失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「九月の雨」 太田裕美 1977年

2009-09-08 | 
デビューシングル「雨だれ」から10作連続で松本・筒美コンビの作品を歌ってきた昭和の歌姫。代表曲2曲(4th&9thシングル)の豪華カップリングで、1989年に8㎝化された。CBS/SONY Platinum Single SERIESの一枚。

①木綿のハンカチーフ 1975
作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:筒美京平・萩田光雄
「あの夜、京平さんに僕がつかまっていたらこの曲は生まれなかったんだよね…」の松本隆のボソボソ昔話でおなじみ、昭和歌謡を代表する名作。つむじ風のように上昇するストリングスに、ギターが絡むイントロ。このエレキが結構いい味出してる。そして太田裕美の声!甘いけど芯がある、ぼんやりしていそうでツメは甘くない、そんなキャラを勝手に想像してしまう。作詞家が「ぼく」の一人称を使いたくなるのは分かるなあ。この曲はワンコーラスの前半男性、後半は女性視点の歌詞が交互に出てくる構成。田舎で待つ女性と、都会に出ていった男との心のすれ違いを描いた松本隆の出世作だ。淡々と、しかし確実に時が流れ、遠距離恋愛は終わっていく。短編小説の趣きですな。「およげ!たいやきくん」に阻まれ、オリコン一位をゲットできなかったってのも時代背景が分かるいいエピソード。チャートなど無関係に残る曲はちゃんと残るのだ。

②九月の雨 1977
作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:筒美京平
モメハンから2年、ちょっと大人になった裕美が歌う、ドロドロ悲恋もの。筒美さんの泣きのメロディに、降りしきる雨をピアノで表現した、情念を感じさせるドラマチックなアレンジ。主人公の女性がタクシーで向かった「あなた」の部屋に待っているのは、きっと修羅場。そんな大人な世界が裕美のスタイルに合っているかは疑問だが、「木綿」で確立された清純派イメージを裏切ってみたくなる時期だったのだろう。サビの「♪September Rain」の高音は、裕美の声がキレイに出る音域を超えている。

定価1000円、中古で52円。
ジャケは「木綿のハンカチーフ」7インチのジャケ写の顔の部分をトリミングして使用。ソフトフォーカスで曖昧な微笑みをうかべる裕美、「こけてぃっしゅ」です。

リアルタイムで「さらばシベリア鉄道」(1980)ももちろん聴いていたけど、不思議ちゃんテクノ歌謡「満月の夜 君んちへいったよ」(1983)が好きだった。

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4 コメント

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さらシベは8cmになってないのかな? (mike)
2009-09-09 01:45:04
なってたら、是非福生行きで!
裕美ちゃんはアルバム持ってないけど、シングルは「さらシベ」と「恋のハーフムーン」だけはアナログで持ってたっけ。まあ、どちらも大瀧氏のフィルアップ(当時はカセットウォークマンだったので余った部分への補充)で買ったんですけど(^^;
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たぶん (nakamura8cm)
2009-09-09 20:50:13
同じシリーズで8㎝になってるんじゃないですかね~?
でも見たことないです!

カセットの余りをうめるためシングルを買う…うん、分かります。正しいです(笑)

じゃあ、これもお持ちかな?
http://blog.goo.ne.jp/bakakyun/e/76fcebf371cc21248f3e8263041bbae5
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流石にこのインスト盤は持ってない (mike)
2009-09-10 01:03:18
けど、大瀧氏のアルバムのボートラとかで「さらシベ」のインストは聴いたことはあったかも(記憶あいまい)。

「さらシベ」8cmが発見困難なら、福生行き候補としては「風立ちぬ」8cmの方が見つけやすいかな?
この曲が入ったアルバムはA面が大瀧氏、B面が鈴木茂がアレンジしてるので、ティンパン好き兼アイドル好きとしては悶絶したっけ(聖子ちゃんも武道館でライブ見たな)。
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Unknown (nakamura8cm)
2009-09-10 22:44:47
ボートラといえばおそらく『Sing ALONG VACATION』と思いますが、「さらシベ」だけはカットされてたみたいですね。

「風立ちぬ」8cmは絶対に存在します。やっぱり見たことはないのですが(笑)うわ、全盛期の聖子のチケットなんて、ものすごいプレミアでしょうね~いいな。
蛇足ながら、ティンパンの最新作はエンケン『君にふにゃふにゃ』。一曲だけですがエンケン+3人の演奏が楽しめます。
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