失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「BAN BAN BAN」 KUWATA BAND 1986年

2010-08-24 | 桑田・バンド
KUWATA BANDのデビューシングル。

①BAN BAN BAN(バンバンバン)
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:KUWATA BAND
夏の夢への導入、あるいは遠い波音のようなギターのイントロが素晴らしい。そして怒涛のサビ始まり。もう、これが恐ろしいくらいにキャッチー。
前年に到達してしまった『KAMAKURA』(1985)でサザンの活動はひと区切り。原由子の産休もあり、桑田がサザンの呪縛から解かれて、「デタラメなロックをやってみたい」との願いを叶えた一年限定企画バンド。サザンからはドラムの松田弘のみを引っぱり、一応パーカッションの今野多久郎をバンマスに据えてはいるが、やっぱり桑田のワンマンバンドの色合いが強い。そりゃあの声でこの曲を歌ったら、仕方のないこと。結局のところソロやサザンとどう違うの?と言われれば正直よくわからない。しかし極限まで煮詰まった大メジャーバンドをリセットして、「何か新しいこと」をやりたかった桑田の気持ちはなんとなく分かるような気がする。そんな渇望がストレートに現れた、夏の高い雲を思わせる突き抜けたメロディが爽快だ。それでいて得意の哀愁も漂う、桑田節全開の名作。サビの英語は確かにデタラメだけど、これくらいはサザンのシングルでもあったでしょ。イントロと同じギターの音がアウトロで再び登場し、曲全体が回想シーン、あるいはリアルな夢であったかのような効果を上げている。

②鰐(わに)
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:KUWATA BAND
こっちはいかにもB面らしい佇まいが愛らしい。藤井丈司のプログラミングで、あんまりバンドっぽくないサウンド。1番で鰐、2番で象についての歌詞は、特に何かのメタファーというわけではないみたい。エンディングでは「♪ブスが歌う PLASTIC ONO BAND」と過激なフレーズがあるが、これも特に洋子さんに何か言いたいことがあるわけではなく、語呂命の言葉選びであることは、聴けば分かる。編集盤を含め、完全アルバム未収録曲。

定価930円、中古で315円。
花柄バックに踊る男女のイラスト。このへんも「デタラメ」精神の現れなのか。




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4 コメント

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祝退院 (nakamura8cm)
2010-08-27 01:11:19
おお、新潟公演行ったんですね!
しかもカンバッヂまで…(笑)

ライブ盤の曲目見てたら、スモークオンザウォーターとかディランとかビーマイベイベーとかヘイジュードとか、ベタといえばあまりにベタなカヴァー選曲で、人目を気にせず楽しんでた雰囲気が伝わってきます。
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コンサート行きました ()
2010-08-26 04:46:26
私もアナログ7インチ、この人達のは全て買いましたね。
コンサートも新潟に来たのは全て行きました。
この間、実家に帰った時、その時に買ったアーティストグッズの
カンバッヂを見つけ、懐かしく思い出していたとこです。
ホント、サザンでは出来ない男くさい自分の大好きなロックを
凄いメンツで楽しんでいた桑田さんでした。
だけど、英語詩は未だに覚えておりません…。

この曲も好きでしたが、私は「スキップビート」が
ダントツに好きでした。しかしすげー詞だなあ(笑)
桑田さんにしか書けないし、エロとセンチを書かせたら
やっぱりこの人にはかなわないですね。
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これ (nakamura8cm)
2010-08-26 00:14:04
リリース時は私高校3年生。
アナログ7インチを近所のレコード屋で普通に買いました。
調べたら4月発売だったけど、私にとっては「高3の夏」のBGMのひとつです。
ああ、甘いぜ、酸っぱいぜ。

全編英語詞、というアルバムは未だに聴いてません…
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ババンバ バンバンバン ビバノン! (都市色)
2010-08-25 15:27:07
この曲も良いですね。
1986年のクワタバンドの快進撃。
軽音サークルの学生バンドのまま、あれよあれよと国民的バンドにのし上がった桑田さんとしては、バンドの成功に喜びながらも、どこかで隣りの芝生への浮気心があったのでしょうね。
公然と浮気に走ったクワタバンドが面白くないはずが無い。
作品も傑作揃いでしたね。
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