出来たマイが、祖母の死を聞く。
懐かしい祖母の家に着いたとき、
世話をしてくれていたのは、あの得体の知れない男「ゲンジ」さんだった。
男からマイは意外な言葉を聞くことになる。
「何か出来ることがあったら言ってくれ。」
「俺は出来が悪かったけど、ここのおじいさんとおばあさんにはよくしてもらったから。」と

その直後、ほこりをかぶった窓ガラスにマイは祖母からのメッセージを発見する。
「・・・・・ダッシュツセイコウ・・・・・」
祖母の魂が体から離れて永遠の生を得たことを、このときマイは知ったのだ。
「おばあちゃんは約束を覚えていてくれていたんだ・・・。」
目を見張るマイの表情が明るい驚きに満ちていたのが、一番の印象だった。


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