失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「翼をください」 赤い鳥 1971年

2014-08-12 | 
赤い鳥の4thシングル「竹田の子守唄」のB面に収められていた曲。のちに音楽の教科書にとりあげられるなど、赤い鳥の代表曲になった。

ワールドカップフランス大会を目指す日本代表応援歌として、予選の段階からスタジアムで歌われていた。先月の記事で触れたとおり、ドーハの悲劇でつかみかけていたW杯初出場を逃した日本代表。4年後、サポーターたちは今度こそはの思いをこの曲に託した。そんな盛り上がりを受け、1997年11月12日に山本潤子がソロ名義でセルフカヴァーシングルをリリース。そのわずか4日後の11月16日、「ジョホールバルの歓喜」で日本代表はW杯初出場を決めた。もちろん「翼をください」は日本代表の勢いも味方につけてリバイバルヒット。山本潤子ソロから遅れること3カ月、1998年2月に赤い鳥のオリジナルヴァージョンを収録したシングルがリリースされた。

①翼をください 3'29"
作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦、編曲:赤い鳥・村井邦彦・川口真、瀬尾一三
アルバム『竹田の子守唄』(1971)収録のヴァージョン。ピアノバックに朗々と歌い上げる潤子さん。比較的スローなこのヴァージョンを1曲目にしたのは、上記の山本潤子ソロでのリメイクがゆっくり(さらにスローな5分33秒)だったから?サビのもったり感はちょっと大空に飛んで行きそうにない雰囲気だな。後半の管楽器も重いし、音楽祭受賞曲ぽいアレンジか。

②翼をください(シングル・ヴァージョン) 2'42"
編曲:村井邦彦
シングル「竹田の子守唄/翼をください」は1971年2月リリース、アルバムは7月なのでやはりこっちをオリジナルと言いたい。今聴くと意外なほどテンポが速く、軽やか。それでいてコーラスワークにワイルドな迫力があり、5人の若人たちの無闇にポジティブなパワーが感じられる。この切実な感じで「悲しみのない 自由な空へ 翼はためかせ 行きたい」と訴える心情は、「ドーハの悲劇」のトラウマを超え、悲願のW杯初出場を目指した日本代表と見事にシンクロした。W杯にまだ行ったことはないけれど、そんなに非現実的な目標ではなくなってきた時代の話。

③I WOULD GIVE YOU ANYTHING(翼をください) 2'26"
英訳詞:Gayle Caldwell、編曲:Bob Alcivar
1972年にシングルリリースされた英語ヴァージョン。前2曲よりさらに高速で、日本語版の情緒的な部分をばっさりカットしたような印象。ブラスセクションがサビで盛り上げる感じなど、ジャクソンファイブぽくもある。英語のせいか、軽やかさ3割増しで歌う潤子さんは、和製ジョニ・ミッチェルの雰囲気。

定価948円、中古で100円
フランス大会に合わせ、トリコロールに染められた雲。雲の左上にゴミのように見える小さな影は、翼を広げた鳥。


オマケ
村上“ポンタ”秀一が叩きまくり、大村憲司が弾きまくる何かが間違っている「翼をください」。ここまでミスマッチだと笑えるレベル。このふたりがなぜ赤い鳥のメンバーになってしまったのか?潤子さんの美しさにも注目。

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