失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「Yo! So Cool!!」 G3 FACTOR 1995年

2008-09-12 | 
なんでこんなカヴァーをしようと思うかなあ。いや、思いついたのはいいとしても、どういう理屈でこの企画が順調に進んで、メジャー(日本クラウン)からリリースという事態にまで至ってしまったのか。誰か止めてやれよ。きっといろいろな偶然や事故が重なったんだろうねえ。ヒットという奇跡は起きなかったようだが。

アーティスト名の正確な表記は「3」が上付きになっている(Gの3乗)「ジー・キュービック・ファクター」って読むらしい。ジャケに写っているグラサン帽子男+ボディラインに自信ありげな女性ふたりの3人組のようだが、短冊2枚には一切本人たちのクレジットが見当たらず、詳細不明。

Amazonの紹介によれば「音楽業界の強者どもぞろいのユニットが日本の名曲にヒップホップの血を注いだ」ってことになってるぞ。どうやらアルバムが2枚存在するらしい。シングルは、おそらくこの2枚ですべてだろう。

左の赤いのが(多分)デビューシングル。

①Yo! So Cool!!
作詞・作曲:七沢公典
編曲のクレジットなし。
よー!そー・くーる!!→よーさーくー!→よさぁくはきーをきる~…はい、「与作」です。イントロは、思わせぶりなスペイシー・サウンドに、なぜかイタリア語の語り(女性)が重なる。打ち込みリズムが始まると、90年代UKソウル的な展開に。 m.c.A・Tをちょっと渋くしたような男性ヴォーカルは、そこそこソウルフルで悪くないけど、ラップで「自然の中で 一人のおんなを 愛し続けた Cool Guy!」とか歌われるとたまらなく痒いんです。終盤出てくる「Smoke On The Water」のギターリフも意味不明だし。オリジナルは、言うまでもなく北島三郎1978年の大ヒット。

②恋人よ
作詞・作曲:五輪真弓
アレンジはラヴァーズ・ロック。Aメロは男が、サビは女性が歌ってる(音域によってはサンディさんに似ていなくもない)。こんなになってもメロディのよさは伝わってくるが、いちいち合いの手のように入ってくるコーラスにズッコケる。オリジナルは五輪真弓(1980)。

定価900円、中古で100円。


右の青いのが翌1996年の(多分)ラストシングル。

①BRO. & SIS. ZING
作詞:星野哲郎、作曲:北原じゅん
こちらもサブちゃん、1965年のヒット「兄弟仁義」をG3風にアレンジ!「与作」同様、男性ヴォーカルがかんばっている。「踊れる感じ」を重視したリズムトラックはデビューシングルより力入ってるかも?女性ラッパーもはりきっているけど、オリジナルのラップ歌詞は、星野哲郎の強力な言葉にまったく太刀打ちできていない。

②命くれない
作詞:吉岡治、作曲:北原じゅん
瀬川瑛子(1986)のカヴァー。これはほぼ原曲無視で、歌詞がわずかに引用されているオリジナル曲と言ったほうがよさそう。とは言え、ヒップホップ界の超人気サンプリングネタ「Between the Sheets」(The Isley Brothers・1983)をほぼ全編使いだから「オリジナル」というのも憚られる。しかしWikiのサンプリング曲リスト見ると、こんだけ使われてても、まだ使うヤツがあとを絶たないってのがスゴイ。G3なんて今や「早いほう」に入っちゃうくらいだもの。セクシーでメロウでスムースでセンチメンタルって、まあ出来過ぎのトラックだからねえ。そんなアイズレーの素晴らしいネタのおかげで、つまらないラップでさえそれなりに切なく聴こえてしまう。4曲の中ではベストかな。

③④カラオケ

定価900円、中古で100円。
いろいろ書いたけど、ダンス・ミュージックとしての完成度は決して低くはない。ただ詞が書ける人がいなかった。
G3 FACTOR(ジー・キュービック・ファクター)について何かご存知の方、教えてください。男性は高橋誠氏、という記述もあるが。


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