失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「さよなら、夏のリセ」 南野陽子 1985年

2009-08-20 | アイドル系
しつこいようだが、8㎝の誕生は1988年。1985年デビューの南野陽子は、1987年までに10枚のシングルをリリースしている(その10枚は1989年にすべて8㎝化された)。
1988年7月に、それまでのシングルB面曲からセレクトされた4曲+ナンノのおしゃべりで構成された企画盤がリリースされた。タイトルは「YOKO'S FAVORITES」。CBS/SONYの「My Favorite Songs」シリーズの一枚のようだ。同じシリーズで、郷ひろみ5曲入り8㎝を持っているが、「よろしく哀愁」「ハリウッド・スキャンダル」「哀愁のカサブランカ」「ケアレス・ウィスパー」「千年の孤独」と、最後の曲(郷本人の作曲)以外はヒット曲ばかり。普通こういうコンパクトベスト的な選曲になると思うのに、南野がB面曲だけで固めたのは、いかにアイドルとして勢いがあったかの証明だろう。

①Chat(ナンノのおしゃべり)
「ハイ、南野陽子です」と、あの独特の鼻にかかった声。シングルのB面かつアルバム未収録曲で構成されていることを宣言する。34秒のイントロダクション。

②ひとりっきりの夏は
作詞:小倉めぐみ、作曲:亀井登志夫、編曲:萩田光雄
8thシングル「パンドラの恋人」(1987)B面。これは…いい曲だよ。キャッチーなAメロ、ワンフレーズだけささやくように語る部分、そしてドラマチックなサビ!並のアイドルだったら余裕でシングルA面でいけると思うけど。そこは超A級トップアイドル南野陽子、これほどの完成度でもサイドB。ウエットで躍動感に欠ける「パンドラの恋人」よりも、こっちのほうが出来がいい。

③Chat

④はじめの一歩
作詞:小倉めぐみ、作曲:朝倉紀幸、編曲:萩田光雄
10thシングル「はいからさんが通る」(1987)B面。前フリの「Chat」で「コンサートでも盛り上がるかなって感じ」と紹介される、いわゆるモータウン・リズムを用いた作品。まったくグルーヴしない、驚異の一本調子ヴォーカルに萌え。

⑤Chat

⑥エイプリルフール
作詞:田口俊、作曲:木戸泰弘、編曲:萩田光雄
7thシングル「話しかけたかった」(1987)B面。ま、これは素直にB面ぽいかな。A面が名曲だから。

⑦Chat

⑧さよなら、夏のリセ
作詞:康珍化、作曲:都倉俊一、編曲:大村雅朗
南野陽子、18歳のデビューシングル「恥ずかしすぎて」(1985)のB面。「ひとりっきりの夏は」とは対照的に、絶対A面にはならない、B面らしい控え目さを持った名曲。去りゆく夏とリセの仲間との別れを、淡々としながらも、美しいメロディで描いている。ナンノの非技巧派ヴォーカルに対応しているのもスゴイな。同じチームによるA面「恥ずかしすぎて」には、なんとなく残念な時代遅れ感が滲んでいたのに、このB面の完成度はどうよ!都倉俊一といえば私の世代はピンクレディーの一連のヒット曲の作者としてのイメージが強い。失礼ながらこんなセンスのいい曲も書くんだーと感心してしまった。そうか「ハリウッド・スキャンダル」も都倉さんだから不思議はないか。大村雅朗のアレンジがまた素晴らしいんだ。大好きで、教えたくないくらいだけど、こっそりどうぞ。十代のナンノの輝きに免じて、救いようのない演出にも目をつぶろう。


定価1500円、中古で50円。
8トラックでトータル18分38秒。

裏ジャケと、歌詞カード裏のミニポスターを紹介。



好きでした。レコードは買ったことなかったげど、「ナンノこれしきっ!」は聴いてた。




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1 コメント

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Unknown (ラモ)
2020-04-25 08:03:39
『さよなら、夏のリセ』大好きでした!
アルバム未収録なのが非常に残念ですが、この全曲B面のシングルCDを小遣い貯めて購入した記憶が蘇ります。
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